1. TOP
  2. ブログ
  3. 3DCADはノートパソコンでも動く?必要なスペックと選ぶポイント

3DCADはノートパソコンでも動く?必要なスペックと選ぶポイント

はじめに

近年、3D CADを扱う際にノートパソコンを選ぶ方が増えています。特に中小企業の技術者にとっては、デスクトップパソコンに代わる移動可能なソリューションとして注目されています。しかし、3D CADをスムーズに動作させるためには、ノートパソコンのスペックが非常に重要です。

この記事では、3D CADをノートパソコンで動かすための必要なスペックや、選び方について詳しく解説していきます。CADの操作性や移動中の作業効率を考慮し、最適な選択をサポートします。この記事を読むことで、各種ハードウェアの特性を理解し、知識に基づいた判断ができるようになります。それでは、3D CADの基本的な概念から始め、順を追って具体的なポイントを見ていきましょう。

3D CADとは?基本を押さえる

3D CADは、製品設計や建築設計などで立体図形を作成するためのソフトウェアです。従来の2D CADと異なり、3D CADは三次元空間で設計を行うため、よりリアルなモデルを生成することができます。業界では製品のプロトタイプ作成や、設計修正の効率化に活用されています。これにより、設計者は製品の実際の形状を視覚化でき、デザインの精密さを高めることができます。また、3Dプリンタとの組み合わせにより、設計から試作品の製造までのプロセスを大幅に短縮できます。

画像引用: Autodesk「Autodesk Fusion:CAD を超えた未来の設計・製造ソリューション」
https://www.autodesk.com/jp/products/fusion-360/overview

3D CADの基本概念

3D CADの基本概念は、三次元空間を利用してデザインを作成することにあります。この技術は、エンジニアやデザイナーが製品を計画し、製造する過程で極めて重要です。3D CADを使用することで、製品はまずデジタルモデルとして作成され、さまざまなシミュレーションや分析が行われます。これにより、製品の耐久性や機能性を事前に確認できます。さらに、3D CADは複雑な設計を簡単に可視化することができ、エラーの早期発見や修正が可能です。

画像引用: Autodesk「Autodesk Revit:設計と施工のための BIM ソフトウェア」
https://www.autodesk.com/jp/products/revit/overview

2D CADとの違い

3D CADと2D CADの大きな違いは、描写の次元にあります。2D CADは平面上での設計を行うのに対し、3D CADは立体的な設計を可能にします。これにより、3D CADを利用することで、設計者はより現実に近いイメージを描くことが可能です。例えば、部品同士の干渉をチェックしたり、組み立て手順を視覚化することができます。これに対して、2D CADは製図や平面設計に特化しており、複雑な立体構造を描くのには限界があります。

ノートパソコンで3D CADを使うメリット

ノートパソコンで3D CADを使用することには、多くのメリットがあります。最も大きな利点は、そのポータビリティです。ノートパソコンを選ぶことで、設計者はオフィスを離れても作業を続けることができ、場所に縛られない柔軟な働き方が可能になります。また、プレゼンテーションの際にも、ノートパソコンは非常に便利です。クライアントとのミーティングでは、設計を直接見せながら話を進めることができるため、その場でのフィードバックを即座に設計に反映することができます。これにより、コミュニケーションの効率が向上し、プロジェクトの進行をスムーズにすることができます。

移動中も作業が可能

ノートパソコンは持ち運びが容易であるため、移動中でも作業を続けることができます。特にビジネスの現場では、出張や外出先でもCAD作業を行う必要がある場合があります。このような状況でもノートパソコンであれば、現場での即時対応が可能です。また、ノートパソコンは空間を取らないため、カフェやラウンジといった限られたスペースでも問題なく作業が行えます。これにより、作業の自由度が大きく向上し、効率的に時間を活用することができるのです。

プレゼンテーションが容易に

ノートパソコンは顧客や上司との打ち合わせの場でも、その利便性を発揮します。設計図や3Dモデルをその場で見せることで、視覚的にプロジェクトの進行状況やデザインコンセプトを伝えることができます。この即時性は、クライアントとの意思疎通を円滑にし、迅速なフィードバックを受けられるため、設計修正のスピードが向上します。また、プロジェクターなどの外部機器と接続することで、大人数のプレゼンテーションにも対応可能です。

必要なスペックとは?

