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Appleが開発中と噂のVR・ARゴーグル搭載の「RealityOS」とは

 りんご畑の住民にとって、Appleの新デバイス登場の噂は、毎度のことながらヤキモキさせられてしまいます。

 iPhone・iPad・AirPod・Apple Watchなどに続く、今一番期待の新デバイスと言えば「VR/ARゴーグル」です。2022年現在、もっともホットな話題かもしれません。

 今回の記事ではこの「VR/ARゴーグル」に搭載予定(という噂)の「Reality OS」などについてまとめていきましょう。

この記事でわかること

 ・Reality OSについて

 ・登場間近と噂のVR/ARゴーグルについて

 ・VR/ARゴーグルをめぐる市場

Reality OSについて現時点でわかっていること

 現時点で、「VR/ARゴーグル」の機能やUIなどの具体的な情報については、全くと言っていいほどわかっていません。

 しかし2022年2月になって、GitHubに「Reality OS」に関する記載があることが発見されました。Appleのオープンソース・ソフトウェア・ディストリビューションのシステムアカウントで「Apple OSS Distributions」が「MachOSFile.cpp」というリポジトリを作成しています。それを調べた開発者であるスティーブ・トラフトン・スミス氏が発見したものです。*注1

 報告された内容によると、「Reality OS」という名称が複数箇所で見つかった他、開発者向けのシミュレーションの存在が確認されたということです。

 Appleは2016年ごろから、VR/ARゴーグルに関する開発を進めているのではないかと噂されていましたが、そのOSについては具体的な情報はほとんど出ていませんでした。

 2022年1月に、Bloombergの記者であるマーク・ガーマン氏が、VR/ARゴーグル用のOSの開発コードネームが「Oak」であり、名称が「rOS」であるとレポートしていました。

 今回、レポジトリが発見されたことで、「r」がRealityのことであることがわかり、両方の情報の整合性が取れたことで信憑性がますます高まっています。*注2

 現在GItHubのレポジトリは更新されており、Reallity OSの記述は確認できなくなっています。

 今回のレポジトリは、「Appleの中の人」によるうっかりミスなのか、意識的にリークされたものかは不明です。しかし、厳しい情報統制が取られているAppleで、新OSに関わるような業務をしているエンジニアが、簡単に「うっかり」するとはにわかに信じられません。

 Appleはこれまでも、公式発表ではなく意図的な情報のリークをすることで、ユーザーに期待感を持たせるようなことをしてきました。匿名でメディアに情報提供したり、内部文章や製品仕様、デザインに関するリークなどが新製品発表前に集中することがしばしばあります。

 今回もWWDC2022を6月に控えて、このような「意図的」なリークがなされた可能性は否定できないでしょう。

 さらに決定的と思えることが5月にも報告されています。Appleのダミー会社と思われる企業「Realityo Systems LLC」によって、「Reality OS」が商標登録に出願されたというものです。

 パーカー・オートラニ氏がTwitterで報告し、マーク・ガーマン氏も「VR/ARゴーグルの発表が近い」ことを表していると考えているようです。*注3

 Appleはこれまでにも、Big SurやMontereyなどのOSの名称を、ダミー会社経由で商標登録したことがあり、今回も同じ手順を踏んでるのではないかと予想されています。

 ここまで条件が揃った状態で迎えた「WWDC2022」でしたが、残念ながらVR/ARゴーグルに関する発表はなく、当然「Reality OS」についても触れられませんでした。

 りんご畑の住民としては、またも肩透かしを喰らいヤキモキする日々を過ごすことになってしまいました。最後の最後まで「One More Thing,,,」を期待して見ていた方も多いのではないでしょうか。*注4

登場間近と噂の「VR/ARゴーグル」について

 少し視点を変えて、Apple製の「VR/ARゴーグル」について、どのような噂が流れているのかを確認してみましょう。こちらも具体的な公式アナウンスはありませんので、あくまで「予想」や「噂」の範囲であり、信憑性については各自で判断する必要があります。

