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Google pixel foldが欲しいけど、折り畳みスマホってなぜ高いの?

折りたたみスマホの分野にGoogleが参入してきたことで、今後この分野は盛り上がりを見せるかもしれません。とは言え、25万円オーバーという価格設定に購入を躊躇してしまいます。
サムスンが初代のGalaxy Foldを発表してから随分経ちますが、一向に価格がこなれてくる様子を見せません。なぜ、折り畳みスマホの価格は高止まりしたままなのでしょうか?

この記事でわかること
 ・一般的なスマホとの部品の価格の違い
 ・市場占有率と量産効果
 ・プロダクトとしての完成度と研究開発費

一般的なスマホと比べてそもそも部品が高額

折り畳みスマホの代表となっている、「Galaxy Foldシリーズ」の初代が登場したのは2019年。もう4年も前のことになります。当時の価格は512GBモデルで223,200円でした。
「Galaxy Foldシリーズ」は、液晶の真ん中で折り畳むことができ、目新しい機能が注目を集めました。*注1

例えばの話ですが、液晶テレビが真ん中から二つに折り畳めるとしたら、かなり衝撃でしょう。
折り畳みスマホを初めて目にしたときは、液晶ってそんなことしていいの?という驚きと、技術の進化って凄いんだなという感想を持って眺めていました。

大画面のディスプレイを折り畳むことで携帯しやすいサイズにすることができる!と、スマホでの動画視聴やゲームプレイが当たり前になってきたところに登場したため、便利さと携帯性の良さで話題となりました。
しかし、やはり一番のネックはその価格です。20万円オーバーというのは、なかなか気軽に手が出せる価格帯ではありません。

でも大丈夫!どんなプロダクトでも新しいカテゴリーの初期モデルは高いものです。すぐに他社の参入による競争の激化、製造技術の一般化、量産効果などで価格は下がっていくはずです。白物家電などがいい例で、いつまでも価格が高止まりすることは普通ありません。
と、このように、いつ価格がこなれてくるのかな?と思って待っていましたが、待てど暮らせど一向に20万円を切ってくれません。

高いブランド力を持っているAppleのように、王様価格のまま一定の市場を確保し続けている例はありますが、それは特殊と言えるでしょう。新たにGoogleが折り畳みスマホの分野に参入してきたにもかかわらず、競争原理が働かないのはなぜなのでしょう?

そんな疑問に対する一つの答えを「Counterpoint Research」という調査会社が出していました。結論を簡単にまとめると「そもそも部品が高いから」というものです。

ディスプレイだけに限っても、一般的なスマホに比べて大きなサイズでしかも折りたたみができるものを使っています。これだけでもコストアップなのに、折り畳んだ時に使うためのサブディスプレイまで必要です。そのため、小さいサイズのタブレット+一般的なスマホぐらいのディスプレイを搭載することになります。

同じく「Counterpoint Research」の調査では、iPhone 14 Pro Maxに関して、ディスプレイ価格は全体の20%を占めていると書かれています。全体の5分の1を占める重要パーツがディスプレイであり、ただでさえコスト増につながる部分と言えるでしょう。
当然折り畳みスマホのディスプレイも、全体コストに占める割合が大きくなるのは間違いありません。
 
さらに、折り畳みを実現するヒンジや内部の配線、設計コスト、折り畳みスマホに適したOSやソフトの開発など、コストアップに繋がりそうなものが山盛りです。
このような点を考慮すると、折り畳みスマホの価格がなかなか落ちてこないことにも納得せざるを得ないでしょう。*注2

市場占有率が低く、量産効果が効かない

ここまでは「Counterpoint Research」によるレポートを元に、折り畳みスマホの価格が高い理由を「製造コスト、特に部品の価格が理由である」と紹介してきました。
世界的に有名な調査会社のレポートですから、十分に信頼できるものではありますが、メーカーが言っていることではありませんので、あくまで予想の範囲を超えません。

ここで別のソースから、製造原価について確認してみましょう。
「Nikkei Asia」によると、Galaxy Z Fold 4の製造原価は670ドル、またiPhone 14 Pro Maxの製造原価は501ドルとなっています。確かに15%以上、製造原価に差があることがわかります。

しかし、販売価格が異なりますので原価率に関しては意外な結果が出てきます。
Galaxy Z Fold 4の原価率は40%以下、またiPhone 14 Pro Maxは46%です。このことにより、Galaxyの方が利益率が大きいという結果が分かります。
iPhone並みに利益率を落とせば、もう少し販売価格を下げることができるはずです。なんだか納得いかないと思うのは私だけでしょうか。*注3