3D CADを快適に動かすためには、高性能なノートパソコンが必要です。そのためには、CPU、グラフィックボード、メモリの3つの要素を重視する必要があります。これらの要素が十分に高スペックであることが、3D CADソフトウェアのスムーズな動作に直結します。CPUは計算処理を行う上での中心的な役割を果たし、グラフィックボードは高精度な描画をサポートします。また、メモリは大量のデータを扱う際に、その処理速度を向上させ、複数のタスクを同時に行うために重要です。これらのスペックを満たしたノートパソコンを選ぶことが、CADパフォーマンスに大きく影響します。

例として、AutoCAD 2025のシステム要件を見てみましょう。

AutoCAD 2025 のシステム要件 (Windows)
オペレーティング·システム64 ビット Microsoft® Windows® 11 および Windows 10 バージョン 1809 以上。サポート情報については、オートデスクの製品サポート ライフサイクルを参照してください。
プロセッサ基本: 8 個の論理コアを備えた 2.5~2.9 GHz プロセッサ (ベース) ARM プロセッサはサポートされていません。
推奨: 3 GHz 以上のプロセッサ (ベース)、4 GHz 以上のプロセッサ (ターボ)
メモリ基本: 8 GB 推奨: 32 GB
ディスプレイ解像度従来のディスプレイ:
1920 x 1080、True Color
高解像度、4K ディスプレイ:
最大 3840 x 2160 の解像度 (「推奨」ディスプレイ カードを使用)
ディスプレイカード基本: 29 GB/秒の帯域幅と DirectX 11 準拠の 2 GB GPU
推奨: 106 GB/秒の帯域幅と DirectX 12 準拠の 8 GB GPU

シェーディング (高速)、エッジ付きシェーディング (高速)、およびワイヤフレーム (高速) ビジュアル スタイルには、機能レベル 12_0 の DirectX 12 が必要です。ビデオ カード製造元の Web サイトから最新のドライバを必ず使用してください。

: AutoCAD は、ビュー操作、線のスムージング、およびテキスト/線種生成など、さまざまな重要なグラフィックス操作にコンピュータのディスプレイ カードを使用します。これらの操作を最適な速度でサポートするには、専用の VRAM を備えたディスプレイ カードを使用することをお勧めします。
ディスク容量10.0 GB (SSD 推奨)
ネットワークWindows 用 Autodesk Network License Manager を参照してください。
ポインティングデバイスMS-マウス準拠
.NET フレームワーク.NET 8

表引用: Autodesk「AutoCAD 2025 のシステム要件 (特殊ツールセットを含む)」
https://www.autodesk.com/support/technical/article/caas/sfdcarticles/sfdcarticles/System-requirements-for-AutoCAD-2025-including-Specialized-Toolsets.html

この中で、特に注意する必要があるのがプロセッサ(CPU)、メモリ、ディスプレイカード(GPU)の3項目です。次に、それぞれの役割と選び方を見ていきましょう。

CPUの重要性

CPUは、コンピュータの頭脳といえる存在であり、その性能がパソコン全体の処理能力を大きく左右します。3D CADを使用する場合、CPUの性能が作業の効率に直結します。推奨されるのは、少なくともインテルのCore i7、第10世代以降のプロセッサです。これにより、複雑な演算や多くのアプリケーションを同時に開いた状態でもスムーズに作業が進められます。さらに、最新の世代のCPUを選ぶことで、より大きなデータセットを扱う際にも負荷が少なく、応答速度が向上します。

グラフィックボードの役割

グラフィックボードは、CADソフトウェアにおいて重要な役割を果たします。特に3Dモデリングを行う際には、高品質な描画能力が求められます。NVIDIA社のGeForce RTXシリーズやAMD社のRADEON RXシリーズは、3D CAD向けに高いパフォーマンスを発揮します。これらのグラフィックボードは、高解像度のモデルやレンダリング作業を行う際に、その真価を発揮します。グラフィックボードの性能が低いと、描画がスムーズでなく、作業効率が落ちてしまう可能性があるため注意が必要です。

