ノーコードで機械学習が可能なAmazon SageMaker Canvasに注目が集まる理由
人工知能開発は、今や最先端のテック事業として大いに注目を集めています。10年ほど前までは高度な技術を要する領域と考えられてきましたが、近年はコンピュータの進化やサービスの普及により、知見がなくとも簡単にAI開発が行えるようになっています。
今回は、そんなAI開発をさらに加速させると期待されている、AWSの新サービスである「Amazon SageMaker Canvas」について、その注目の理由をご紹介します。
目次:
①Amazon SageMaker Canvasとは
②Amazon SageMaker Canvasの機能
③Amazon SageMaker Canvasが注目される理由
④Amazon SageMaker CanvasでAI開発はどう変化するのか
Amazon SageMaker Canvasとは
Amazon SageMaker Canvasは、2021年11月にAmzonが発表した、ノーコードで機械学習が実現する新しいサービスです。データセットの分析や予測を、高度な技術を持つエンジニアやデータサイエンティストに頼らずとも、意思決定者が直接ML(機械学習)モデルを実装し、ビジネスの最前線で運用ができることをコンセプトに発表されました*1。
これまで、機械学習を使ったAI開発というのは知見のあるデータサイエンティストに任せることで実現するものでした。統計学の延長線上にあると考えられる機械学習を使って、高度で客観性の高い予測を可能にするものです。今回のAmazon SageMaker Canvasの登場によって、よりAI開発が身近になるとともに、積極的なデータ活用が推進されることが期待されます。
Amazon SageMaker Canvasの特徴
新たな機械学習支援サービスとして登場したAmazon SageMaker Canvasですが、ここでこのツールがどのような特徴を持っているのかについて、確認しておきましょう。
あらゆるデータセットに対応
Amazon SageMaker Canvasは、ベーシックなCSV形式のデータセットをはじめとする、あらゆるデータに対応しています。データソースはPCやAWS上に保存されているものはもちろん、Amazon RedshiftやSnowflakeなど、他のクラウドまたはオンプレミスのデータソースに接続して取得することもできます*2。
データが統一されていない、あるいは複数のデータソースがあり、それらを有効活用したいと考えている場合に有効な機能です。
複数の問題タイプをサポート
機械学習のアプローチには複数あり、分析の目的やデータの形式によって使い分けることが求められます。Amazon SageMaker Canvasでは二値分類や多クラス分類、数値回帰など、多様な問題タイプをサポートしているため、いかなる課題に応じた運用であっても柔軟に対応することができます*3。
今後機械学習をあらゆる方面で活用していきたい、さまざまなAI向けの課題を抱えている、という方におすすめのサービスと言えます。
基本操作はクリックアンドドロップで対応可能
機械学習を支援するクラウドサービスは、Amazon SageMaker Canvas以前にも多様なサービスが存在していました。こちらのサービスでは従来のツールとの差別化の意味も含め、最も簡単に機械学習を実践できるよう、操作を極めて簡潔にまとめている点も特徴です。
ある程度の入力作業や選択は必要なものの、コーディングの必要がほぼなく、クリックアンドドロップの基本操作だけで学習を行えるので、機械学習そのもののハードルを大幅に下げることに成功しています。
AWSユーザー向けの体験価値を実現
Amazon SageMaker Canvasは、AWS上で提供されるサービスであるため、すでにAWSを運用しているユーザーにとってはシームレスに動作する、利便性の高いツールとなることが期待できます。
AWS上のデータベースを利用できるほか、複数のクラウドプラットフォームを行き来する必要がなくなるので、システムの一本化に貢献します。
Amazon SageMaker Canvasが注目される理由
Amazon SageMaker Canvasの注目度が高まっているのには、マーケットに強力な需要があるからに他なりません。なぜクラウドAIツールに注目が集まるのか、確認しておきましょう。
人材不足の深刻化
一つは、少子高齢化による人材不足が先進国で顕著になっていることです。日本も労働人口の減少が顕著になっており、新しい人材が枯渇しているために、事業の縮小を余儀なくされたり、新規ビジネスの創出意欲が減退しつつあります。
AIツールの活用によって、スマートな企業経営を実現し、少ない人手でも高度な業務を遂行できる環境づくりが求められています。
DXの普及
二つ目の理由は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の普及です。日本ではまだ十分に普及しているとは言えませんが、先進的な取り組みに力を入れる企業が世界各国で増加傾向にあり、日本でも増えつつあります。
DXにおいて重要視されているのが、データ活用です。データに基づく客観性のある経営判断や意思決定が行われることで、企業の更なる成長とスマートな経営を促してくれます。データ活用を主体とするDXが浸透することで、Amazon SageMaker Canvasのようなデータ活用の機会をさらに拡充できるツールの普及も進むでしょう。
Amazon SageMaker CanvasでAI開発はどう変化するのか
Amazon SageMaker Canvasの登場によって、AI開発はより効率的に進められるようになります。AI開発の最前線は今や非常に高度なレベルに到達している一方、一企業が取り組める開発というのは初歩的なものに止まっているケースも少なくありません。高度なAI人材を獲得したのにも関わらず、彼らの実力を存分に発揮できる機会が提供できずに、持ち腐れてしまう組織もあるでしょう。AI人材はまだ数が少なく、高度な技術を活かせる現場に立てる機会が限られているためです。
Amazon SageMaker Canvasは、そんな人材を持て余すことがないよう、組織に確かな技術力を与えてくれるきっかけとなります。初歩的な分析作業や学習モデルの構築は、全てこのツールに任せてしまえるため、有力なAI人材は高度な業務に従事できます。
同サービスの普及によって、企業のAI開発は一層の進歩を遂げることになるはずです。
まとめ
Amazon SageMaker Canvasは、AWSをプラットフォームとして運用が可能な、ユーザビリティに優れるAIクラウドサービスとして注目を集めています。これまでAI開発の経験がない方や、AI人材の不足が懸念されている企業での活躍が見込まれます。同ツールの導入によって、社内のDXや技術力はさらに進歩することになるでしょう。
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*1 AWS「Amazon SageMaker Canvas を発表 – ビジネスアナリスト向けの視覚的でノーコードの機械学習機能」
https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/announcing-amazon-sagemaker-canvas-a-visual-no-code-machine-learning-capability-for-business-analysts/
*2 上に同じ
*3 Tech Crunch「AWSがノーコードのMLサービス「Amazon SageMaker Canvas」を発表」
https://jp.techcrunch.com/2021/12/01/2021-11-30-aws-gets-a-no-code-ml-service/