話題のApple Watch Ultraを他機種と比較してみた
ついに出ましたね!12万超えのハイエンドモデル「Apple Watch Ultra」。
PCのエントリーモデルである「MacBook Air」が13万強で購入できますから、なかなか強気の価格設定です。「Apple Watch Ultra」は、ダイブコンピューター機能搭載が話題となっていますが、一般的なダイブコンピューターなら10万以下の値段で購入できます。
今回はこの「Apple Watch Ultra」について、他の機種と比較しながらみていきましょう。
この記事でわかること
・モデルや価格・基本仕様の比較
・健康・フィットネスなどの標準アプリの比較
・ダイブコンピューターとしての機能の比較
モデルや価格・基本仕様の比較
Apple Watchについて、現在発売されている現行機種はエントリーモデルのSE、基準となるSiries8、そしてハイエンドモデルのUltraとなっています。Appleのプロダクトで「Ultra」が付くのは初めてじゃないでしょうか?
これまでのハイエンドモデルには「Pro」が使われていましたので、今までとは違う位置付けなのかもしれません。
ただちょっと「安っぽい」ネーミングになったかな?という印象を受けました。
これからApple Watchの最上位機種には、「Ultra」が受け継がれていくのか?他のプロダクトにも採用されるのか?さらにネーミングのインフラを起こして「Super Ultra」とかが出てきてしまうのか、、、。
MacBookで「Air」が出たときには素直に受け入れられたのですが、「Ultra」には若干の違和感を感じてしまいます。
では早速、現行機種との比較を見ていきましょう。
モデルと価格
それぞれの機種には、Cellularの有無とケースの素材、カラーバリエーションなどの違いがあります。
Ultra | Siries 8 | SE | ||
モデル | GPS+Cellular | 124,800円 | 74,800円 | 45,800円 |
GPS | ー | 59,800円 | 37,800円 | |
ケース素材 | アルミニウム | ー | ◯ | ◯ |
ステンレススチール | ー | ◯ | ー | |
チタニウム | ◯ | ー | ー | |
サイズと画素数 | 49mm,410 x 502px | 45mm,396 x 484px 41mm352 x 430px |
44mm,368 x 448px 40mm,324 x 394px |
|
カラバリ | アルミニウム | ー | ミッドナイト スターライト シルバー (PRODUCT)red |
ミッドナイト スターライト シルバー |
ステンレススチール | ー | グラファイト(PVD) シルバー ゴールド(PVD) |
ー | |
チタニウム | ナチュラル | ー | ー |
UltraにはGPSだけのモデルはありません。他の2機種では、GPSだけのモデルも選択可能です。
素材もUltraは、Apple歴代の最上位機種に採用されてきたチタニウムのみです。ケースサイズも過去最高の49mm。ダイブコンピューター仕様ということもあり、視認性を優先した大型の作りになっています。
またUltraは、カラーバリエーションもナチュラル1色のみとなっています。
Siries 8はアルミニウムやステンレススチールが選択でき、アルミニウムの「(PRODUCT)red」は、エイズやコロナへの支援プログラムと連携したモデルとなっています。
また、ステンレススチールで(PVD)とあるのは、物理的な蒸着法で表面加工していることを表しています。PVD加工されたものは金属アレルギーを起こしにくく、耐久性が高いなどの特性があります。
Siries 8とSEのアルミニウムモデルには、「Ion-X前面ガラス」が採用されています。またSiries 8のステンレススチールモデルは、丈夫な「サファイア前面クリスタル」となっています。
一方のUltraには「フラットサファイア前面クリスタル」が採用されており、エッジを衝撃から守る特殊なデザインが施されています。
細かいところまでこだわりが見られる点など、さすがに最上位モデルといったところです。
ディスプレイ
Ultra | Siries 8 | SE | |
常時表示 | ◯ | ◯ | ー |
輝度 | 1,000ニト | 1,000ニト | 2,000ニト |
Siries 8とUltraは常時表示が可能です。
特筆すべき点としては、Ultraはこれまでの2倍の明るさである2,000ニトを実現したことでしょう。1,000ニトでも日常的な使用環境なら問題ないレベルです。しかしUltraは海中での使用を想定したダイバーズ仕様であることから、視認性にこだわった作りになっているようです。
実際に海中で使用したレビュー記事や動画などを見てみると、口を揃えて評価しているのが圧倒的な視認性の良さです。
ダイバーズウォッチやダイブコンピューターと比較してもずば抜けており、わざわざライトボタンを押す必要もない点など、Ultraの視認性の良さについてはかなりの高評価となっています。
大型パネル・Retinaディスプレイなども、視認性の良さに大きく貢献しています。
健康、フィットネスなどの標準アプリを比較
次に、標準アプリについて比較をしていきましょう。
健康・フィットネスなどの標準アプリ
Ultra | Siries 8 | SE | |
血中酸素ウェルネスアプリ | ◯ | ◯ | ー |
心電図アプリ | ◯ | ◯ | ー |
高心拍数と低心拍数の通知 | ◯ | ◯ | ◯ |
不規則な心拍リズムの通知 | ◯ | ◯ | ◯ |
睡眠ステージ | ◯ | ◯ | ◯ |
周期記録 | 〇過去の排卵が推定できる | 〇過去の排卵が推定できる | ◯過去の排卵が推定できない |
このカテゴリーでは、Siries 8とUltraは同等の性能となっています。