必要なメモリ容量

3D CADを快適に使用するためには、十分なメモリ容量が不可欠です。特に、64GB以上のメモリを搭載することで、複雑な3Dモデルや大量の設計図を扱う際にもスムーズに作業を進めることが可能になります。メモリが不足すると、動作が非常に重くなり、作業効率が著しく低下してしまいます。また、同時に複数のアプリケーションを使用する場合や、大規模なデータを処理する際にも、メモリ容量が作業の快適さに影響を与えます。

おすすめノートパソコンモデル

3D CAD向けに推奨されるノートパソコンモデルをいくつか紹介します。これらのモデルは、3D CADを利用する際に必要な高スペックを備えており、プロフェッショナルな作業環境を提供します。パフォーマンスの高いモデルからコストパフォーマンスに優れたモデルまで、多種多様なニーズに応じた選択肢を提供します。これにより、ユーザーは自身の予算や用途に合わせて最適なモデルを選ぶことが可能です。

高性能モデルの紹介

高性能なノートパソコンを選ぶことで、複雑な3D CAD作業もスムーズに行うことができます。例えば、HPのProArtの中でもハイエンドのものやDellのPrecisionシリーズ、AcerのConceptDシリーズは、プロフェッショナル向けに設計されたハイスペックなモデルです。これらのモデルは、最新のプロセッサや高性能グラフィックボード、十分なメモリを搭載しており、作業の効率を最大限に高めてくれます。特に、大規模なプロジェクトや重い3Dレンダリング作業を行う際には、これらのモデルが非常に役立ちます。

画像引用: ASUS 「ProArt Studiobook Pro 16 OLED (W7604)」
https://www.asus.com/jp/laptops/for-creators/proart/proart-studiobook-pro-16-oled-w7604/

コストパフォーマンスに優れたモデル

コストパフォーマンスを重視する場合には、性能と価格のバランスが取れたモデルを選ぶことが大切です。例えば、LenovoのThinkPad Pシリーズは、比較的手頃な価格でありながら、CAD作業に十分な性能を提供します。これらのモデルは、コストを抑えつつも必要なスペックをしっかりと備えており、特に中小企業や予算に限りがあるプロジェクトにも適しています。

画像引用: Lenovo「ThinkPad Pシリーズ: パワフルなモバイルワークステーション」
https://www.lenovo.com/jp/ja/c/laptops/thinkpad/thinkpad-p-series/

ノートパソコン選びのポイント

3D CAD用のノートパソコンを選ぶ際は、単にスペックだけでなく、使用シーンや予算も考慮することが重要です。特にスペックと価格のバランスを考えて、最適な選択をする必要があります。また、長時間の作業にも耐えられるバッテリー寿命や、快適な作業環境をサポートするディスプレイの品質も重要です。これらの要素を総合的に評価し、自身のニーズに最も合ったノートパソコンを選びましょう。

スペックのチェックリスト

ノートパソコンを選ぶ際、特に注意すべきは主要なスペックです。まず、CPUは最新のCore i7以上、メモリは64GB以上を推奨します。また、グラフィックボードはCADに最適なNVIDIAのQuadroシリーズやGeForce RTXシリーズ、もしくはAMDのRADEON RXシリーズがおすすめです。これらのスペックをチェックすることで、CADソフトの操作性を最大限に引き出すことが可能です。さらに、ディスプレイ解像度や接続ポートの種類も確認しておくと良いでしょう。

予算と性能のバランス

ノートパソコンを選ぶ際には、予算内で最も高性能なモデルを選ぶことが重要です。高性能なパソコンは確かに高価ですが、長期的に見た場合、作業効率の向上や故障率の低さが結果的にコストを削減することにつながります。したがって、初期投資を厭わずスペック重視で選ぶことが、3D CAD作業の効率化につながります。また、メーカーの保証やサポート体制も確認し、安心して使用できるモデルを選ぶことが大切です。

CADソフトとの互換性

ノートパソコンを選ぶ際には、使用するCADソフトとの互換性も重要なポイントです。特に、ハードウェアがソフトウェアのシステム要件を満たしているか確認する必要があります。互換性がない場合、ソフトウェアが正しく動作しない可能性があり、作業の妨げとなることがあります。そのため、ノートパソコン選びの段階で互換性の確認を怠らないようにすることが重要です。

