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10億人の顔データを削除!Facebookの顔認証システム停止を発表

Meta(旧Facebook)は米国時間2021年11月2日に数週間以内にFacebookの顔認証システムを停止することを発表しました。また、このシステムで使用していた10億人もの顔認識用テンプレートの削除を行うことも発表しています。では、この顔認証システムとはどのようなシステムで、私たちの生活にどのような影響を与えていたのでしょうか。

この記事でわかること
・顔認証システムとは
・顔認証システム停止の理由
・今後の顔認証システムについて

顔認証システムとは

顔認証システムとは、検知した顔の特徴などから保存されているデータと照合し特定の個人であることを認証するシステムになります。(*1)

この顔認証システムを使用しFacebookに2010年に導入された「タグづけ」機能。この機能は、他人の人が投稿した写真やビデオに自分が写っていた場合、自動的に通知されたり、写真を投稿する際にタグをつける人々を自動で認識するものです。Facebook利用者の3分の1以上の人がこのタグ付け機能を利用していました。多数の人が使用していたシステムだったため今回の発表で衝撃を受けた人も多いのではないでしょうか。

また、視覚障害者のユーザのために写真の内容の説明や写っている人物の名前を読み上げる「自動代替テキスト」にもこの顔認証システムを使用していました。今回のシステム停止により写っている人物の名前の読み上げも終了することになります。(*2)

顔認証システム停止の理由

ではなぜMetaはFacebookの顔認証システムを停止することにしたのでしょうか。人工知能副担当者のJerome Pesenti氏はMetaのブログでこう述べています。

顔認識が役立つ多くの具体的な事例がある一方で、この技術全体の使用に対する懸念が高まっていることを考慮する必要があります。顔認識技術が社会の中でどのような役割を果たすのかについては多くの懸念があり、規制当局は顔認識技術の使用に関する明確なルールを提示する段階にあります。このような不確実性が続く中、私たちは、顔認証の使用を狭い範囲のユースケースに限定することが適切であると考えています。(*2)

2015年にMeta(当時Facebook)はFacebookの顔認証システムで集団訴訟を提起されています。原告側は顔認証システムで使用されるデータが個人の同意なく作成されることに、イリノイ州の生体認証情報プライバシー法(Biometric Information Privacy Act:BIPA)に違反していると主張しました。BIPAは、同州で個人の同意なく顔認識や指紋認証などの生体認証技術を利用することを規制しているため、この訴訟によりMetaは6億5000万ドル(約690億円)の和解金を支払うことになりました。この金額はプライバシー関連の訴訟において最大級の和解金の金額になります。(*3)

顔情報が収集され、さらにその情報が個人と紐づけられるとなればプライバシーの観点から懸念はでてくるのは必然といえます。システムによっては顔情報をパスワードとして設定できます。その場合、自身の「顔」がパスワードとなるためセキュリティは強固になりますが、一度情報が漏れてしまうと今までのパスワードやIDのように簡単には変更することはできませんので情報が漏れた後のリスクはより高くなります。

また、この訴訟から一定数の人々が個人情報を収集されることに嫌悪感を抱いていることが分かります。MetaはFacebookでの顔認証システムをユーザの設定で「オフ」にすることも可能にしていましたが、この訴訟結果やメタバースの開発も発表していますので個人情報に関する懸念を少しでも排除したいという思惑から顔認証システムの停止に舵をきったのかもしれません。

今後の顔認証技術について

MetaはFacebookでの顔認証システムの停止を発表しましたが、今後も顔認証技術の開発に取り組んでいくと発表しています。なぜなら、この技術は本人確認や詐欺・なりすまし防止などのための強力なツールでもあり、人々にとって広く価値があるため慎重に導入されれば社会的に受け入れられるものだとMetaは考えているためです。 (*2)

もちろんプライバシー観点も考慮しています。プライバシーや透明性、コントロールを確保したうえで自分の顔データが使用されるかどうか、またどのように使用されるか判断できる製品であればこの技術は役に立つと考えており、この開発には外部の専門家の協力も得るそうです。(*2)

顔認証システムは情報漏洩のリスクだけではなく人権上の懸念も出てきています。
米国ではプライバシー上の懸念を引き起こしかねないという理由で、10を超える主要都市が使用を禁止しています。
また、顔認証システムを利用した捜査で米国では複数の誤認逮捕にいたったケースや、肌の色が黒い女性では認証システムの精度が低かったり、アジア人や若者などを度々誤認するということがジョイ・ブォロムウィニやデボラ・ラジ、ティムニット・ゲブルといったAI研究者や米国立標準技術研究所(NITS)の研究により判明しています。(*4)顔認証システムを使用した捜査は、システムの精度や製品によってムラがあるのも事実です。

このような人権上の懸念も今後の技術開発でクリアになればユーザは安心して利用することができます。

まとめ

顔認証技術はiPhoneのロック解除や金融商品等の本人確認のために使用されていたりと身近なものとなっています。今後はさらに多くの社会インフラで使用されるとも言われています。この技術は私たちの生活を便利にしてくれる一方、個人情報が漏洩する危険性も伴っています。
私たちユーザは便利だからといって安易に製品を利用し企業に情報を与えるのではなく、個人情報がなにに使用されるかなど判断をしてから利用する必要があるのかもしれません。また、今後は顔データに限らず、個人情報がどのように使用されるのかなど私たちユーザに開示してくれる企業が増えると安心ですね。
まだまだプライバシーや透明性が低い顔認証システムですが、これらの問題がクリアになれば私たちの生活をより便利にしてくれるはずです。

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*1 https://www.alsok.co.jp/corporate/recommend/face-recognition.html
*2 https://about.fb.com/news/2021/11/update-on-use-of-face-recognition/
*3 https://japan.cnet.com/article/35167108/
*4 https://news.yahoo.co.jp/articles/00845c32022957980de3283069a264f5ef284ce9

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