Google Cloudの新サービス「アプリケーションの統合」とは?概要を解説
多様なクラウドサービスを提供することで知られるGoogle Cloudは、この度高度なクラウド活用を促す新しいサービスである「Application Integration(アプリケーションの統合)」を開始しました。
iPaaSとして知られるこの新しいサービスは、具体的にどのような機能を有しているのでしょうか。
この記事では、そんな「アプリケーションの統合」とはどのようなサービスなのかや、活用のメリットなどについて解説します。
目次:
- IPaaSの「アプリケーションの統合」について
- 「アプリケーションの統合」の活用メリット
- 「アプリケーションの統合」の主な機能
- 「アプリケーションの統合」の料金モデル
iPaaSの「アプリケーションの統合」について
「アプリケーションの統合」はGoogle Cloudが2023年7月より一般提供を開始している、iPaaSの一種です*1。ここではiPaaSとはどのようなサービスであるかを解説した上で、同ツールの概要を紹介します。
iPaaSの概要
そもそもiPaaSの正式名称は「Integration Platform as a Service」で、異なるクラウドサービスを一元管理するための統合管理サービスです。
クラウド活用は各企業で進んでおり、複数のツールを一つの組織で導入するケースも珍しくありません。クラウドは確かに便利ですが、多数のツールを同時に扱うとなると、その管理が新たな業務として発生します。
アクセス権限の設定やアカウントの管理、ライセンスの更新など、多くの業務が生まれるクラウド活用のデメリットを解消するために誕生したのが、iPaaSです。iPaaSの導入によってクラウド管理の負担を軽減し、本来のクラウド導入メリットである生産性向上を後押ししてくれます。
「アプリケーションの統合」とは
Google Cloudが提供する「アプリケーションの統合」は、Googleが提供するSaaS、サードパーティのSaaSを問わず連携を実施し、クラウド活用の効率化をもたらしてくれるiPaaSです。
Google Cloudは企業・個人を問わず大きなシェアを持つ、業界でも人気の高い多くのクラウド製品を扱っています。「アプリケーションの統合」はそんなGoogleのクラウドサービスの活用をより便利なものとするだけでなく、Google以外のクラウドサービスとの連携も容易にすることで、円滑なサービス導入や活用を促せるのが特徴です。
これまで複数社のクラウドサービスをまたぎながら利用していたユーザーにとっては、魅力的なサービスと言えるでしょう。
「アプリケーションの統合」の活用メリット
iPaaSにもいくつかの種類はあるものの「アプリケーションの統合」の導入は、企業にとって複数のメリットをもたらしてくれます。
ノーコードで環境整備ができる
「アプリケーションの統合」の最大の強みと言えるのが、ノーコードで導入が可能という点です。iPaaSを使ってシームレスなクラウド環境を整備する場合、大抵はコーディング処理が発生するため、専門のエンジニアリングスキルが求められます。
一方で「アプリケーションの統合」は、ドラッグ&ドロップの簡単操作でコードを組み上げ、実装ができるサービスです。簡単かつスピーディに理想のクラウド環境を構築し、業務効率化を進められます。
互換性に優れる
「アプリケーションの統合」はGoogle Cloud製品だけでなく、他社のクラウドサービスとも連携できるのがポイントです。新しくクラウド環境を整えたくとも、すでに会社で導入しているサービスとの相性が悪ければ、クラウド運用を高度に設計するのは難しいものです。
一方「アプリケーションの統合」を活用すれば、Google Cloudをはじめ多くのポピュラーなクラウドサービスと互換性を持っているため、どのような環境でも柔軟にiPaaS導入を行えます。
コストパフォーマンスが高い
コストパフォーマンスの高さも「アプリケーションの統合」が有する強みの一つです。詳しい料金体系については後述しますが、同サービスは無料プランを備えており、2つのノードの接続、および毎月で最大400の統合実行、20GiB のデータの処理は無料で利用することできます*2。
ただ、これらの無料対応はGoogle Cloud利用時のみに限定され、サードパーティの製品の場合は適用外となる点は注意が必要です。とはいえ試験的に同サービスのパフォーマンスを確認する分には十分と言えるため、試しに活用してみましょう。
「アプリケーションの統合」の主な機能
具体的に、「アプリケーションの統合」はどのような機能を備えているのでしょうか。注目したい主な機能は、
- Visual integration designer
- Plug-and-play connectors
- Automated triggers and transformations
- Unified platform
です*3。
Visual integration designerは、先述したドラッグ&ドロップ方式のコーディング機能で、手動の作業を最小限に抑えながらワークフローを構築できる機能です。Plug-and-play connectorsは各種Google CloudのサービスをSalesforceなどのサードパーティのサービスと接続するための機能を提供します。
Automated triggers and transformationsは組み込みトリガーを使ってAPIを呼び出したり、高度なマッピング機能を駆使してデータ変換を実施したりする機能です。またUnified platformを活用すれば、他の統合サービスとの連携も実現し、シームレスな運用環境を拡張することができます。
「アプリケーションの統合」の料金モデル
「アプリケーションの統合」は無料プランも備えているものの、機能をフル活用する上では有料サービスの利用が不可欠です。
同サービスは他のクラウドサービスと同様従量課金制を採用しており、1,000の統合実行のたびに0.5ドル、1ノードを1時間接続するたびに0.7ドルといった価格となっています*4。
また、大規模な運用を検討している方に向けて別途サブスクリプションプランも提供しています。こちらは従量課金制ではなく、別途料金プランをカスタマイズしてもらうサービスであるため、必要の際には問い合わせることで見積もりを出してもらうことが可能です。
まとめ
この記事では、Google Cloudの最新iPaaSである「アプリケーションの統合」について、基本機能や導入のメリット、料金プランなどについて紹介しました。
さまざまなクラウドサービスが登場し、企業でも複数のサービスを併用することが当たり前となっている近年、このようなiPaaSの重要性は高まっており、導入によってさらなる生産性向上が期待できます。
「アプリケーションの統合」では従量課金制が一般的ですが、大規模運用を検討しているユーザーにはお得なサブスクリプションプランも提供しているため、自社の運用スケールに応じてサービスの導入を検討しましょう。
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出典:
*1 Publickey「Google、iPaaS「Application Integration」正式リリース。Salesforceやkintone、BigQuery、MySQLなど多数のサービスをGUIで接続」
*2 Google Cloud「アプリケーションの統合」
https://cloud.google.com/application-integration?hl=ja
*3 CodeZine「Google、コード記述なくアプリケーションを統合できる「アプリケーションの統合」を一般提供」
https://codezine.jp/article/detail/18091
*4 *2に同じ