AutoCADの環境設定をカスタマイズする方法
AutoCADは利便性に優れるハイエンドな2D・3D CADソフトで、国内外を問わず組織で導入が進んでいます。また、AutoCADは環境設定をカスタマイズすることで、より便利に運用することができます。
今回は、AutoCADの運用をより便利なものにするための、環境設定のカスタマイズ方法についてご紹介します。
目次:
- AutoCAD環境をカスタマイズするメリット
- AutoCADのショートカットキーをカスタマイズする方法
- AutoCADのツールバーをカスタマイズする方法
- 各種操作環境をカスタマイズする方法
- カスタマイズした設定を共有する方法
AutoCAD環境をカスタマイズするメリット
AutoCADのカスタマイズを実施することで、いくつもの運用メリットが期待できます。
業務効率化につながる
最も大きなメリットとしては、業務の効率化です。AutoCADはさまざまなタスクに対応しているツールである一方、はじめて製品を触った人やこれまで別のCADソフトを使っていた人は、どのようにツールを運用すれば良いのか、どこにどの機能があるのかがわからないという場合もあります。
このような問題は、環境設定をカスタマイズすることで大半を解決することができます。自分の使いやすいようにAutoCADの環境を整えられるので、業務もスムーズに進められるでしょう。
ユーザビリティを高めてストレス低下や生産性向上につながる
ユーザーにとって使いやすい環境での作業ができる状態を整えることで、よく使うツールがすぐ手の届くところにある状態にできるのはもちろん便利なポイントですが、その結果ストレスの低下につながる点も嬉しいポイントです。
CADを用いた作業の大半は長丁場の作業となることが大半であるため、CAD製品のユーザビリティは大いに生産性に影響します。小さな利便性を追求することで、ユーザーに大きな恩恵をもたらします。
AutoCADのショートカットキーをカスタマイズする方法
AutoCADはカスタマイズ性に優れており、さまざまな設定を好きなようにアレンジすることができます。まずはショートカットキーのカスタマイズ方法をご紹介します。
ショートカットキーは、あらかじめ設定しておいたコマンドに応じて、必要なツールを呼び出しすぐに実行できる仕組みです。AutoCAD上で動作するショートカットキーには複数の種類があり、
- 「F1」などのファンクションキー
- 「Ctrl」+「文字または数字キー」
- 「Ctrl」+「Shift」+「文字または数字キー」
- 「Ctrl」+「Alt」+「文字または数字キー」
- 「Ctrl」+「Shift」+「Alt」+「文字または数字キー」
とその種類は豊富です*1。それぞれに好きなツールを当てはめることで、業務効率を高めることができます。
具体的なカスタマイズ方法は、カスタマイズエディタを使う方法が挙げられます。コマンドラインから「cui」と入力すればエディタを展開できるので、[キーボードショートカット]の左側の+マークをクリックの上、[ショートカットキー]を選びます。
すると現在割り当てられているショートカットキーが一覧で表示されるため、コマンドをドラッグ&ドロップで割り当てれば作業は完了です。
AutoCADのツールバーをカスタマイズする方法
続いて、AutoCAD上のツールバーをカスタマイズするための方法をご紹介します。ツールバーをカスタマイズする場合も、ショートカットキーと同様にコマンドラインから「cui」と入力し、カスタマイズエディタを展開するところから始めます。
[すべてのカスタマイズファイル]ウィンドウから[ツールバー]を選択し、左側の+マークをクリックして展開します。
するとすでに定義されているツールバーのツリーが表示されるので、[ツールバー]を右クリックして[新規ツールバーを作成]を選択し、コマンドボタンの配置を行います。
コマンドボタンの配置は、コマンド一覧からドラッグ&ドロップで自由に行うことができるので、必要なツールをピックアップしながら行いましょう。
コマンドの配置が完了した後は適用あるいはOKボタンをクリックし、ツールバーを運用する準備は完了です。
各種操作環境をカスタマイズする方法
上記の設定以外にも、さまざまな環境設定をAutoCADではカスタマイズすることができます。代表的なカスタマイズ例をご紹介します。
クロスヘアカーソルをカスタマイズする
クロスヘアカーソルは、AutoCAD上に表示されている十字のカーソルです。オプション画面から[表示タブ]を選択し、[クロスヘアカーソル]をクリックすると、カーソルのサイズを変更できます。
クロスヘアカーソルの大きさを変更することで、作図した図面や線が曲がっていないか、中央に位置しているかなどを確認したり、オブジェクト同士の位置関係が意図している通りになっていたりするかを確認できます。
必要に応じて、設定を変更してみると良いでしょう。
背景色をカスタマイズする
作図作業を行う背景の色は、オプション設定から変更することができます。オプション画面を開き、[表示]タブから[色]を選択します。
初期設定では目への負担が小さいグレーが設定されていますが、オブジェクトの都合やプロジェクトの都合に合わせて、他の色に変更して作図を進めることができます。オブジェクトの輪郭をよりくっきりと把握したい場合などに活用してみると良いでしょう。
自動保存を設定する
AutoCADでは万が一ソフトがフリーズした時などに備えて、自動保存機能が備えられています。自動保存機能を活用するには、[開く/保存]タブから[ファイルの安全確保]を選択します。
[自動保存]を選択し、バックアップを自動で行う時間間隔を設定します。デフォルトでは10分と設定されていますが、PCの調子が不安定な際には時間間隔を短くするなどして、もしもの事態に備えておきましょう。
カスタマイズした設定を共有する方法
設定したカスタマイズ内容については、他のユーザーと共有し、同じ環境で作業を進めることもできます。
Windows10の場合、[スタート] から [AutoCAD 20xx]を選択、そして [AutoCAD 20xx の設定を書き出す] で設定を共有可能な状態でデータを抽出できます。
[AutoCAD 20xx の設定を読み込む]を選択すると、抽出したデータを他のユーザーが読み込めるようになります*2。
複数人でプロジェクトを進める際は、活用してみると良いでしょう。
まとめ
AutoCADの利便性は、環境設定をカスタマイズすることでさらに高めることができます。必要に応じてそれぞれの設定を変更し、業務の効率化に繋げましょう。
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参考:
*1 Autodesk「カスタマイズの基本 4:ショートカットキー」
https://autocadresources.autodesk.co.jp/better-with-autocad/cutomize-basics-shortcut-key
*2 Autodesk「AutoCAD 間で設定の書き出し、読み込み、バックアップ、転送を行う方法」
https://knowledge.autodesk.com/ja/support/autocad/learn-explore/caas/sfdcarticles/sfdcarticles/JPN/How-to-import-and-export-backup-settings-to-and-from-AutoCAD.html