八千代エンジニヤリングのCIM活用範囲は計画や設計維持管理でも
八千代エンジニヤリングは、総合建設コンサルタントとして道路や河川はもちろんダム・橋梁・トンネル・鉄道・建設環境・まちづくりなど多くの分野に携わっている企業です。
より確かな品質とすぐれた技術力を提供するために早くからBIMやCIMの活用に取り組んできました。
国内外の多くの拠点を持っている八千代エンジニヤリングのCIM活用状況についてご紹介します。
八千代エンジニヤリングにおけるCIMの取り組み状況
八千代エンジニヤリングは、かなり早い時期からCIM導入に取りくんできた企業です。
国のガイドライン制定前よりCIMの取り組みを実施
従来建築土木の分野では、2次元の紙図面を使って計画・調査・設計・積算・施工・維持管理などといったフェーズごとに個別最適が図られていました。
八千代エンジニヤリングでは、課題解決のためCIM導入を行っています。
2005年からCIM導入を開始
八千代エンジニヤリングでは、国土交通省が「i-Construction」施策推進し始める2015年より10年も早い2005年からCIMを導入し始めました。
導入したのは土木専用の3DCADの「AutoCAD Land Development Desktop」で、CIMの先駆けとも言われています。
平面的な図面では、図面自体の読み取りに長けている人でなければ一見して何が課題なのかがわかりません。
八千代エンジニヤリングがCIMの導入に乗り出した背景には、複雑な地質構造を顧客に説明する場合の難しさなど多くの課題がありました。
CIM導入により状況の把握が容易に
CIMでは、計画・調査、設計の段階から3次元で形状を作成し、その情報を施工や維持管理の各工程とも連携するコンセプトがあります。
八千代エンジニヤリングでは、最大限にCIMを活用して一つの構造物におけるライフサイクル全体の情報共有と管理を行っています。
またCIMを使って3Dモデルでの提案を行うようになってから発注者への提案力は格段にあがり、共通認識のもと誤認が減ったのです。
BIM/CIMの導入に5つの効果を見込む
八千代エンジニヤリングでは、CIMだけでなくおもに建築物の設計・施工データを維持管理するBIMの導入も行っています。
BIM/CIMの導入効果として、おもに5つを挙げています。
1. 生産性向上と環境の両立
八千代エンジニヤリングでは、BIMとCIMの両方が導入されています。
BIMで構造物を設計していれば、CIMにBIMデータを取り込み環境に対して構造物がどのように当てはめられていくかの見える化が可能です。
社会インフラの工事では、機能はもちろん周辺への影響を最小限にする必要があります。
例えば空港設備であれば、飛行機が飛ぶ時間は一定の高さ以上の場所にクレーンが伸ばせません。
またある道路に並行して土台を造りバイパス道路などを建設する場合、作業によっては工事現場の近くの道路に通行規制が必要となる場合があります。
CIMを活用すれば、3次元空間のどこからでも形状や離隔、取り合い、景観性などが確認できるほか、環境に配慮した最適化シミュレーションが可能です。
2. 維持管理にまで活用可能な情報データベース
BIMやCIMには各々の形状データに管理情報が付与できます。
ある構造部位についての関連情報が知りたい場合、たくさんの資料から一つの情報を探すのはあまり効率が良くありません。
CIMの形状部位に関連情報を付与しておけば、ある部位に関する情報はある部位に関連して集められています。
実際の構造物と同じデータをデジタル上に複製しておくことで、点検や維持管理の効率化や自動化につながると考えられているのです。
3. 非言語コミュニケーションを用いたグローバル化への対応
八千代エンジニヤリングは、140カ国以上の国々に対して社会資本整備関連のサービスを提供しています。
海外で受注したプロジェクトの場合、発注者や開発を担当する技術者が海外の方となる場合もあります。
紙資料の場合は日本語で書かれたものを海外の方にみせても書かれている内容の理解が難しいことも多いでしょう。
しかしCIMであれば、確認するのは3D形状のため言葉の壁を超えた共通理解が図れます。
4. 情報公開の容易性
