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国土交通省の建築BIM推進会議で公募された3つのモデルをご紹介

国土交通省では、日本全国のBIM推進に向けた会議である「建築BIM推進会議」を実施しています。行政と民間団体が連携してBIM運用の普及に向けた取り組みが日夜行われており、様々なケーススタディの検証や試験的な取り組みが採択されてきました。

今回はそんな建築BIM推進会議で公募された、3種類のBIM推進モデル事業についてご紹介します。

①国土交通省の建築BIM推進会議とは
②先導事業者型の概要
③パートナー事業者型の概要
④中小事業者BIM試行型の概要

国土交通省の建築BIM推進会議とは

まずは、国交省が開催している建築BIM推進会議の内容について、確認していきましょう。

会議の目的と構成

建築BIM推進会議は、行政と自治体が一丸となって日本におけるBIM運用のさらなる普及を達成するために誕生した組織です。BIMを用いた建築物の生産プロセス、及び維持管理における生産性向上に向けた施策の提案や採択を実施しており、日本におけるBIM運用のスタンダードについて議論がなされています。

同会議で取り扱う課題の範囲は広く、それぞれの問題に対処するため、分野ごとに小さな部会に分かれて取り組みが進められています。建築分野におけるBIMの活用・推進を図る建築BIM環境整備部会、BIMを活用した建築確認検査の実施を進めるための「BIMを活用した建築確認検査の実施検討部会」など、複数の部会に分かれています。

具体的な決定内容について

建築BIM推進会議ではその目的を達成するため、これまでにも様々なモデル事業を採択してきました。竹中工務店ではRC造及びS造のプロジェクトにおけるBIM活用の効果検証、及び課題分析が実施され、る設計施工一貫方式についての提案や、設計段階での施工のフロントローディングによる効果の検証などが行われています*1。久米設計では病院におけるBIM活用の検証が行われ、維持管理までのワークフローに至る、効率的な運用方法の追求が進められました。

このように、大手企業や事務所との連携を実施しながら建築BIM推進会議は進められているため、実施意義の大きな組織であることがわかります。

また、同会議では定期的にモデル事業の公募も行なっており、先導事業者型、パートナー事業型、中小事業者BIM試行型という3つのモデル事業を実施しています。以下では、それぞれのモデル事業の特徴について、解説していきます。

先導事業者型の概要

一つ目の先導事業者型は、建築プロジェクトにおけるBIMモデル運用の有用性について検証を行う企業を募ったもので、優れた提案を採択し、規模に応じた補助金を給付する企画です。

募集事業の詳細と補助額

2021年の募集要項においては、以下の2点が要件として提示されていました*2。

・令和2年度の事業者が取り組んでいない検証等を行うもの
・発注者メリットの定量的な検証等を行うもの

取り組みとして新規性があり、尚且つ定量評価が可能な検証であることを要件としており、あくまで試験的な取り組みを推進するための公募であることがわかります。また、採択された場合の補助金額は3,000万円以内に限定されており、検証等に要する経費をここから賄うことが可能です。

採択されたモデル事業の例

2021年度の募集はすでに終了しており、実際に採択された事業についても公開されています。例えば奥村組が予定している事業では、自社技術研究施設のBIM活用ワークフロー検証が挙げられます。この検証において、維持管理業務を何%削減できるのか、改修工事における施工業務をどれくらい削減できるのかなどが数値化される見込みで、BIMを活用した建築ライフサイクルの有用性が明らかになると考えられます*1。

パートナー事業者型の概要

続いては、パートナー事業者型についての説明です。

募集事業の詳細と補助額

パートナー事業者型では、会議に向けて提言を行うため、自らの費用負担にて検証等を実施する優れた提案を国が採択するものです。先導事業者型とは異なり、こちらのモデル事業人ついては補助金が下りることはなく、企業が自費で推進を図る必要がある点に注意しなければなりません*4。

BIMデータの活用や連携に伴う課題の分析、BIMデータ活用による新規ビジネスの創出可能性などを検証し、BIM普及に向けた提言を行えるようになります。

採択されたモデル事業の例

実際に同公募で採択された事例としては、鹿島建設のモデル事業が挙げられます。同社ではBIMを活用した建物ライフサイクル情報管理とデジタルツイン、そしてソフトウェアエコシステムによる支援の検証を実施しており、BIMデータの有効性や恒久性などについて、多くの検討事項を共有してくれています*5。

新築物件及び改修工事物件を対象としたBIMワークフローを策定し、デジタルツインの構築や、BIM運用によって得られた削減効果などの検証を行います。

中小事業者BIM試行型の概要

三つ目のモデル事業は、中小事業者BIM試行型です。

募集事業の詳細と補助額

こちらの公募内容の特徴としては、中小事業者が複数の事業者等とグループを結成し、要件を満たすモデルを要件としている点です。建築プロジェクトへのBIMの導入や試験運用に向けた課題分析と検討、効果増大に向けた改善施策の検討、中小事業者のBIM導入や活用ロードマップ素案の提案を盛り込むことで、さらなるBIM普及を進めようという取り組みとなっています*6。

こちらのモデル事業については補助金が用意されており、500万円以内の給付が予定されています。

採択されたモデル事業の例

実際に採択されたモデル事業としては、新日本建工の取り組みが例として挙げられます。内装専門工事業者による施工BIM活用の検証と提言を盛り込んだ当モデルにおいては、専門工事業者のワークフローにBIMを導入し、「職人DX」を実現することを想定したものです。ワークフローにおいて各フェーズで発生する課題を検証し、改善に向けた施策を検討することで、中小企業における運用可能性を探ります*7。

おわりに

今回は、国土交通省の建築BIM推進会議で採択されたモデル事業についての解説を行いました。

「先導事業者型」「パートナー事業者型」「中小事業者BIM試行型」という3つのモデルでは、採択の要件が微妙に異なるものの、それぞれの目的に応じた有意義なモデル事業が揃っています。これらを参考にすることで、有益なBIM運用のアイデアを得ることができるかもしれません。

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*1 国土交通省「建築BIM環境整備部会(部会①)令和2年度の検討成果と今後について」p.3
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/content/001395092.pdf
*2 国土交通省「令和3年度 BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業「先導事業者型」の提案募集を開始」
https://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_000867.html
*3 国土交通省「報道発表資料」p.7
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001406092.pdf
*4 国土交通省「BIM導入のメリットの検証等に試行的に取り組む提案を5件採択」
https://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_000883.html
*5 国土交通省「報道発表資料」p.1
https://www.mlit.go.jp/common/001407799.pdf
*6 国土交通省「BIM導入のメリットの検証等に試行的に取り組む提案を9件採択」
https://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_000887.html
*7 国土交通省「報道発表資料」p.3
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001411880.pdf

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