主要なCADソフトとの互換性確認

CADソフトには多くの種類がありますが、主要なソフトウェアとしてはAutoCAD、SolidWorks、Fusion、BIMですがRevitなどが挙げられます。これらのソフトは、それぞれ異なるハードウェア要件を持っています。そのため、ノートパソコンを選ぶ際には、事前に使用予定のCADソフトウェアのシステム要件を確認し、それを満たすモデルを選ぶことが重要です。特に、グラフィックボードの種類やドライバの対応状況なども確認すると良いでしょう。

ソフトウェアアップデートの重要性

CADソフトウェアは定期的にアップデートされ、新しい機能の追加やバグ修正が行われます。これにより、より快適で効率的な作業が可能になりますが、ハードウェアもそれに合わせて最新の状態を保つことが求められます。ノートパソコンのハードウェアが古いと、最新のソフトウェアに対応できず、互換性の問題が生じることがあります。そのため、定期的なハードウェアのアップグレードやメンテナンスも重要な要素です。

困ったときには販売店や、PCメーカーに確認を

PCに詳しくないユーザにとって、実際に必要なスペックを満たすノートパソコンを比較・検討することは難しいと思います。その場合、販売店やメーカーに相談してみましょう。販売窓口に利用するソフトウェアの必要スペックを提示することで適切なパソコンを選定する手助けをしてくれる場合があります。プロの手を借りることでより適切な製品が選定できるでしょう。

結論:あなたに最適なノートパソコンの選び方

3D CADをノートパソコンで快適に使用するためには、性能、互換性、携帯性をすべて考慮した上で、最適なモデルを選ぶことが重要です。特に高性能なCPU、十分なメモリ、大容量のストレージ、そしてCADソフトとの高い互換性を備えたモデルを選ぶことが、作業効率を大幅に向上させます。また、移動が多い技術者にとっては、バッテリー寿命やディスプレイの品質も選定時の重要な要素となります。これらすべてを考慮に入れることで、使い勝手の良いノートパソコンを選ぶことが可能になります。この記事を参考に、CAD用ノートパソコンを選ぶ際のガイドラインとしてご活用ください。

建築・土木業向け BIM/CIMの導入方法から活用までがトータルで理解できる ホワイトペーパー配布中!

❶BIM/CIMの概要と重要性
❷BIM/CIM導入までの流れ
❸BIM/CIM導入でよくある失敗と課題
❹BIM活用を進めるためのポイント
についてまとめたホワイトペーパーを配布中

参考情報:

・株式会社 日本HP
「【CAD歴10年の設計士監修】CAD用パソコンの選び方と必要スペックとは?」
https://jp.ext.hp.com/campaign/business/others/casestudy/shichimaru/

・ドスパラプラス
「3DCADに最適なパソコンとは?必要なスペックや選び方について解説!」
https://dosparaplus.com/library/details/000644.html

・Autodesk「AutoCAD 2025 のシステム要件 (特殊ツールセットを含む)」
https://www.autodesk.com/support/technical/article/caas/sfdcarticles/sfdcarticles/System-requirements-for-AutoCAD-2025-including-Specialized-Toolsets.html

・ASUS 「ProArt Studiobook Pro 16 OLED (W7604)」
https://www.asus.com/jp/laptops/for-creators/proart/proart-studiobook-pro-16-oled-w7604/

・Dell「Dell Precisionモバイル ワークステーション」
https://www.dell.com/ja-jp/shop/dell%E3%81%AE%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%91%E3%82%BD%E3%82%B3%E3%83%B3/sf/precision-laptops

・Lenovo「ThinkPad Pシリーズ: パワフルなモバイルワークステーション」
https://www.lenovo.com/jp/ja/c/laptops/thinkpad/thinkpad-p-series/

・Acer 「ConceptD」
https://www.acer.com/jp-ja/conceptd

    ホワイトペーパーフォームバナー

    【DL可能な資料タイトル】

    • ・プログラムによる建築/土木設計のQCD(品質/コスト/期間)向上
    • ・BIM/CIMの導入から活用までの手引書
    • ・大手ゼネコンBIM活用事例と建設業界のDXについて
    • ・デジタルツイン白書
    • ・建設業/製造業におけるデジタルツインの実現性と施設管理への応用

    詳細はこちら>>>

    PAGE TOP