 ■2010年09月 

 ARヘッドセットを米ゲームデベロッパーValveと共同で開発しているとの噂。

 有名リーカーのクー氏は早ければ2022年上半期に発表と予想。(ソースDigitimes)

https://www.digitimes.com/news/a20191104PD209.html

 ■2019年11月

 2022年にARヘッドセット、2023年にARメガネを発表との噂。(ソースThe Information)

https://www.theinformation.com/articles/apple-eyes-2022-release-for-ar-headset-2023-for-glasses

 ■2020年5月

 Ming-Chi Kuo氏がARメガネの発表が2022年であり、iPhoneに依存する仕組みとレポート。 *注5

 この時期ぐらいまでは、最初にリリースされるデバイスがARヘッドセットかARメガネか、と二転三転しているようです。また、スタンドアローンで動作するのではなく、iPhoneに依存するデバイスという予測もあったようです。

 2021年1月には、Bloombergのマーク・ガーマン氏が詳しい仕様に関する予想を発表しています。

 それによると、バーチャルタイピングで文字入力できるAR機能を実装。M1チップを上回る高性能チップを採用し、発熱を抑えるためファンが搭載される予定。ファブリック筐体で、既存製品よりも高解像度なディスプレイを採用したハイエンドモデルとなっています。*注6

 2021年3月には、有名リーカーのクー氏が具体的なロードマップに関する予測を発表しています。2022年にはヘルメット型(ヘッドマウントタイプ)。2025年にはメガネ型。なんと2030年から2040年ごろには、コンタクトレンズ型をリリースするとのことです。

 メガネ型ぐらいまでは現実味を感じますが、さすがにコンタクトレンズ型と言われると、どこまで信頼性があるのか疑ってしまいます。

 しかも10年も先の予想というのは、進化の激しいIT業界ではあるものの、多少「希望的観測」が多めの予想のように思えます。

 2022年発表予定のヘルメット型は、200gから300g程度の重さですが、課題の解決に成功すれば100g程度軽量化できる見込みです。またスタンドアローンで動作するとのことです。

 価格帯は1,000ドル程度とのことですから、MetaのQuest2などと比較してもかなり高額になりそうです。*注7

 価格については非常に気になるところですが、さらに高額でプロユースになるのではという噂も出ています。

 Display Supply Chain Consultants(DSCC)によると、AppleのAR/VRヘッドセットにはソニー製のマイクロ有機ELパネルを2つ、アクティブマトリックス有機EL(AMOLED)を1つ搭載した3つのディスプレイを持つ、超ハイエンドモデルであると予想しています。

 価格は少なくとも数千ドルとみられており、対抗となるのはマイクロソフトの「HoloLens」ということになるでしょう。

 こうなると一般ユーザーには、とても手が出ないプロダクトになってしまいます。できればコンシューマー向けとプロユース向けの、複数ラインナップでお願いしたいものです。*注8

VR/ARゴーグルをめぐる市場について

 ここまで記述してきた通り、Appleの「VR/ARゴーグル」については「かなり煮詰まってきた」状況です。製品発表が間近というのは、おそらく間違いないでしょう。

 問題はその時期と具体的な製品の仕様です。WWDC2022での発表が見送られた理由が、世界的な半導体不足によるものか?製造段階での課題があるのか?それとも戦略的なものなのかわかりません。

 しかし2022年末から2023年初めぐらいには、実機を目にすることができると期待して良いでしょう。今度こそ、「One More Thing…」といたずらっ子のように、思い切り勿体ぶってプレゼンするクック氏がいるはずです。

 現在、「VR/ARゴーグル」市場は決して大きくはありません。ポケモンGOの世界的な流行により「AR元年」と言われてからすでに数年が経過しています。しかし、まだまだ私たちの日常に深く関わる形でのAR技術の利用は進んでいません。