利益率により、折り畳みスマホの価格を下げない理由が、部品価格だけではないと考えるのが適切でしょう。下げようと思えば、下げられる。でも下げない。これはもう、メーカーの戦略が、一般的なスマホとは異なるからではないかと思われます。

そもそも、折り畳みスマホの市場シェアはまだ2%程度に留まっています。一定のファンを抱えており、それなりの販売台数が期待できるiPhoneとはプロダクトの質が異なります。
当然、限られた台数しか販売が見込めませんので、量産効果も期待できません。さらに、せっかく作っても売れるかどうかすら不明ですから、リスクヘッジのためにも一定の利益率は確保しておく必要があるでしょう。

また、新たに折り畳みスマホに参入してきたGoogleに関しては、別の目的を指摘する記事もあります。
Googleとしてはプロダクトの販売自体はどうでもよくて、ユーザーの操作などの情報を収集し、折り畳みスマホに最適なソフトウエアの開発に活かすことを目的としているのではないかと言うものです。
もしGalaxyに対抗して市場シェアを取ることが目的ならば、もっと戦略的な価格設定にするはず。WIREDではそんな視点を紹介しています。*注4

どんな商品やサービスでも、多くの事業者が適正に競い合うことで質が上がり、価格は低下してきます。これが自由競争の素晴らしいところでもあります。
折り畳みスマホはまだ、事業者自身がフィールドテストをしている段階であり、メインのユーザーに訴求するプロダクトになっていない。それが価格が下がってこない大きな理由のようです。

まだプロダクトとして完成しておらず、研究開発費がかかる

私自身、折り畳みスマホに関しては全く魅力を感じておらず、そもそも購入対象としてすら考えたことがありませんでした。
確かに大画面は動画の閲覧だけでなく、ネット検索などの情報収集作業にも便利そうです。また、ちょっとした書類の作成やデータ入力も、一般的なスマホより簡単そうですし、興味が全くない訳ではありません。

購入対象とならない一番の理由は「折り畳んだ時に、みっともない隙間ができること」につきます。前作までのGalaxy Foldはヒンジの作りが甘く、畳んだ時に不自然な隙間ができてしまい、実にみっともない格好になっていました。
分厚い書類を折った時のような見た目の悪さ。私的には、これがどうしても我慢できませんでした。

しかし、最新モデルであるGalaxy Z Fold 4では、この隙間が全くなくなり、フラットに折り畳むことができるようになっています。これは新たなヒンジ機構の採用で実現したデザインであり、折り畳みスマホが新しいステージに進んだことを意味しています。

スマホという新しいフィールドを開拓しリードしてきたiPhoneですら、最近は目新しい機能アップはなくなり、すでに「枯れたプロダクト」になりつつあります。それに比べて折り畳みスマホはまだ発展途上のプロダクトであり、大きな可能性を秘めていると言えるでしょう。

しかし、その分メーカーとしてはあらゆる可能性を追求して行く必要があり、現時点では数多くの設計・デザイン・機能を試している段階です。当然、研究開発に時間とコストが必要であり、市場に投入される製品にはこのようなコストが上乗せされてきます。販売台数もそれほど多くないとなれば、当然安売りするのは難しくなるでしょう。

先に取り上げた「量産効果が効いてこない」と同じことではありますが、「まだ発展途上のプロダクトだから」という意味付けも重要と感じたため、あえて別枠にしてみました。

【まとめ】
私はFOMA時代、パナソニックの折り畳み携帯を愛用していました。折り畳んでもそれほど分厚くなく、ヒンジ横のボタンを押すとパカっと開くのが気持ちよかったのを覚えています。当時は、スタートレックのコミュニケーターをイメージしながら使っていました。
今後、折り畳みスマホ自体がもっと進化し、こなれたプロダクトとして価格が下がる段階まで来た場合、購入を検討しても良いかなと思っています。

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■参考文献

注1
スマホBANK 「Galaxy Fold」
https://sumaho-bank.com/product/galaxyfold

注2
CNET Japan 「折りたたみスマホの価格が高いのはなぜ?専門家に聞いてみた」
https://japan.cnet.com/article/35207153/

Gigazine 「iPhone 14 Pro Max(128GB)の部品表コストは平均6万1000円でiPhone 13 Pro Maxより3.7%増加、Appleの自社設計チップが22%以上を占める」
https://gigazine.net/news/20230214-iphone-14-pro-max-costs-bom-analysis/

注3
iPhone Mania 「Galaxy Z Fold4の部品原価はiPhone14 Pro Maxよりも安い?」
https://iphone-mania.jp/news-509478/

注4
WIRED 「折り畳みスマートフォン「Pixel Fold」が大ヒットしなくても、グーグルにとって問題ではない」
https://wired.jp/article/google-doesnt-need-you-to-buy-a-pixel-fold/

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