社会インフラ事業では、場合によっては迂回や混雑、通行禁止などが発生するため地域の理解や協力が欠かせません。
国内の場合、工事現場の公衆の見やすい場所に誰が何を作ろうとしているのかを示す建設業許可票など必要な情報を掲示する義務があります。
これは建築業法より定められたものですが、近隣の住民からすると何のことかわかりにくいものです。
CIMで施工する関連部位を3Dモデル化しておけば、プレゼンテーションを行ったり完成予想イメージを工事現場などで表示したりできるので、工事現場周辺の方に「今何をしようとしているのか」の理解が促せます。
5. エンジニア育成の効率化
2次元の図面を作成するには一定の教育訓練期間が必要です。
一つひとつを確認して状況を理解するのではなく、図面を見渡しただけぱっと構造物がイメージできるようになるまでには、さらに充分な時間と経験が必要です。
一方最初からエンジニアの育成を3次元で行えれば、BIMやCIMの操作教育には時間が借りますが、それ以後形状の理解ができてしまえばすぐに業務に活かせます。
八千代エンジニヤリングのCIM活用事例
八千代エンジニヤリングでは、ここまで紹介してきたとおりCIMを設計検討、合意形成、技術伝承、維持管理など多くの分野に活用しています。
ここでは具体的な事例をご紹介します。
施工計画の妥当性確認と合意形成や検討に活用
「平成28年度 利賀ダム河床進入トンネル詳細設計業務」では、業務の効率化やミス防止のためCIMモデルを活用しています。(*1)
例えば林道連絡トンネルの施行における施工ステップ図をCIMで作成し「堀削・支保工設置」「褄壁補強」などの工程を受発注側全員で施工方法を確認したのです。
3D形状から構造の課題がすぐわかり合意形成がスムーズにできたことに加え、トンネル相互離隔や最小土被りなど検討時間の短縮化にも役立ちました。
UAVを用いた測量で細かい地形を可視化
CIMモデルを作成する事前準備として現地の地形情報を読み込みます。
地形や大まかな建物情報だけであれば、国土地理院のデータが活用できますが、既存設備の状態や現時点における詳細な地形などを正確に把握するには測量が欠かせません。
現地の勾配がきつかったり木や植物などが生い茂っていたりすると、人が現地で測量するのは不可能です。
「平成29年度 鬼ヶ城砂防堰堤補強対策検討業務」において、ドローンなどのUAVを活用してレーザー測量を行い、地形の点群データをもとにCIMモデルを作成しました。(*2)
人が立ち入れない方向からの測定を行い現地に生えている木など細かい状況も把握できるため、高い精度でシミュレーションが可能です。
施工後の維持管理にCIMモデルを活用
CIMは建設工事の測量から設計・計画、施工、検査と幅広い工程で作業や検討が行えます。一方完成後の維持管理についてもCIMが活用可能です。
「小石原川ダム管理効率化検討業務」ではダムの維持管理についてCIMシステムを整備しました。(*3)
CIMシステムでは試験湛水開始から運用開始後の維持管理の効率化として巡視・点検結果が記録可能です。
例えばタブレットで記録した文字や写真、位置情報は、自動で関連付けられてクラウド上にあるCIM管理システムに登録されます。
各時点における監査廊や堤体、貯水池周辺の情報が知りたい場合には、CIMの3次元モデルから簡単に視認可能です。
あわせて、現在位置の情報が検知できるBLEビーコンや自律制御飛行するUAVの実地検証を行い、ICTを活かした維持管理の効率化の検討も行われました。
まとめ
八千代エンジニヤリングでは、総合建設コンサルタントとして多くのステークホルダーとの合意形成を促すためかなり早い段階からCIMの導入を行っています。
また、生産性向上や熟練技術者のナレッジやノウハウを伝える技術伝承、安全性向上など複数の課題についてBIMやCIMをはじめ各ICTツールを活かしているのです。
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参考URL
*1 https://www.yachiyo-eng.co.jp/case/IC02003/
*2 https://www.yachiyo-eng.co.jp/case/TG01003/
*3 https://www.yachiyo-eng.co.jp/case/IC01011/