一方、SEには光学式センサーで血中酸素量を測定したり、心電図を記録する機能は搭載されていません。また周期記録に関してやや性能が劣っているのは、センサー類が原因ではなく、単純にアプリ性能の違いだと思われます。
安全と緊急時
Ultra | Siries 8 | SE | |
サイレン | ◯ | ー | ー |
緊急SOS | ◯ | ◯ | ◯ |
海外における緊急通報 | ◯ | ◯ | ◯ |
転倒検出 | ◯ | ◯ | ◯ |
衝突事故検出 | ◯ | ◯ | ◯ |
騒音のモニタリング | ◯ | ◯ | ◯ |
バックトレース | ◯ | ◯ | ◯ |
このカテゴリーに関しては、SEとSiries 8がほぼ同等です。Ultraにだけ、緊急時に最大180m先まで届く大音量でサイレンを鳴らす機能が搭載されました。
ダイビング中に問題が発生するなど一刻を争うケースでは、緊急連絡先への通知だけでは間に合わない可能性が高いです。そのような場面を想定し、近くにいる人に助けを求めるサイレン機能を新たに搭載しています。
これまでのApple Watchシリーズで搭載されていた健康やフィットネス関係、緊急時の通知などはSiries 8とほぼ同等であり、Ultraに特段の優位性はありません。
今までの性能で満足しておりダイビングをしないという方の場合は、Siries 8で十分でしょう。Siries 8であればカラバリも楽しめますし、GPSモデルも選択できます。
ダイブコンピューターとしての機能を比較
それでは「ダイブコンピュータ」としての機能を比較してみましょう。
ダイビング向けの仕様
Ultra | Siries 8 | SE | |
耐水性能 | 100M | 50M | 50M |
水深計と水温センサー | ◯ | ー | ー |
ダイブコンピューターアプリ | ◯ | ー | ー |
今回のUltraで一番注目されているのが、ダイビング仕様になっているという部分です。
耐水性能は水深100m。実際には水深40m程度のレクレーションダイビングまでを保証しています。
海中に入ると自動的に感知し、画面にロックがかかります。現在はこの状態のまま、海中から出るまでは一切の操作ができなくなっています。
海中から出た時に水の排出を行い、手動でロックを解除することで操作可能となります。
現時点(2022年10月)で、ダイブコンピューターアプリがまだ利用できないことから、このような仕様になっているものと思われます。
今後アプリが使えるようになった場合、海中での操作もできるようになるのではないでしょうか。
海中に入ると、水深と水温、時間などを表示した画面でロックがかかります。
前述した通り、大画面・高輝度で非常に見やすく、海中でも一目で状況を確認できます。ダイブコンピューターと併用しているレビューなどでも、視認性においては圧倒的な差が確認できます。今後、ダイブコンピューターの画面設計に影響を与えるぐらい、画期的なデザインと言えるでしょう。
そもそも、ダイブコンピューターとしての機能については、Siries 8やSEと比較しても仕方ありません。Siries 8やSEは、ダイビングウォッチとしてならまだしも、ダイブコンピューターとしての使用を想定しておらず、その機能も実装していません。
となると比較する対象は、ダイブコンピューターそのものということになります。しかしこの点についても、現状ではダイブコンピューターアプリがリリースされていませんので、実際に使用して比較することができません。
ダイブコンピューターアプリに関しては無料版と有料版があり、有料版ではサブスクで課金する仕組みになっている点が気になります。
サブスクの料金として、1Dayの使用で4.99ドル。1ヶ月なら9.99ドル。年間契約で79.99ドルかかります。減圧に関する情報などは有料版でしか提供されないようですので、本格的にダイブコンピューターとして使用するのであれば、サブスクで課金する以外に方法はありません。
さらに、ウエットスーツの上から着用するのであれば、専用のバンドを購入する必要があり、追加費用が発生すると思われます。
Ultraはバッテリーの持ちが大幅に改善され、Siries 8の2倍である36時間となりました。低電力での使用なら60時間を実現し、これまでのApple Watchの中でも最長の持続時間です。
しかし、一般的なダイブコンピューターの場合、電池持ちは数年であり、価格的にもエントリーモデルであれば2万円程度から購入することが可能です。多少高性能でも10万円以内で納得のいくものが購入できるのではないでしょうか。
また専用機であることから、正確性・耐久性・使いやすさ・機能面でもApple Watch Ultraを上回るものも多いと思われます。
このような点を考慮すると、現状ではApple Watch Ulrtaをメインのダイブコンピューターとして本格的なダイビングに使用するのは、あまり現実的ではなさそうです。
ダイブコンピューターは専用機を準備し、あくまでダイビングウォッチ兼サブコンピューターといった位置付けが妥当ではないでしょうか。*注1
【まとめ】
Apple Watch Ultraは、単にApple Watchシリーズのハイエンドモデルという位置付けから一歩踏み出してダイビング用へと進化し、カテゴリー自体これまでとは異なると捉えた方が良いのかもしれません。
しかし本格的なダイビング用として、メインで使うにはまだ心許ない感じがします。バッテリーの問題・アプリの問題・機能や性能の問題など、やはり専用機の方が安心できるでしょう。とは言うものの「所有欲」をくすぐる一品であることは間違いなさそうです。
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■参考文献
注1
Apple
https://www.apple.com/jp/watch/compare/