 VRに関してはMetaのQuestシリーズが有名であり、ゲームユーザーの一部にはすでに馴染み深いデバイスとして利用されています。

 2022年前半に話題となったメタバース関連サービスの影響もあり、今後さらに安価で使いやすいVRデバイスが登場すれば、一気に普及するかもしれません。

 一方のARデバイスについて、現時点での主流はスマホです。スマホ上のアプリと連携して現実世界にデジタルデータを表示するタイプのサービスが多く、ARゴーグルやグラスについては特定分野でしか利用が進んでいません。

 マイクロソフトのHoloLensが有名ですが、40万円以上する価格から一般ユーザーには手が出ません。

 このような市場に、VR/ARの両方で使えるデバイスがAppleから登場!となると、これまでにないインパクトを与える可能性があります。

 Appleは時代を変えるような新プロダクトを、過去に何度もリリースしていた企業です。しかし決して「それまで影も形もない新しいデバイス」を発明してきたわけではありません。

 例えば、iPhone登場以前にもスマートフォンはありました。しかし、Appleが画期的だったのは、全面液晶の採用で物理ボタンを無くしたデザインであり、それでも操作性が損なわれない使いやすいUIだったこと。

 さらにインターネット接続デバイスとしてスマートフォンを定義し、電話は単なるアプリとして搭載するなど、「それまでの常識を覆す」アプローチがまさに『世界を変えた』のです。

 またiMacの前にもPCはありましたし、iPodの前にもタブレット端末は存在していました。

 Appleは既存の市場に、それまでの常識を覆すような画期的な製品を投入することで、一気にユーザーを取り込み、新たな市場規模を創出してきた企業です。

 なんだかこのような過去の事例を思い出してみると、現在の「VR/ARデバイス」関連市場が、ちょうど「iPhone登場前夜」のような感じがしてきます。

まとめ

 最近のApple初の新プロダクトは、AirPodやApple Watchなど「iPhoneの周辺機器」がメインでした。それぞれは非常に魅力的で成功してきたデバイスではありますが、基本的にはiPhoneありきの製品です。

 しかし今回の「VR/ARデバイス」は、単体で画期的な性能を持つ製品としての期待ができるそうです。

 iPad以来の「世界を変える」可能性を秘めたデバイスになるかもしれません。ずいぶんお預けが続いたので、できれば2023年ぐらいまでには現実になって欲しいものです。

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■参考文献
注1
Gigazine 「AppleがVR/ARヘッドセット向けOS「realityOS」を開発中であると判明」
https://gigazine.net/news/20220210-apple-ar-headset-reality-os/
iPhone Mania 「AppleのAR/VRヘッドセット用OSは、realityOS?ソースコードに記述」
https://iphone-mania.jp/news-437108/
注2
「iOS16、macOS 13、tvOS16、ヘッドセット用rOSのコードネームは?」
https://iphone-mania.jp/news-430615/
注3
IT Media NEWS 「Apple、「RealityOS」を商標登録か? 登録したRealityo Systemsはダミー会社か」
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2205/30/news132.html
注4
Apple Developers 「WWDC2022 Keynote」
https://developer.apple.com/videos/play/wwdc2021/101/
注5
gori.me 「AppleのARメガネ、最短で2022年に発表か」
https://gori.me/apple/apple-news/126823
注6
Bloomberg 「Apple’s First Headset to Be Niche Precursor to Eventual AR Glasses」
https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-01-21/apple-s-first-vr-headset-to-be-niche-precursor-to-eventual-ar-glasses
注7 
gori.me 「AppleのMRヘッドセット、価格は約1,000ドルで2022年に発表か」
https://gori.me/apple/apple-news/132508
注8
gori.me 「AppleのAR/VRヘッドセット、3つのディスプレイを搭載か」
https://gori.me/apple/apple-news/139550

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