Revitの内部原点とは？｜3つの基準点と設定手順を解説

2024.09.06

CAD, Revit

投稿者: 小松央直

Revitには内部原点と呼ばれる基準点が存在します。内部原点と意味が混合しやすい基準点としてプロジェクト基準点と測量点があります。しかし、それぞれの基準点が示す位置や設定手順がよく分からないと悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

本記事ではRevitにおける内部原点･プロジェクト基準点･測量点の意味と設定手順を解説します。3つの基準点についてお悩みの方はぜひ参考にしてください。

この記事を読むと、以下のことが分かります。

1.Revitにおける内部原点を含む3つの原点の意味と設定手順亭淳

2.Revitにおける内部原点に関する注意点

Revitには内部原点を含む基準点が3つある

Revitでは基準の座標として次の3つの基準点が存在します。

内部原点

プロジェクト基準点

測量点

ここでは、それぞれの基準点の概要と設定手順をみていきましょう。

内部原点(*1)

内部原点とは内部座標における始点を指します。作成したモデルに存在する要素全ての位置の基準点です。開始位置とも呼ばれる場合もあります。内部原点の位置は変更できません。Revit2020以降のバージョンであれば、内部原点は全てのビューで表示されます。

非表示にしたい場合、ダイアログボックス「表示設定/グラフィックスの上書き」で表示のオン･オフを切り替えましょう。(*2)また、Dynamoスクリプトで非表示への変更も可能です。Dynamoスクリプトでは次の手順で非表示に切り替えます。

1.Dynamoスクリプトをローカルフォルダにダウンロードする

2.Revitモデルを画面上に開く

3.タブ「管理」にある「Dynamoプレイヤー」を選択する

4.「参照」を選択する

5.コマンド「入力を編集」をクリック

6.Trueをクリックし、非表示に切り替える

7.「スクリプトを実行」を選択

プロジェクト基準点(*3)

プロジェクト基準点とは、モデルとの位置関係を計測し、オブジェクトを配置する基準の設定に使用される基準点です。新規モデルの作成を始めると、既定ではプロジェクト基準点は内部原点の位置にあります。そのため、プロジェクト開始時にはプロジェクト基準点の配置場所を設定する必要があります。

また、チームとして複数のメンバーでプロジェクトに携わる場合、プロジェクト基準点を適切な位置に配置できるように十分検討するとよいでしょう。例えば、大規模な建築物のモデルを作成する場合、プロジェクト基準点の配置場所は建物の通芯の交差点が適しています。通芯がない住宅のモデルや小規模な建築物の場合、建物のコーナーや都合の良い任意の場所への配置を推奨します。プロジェクト基準点は配置後でも移動が可能です。

プロジェクト基準点の設定手順は次のとおりです。(*4)

1.外構図ビューまたは別のビューを画面に表示する

2.既定ではプロジェクト基準点と測量点が同じ場所に重なって配置されているため、カーソルを移動し、ステータスバーまたはツールチップで確認する

3.ステータスバーに「外構:プロジェクト」と表示されたら、キー「Tab」をクリック

4.プロジェクト基準点を配置したい位置にドラッグする

また、配置したい位置の座標値の入力により、プロジェクト基準点の設定が可能です。座標値はパレット「プロパティ」またはフィールド「プロジェクト基準点」を使用し、次の4つの値を入力します。

･北座標:N/S

･東座標:E/W

･高さ

･真北の角度

プロジェクト基準点を操作する場合に注意しなければならない点があります。3つの注意点をみてみましょう。

･既定でプロジェクト基準点の表示されるビューは外構図ビューのみに設定されているため、必要に応じて他のビューでも確認できるように設定する必要がある。

･削除ができない

･Y軸の設定は「プロジェクトの北」方向になる

プロジェクト基準点を誤って移動させないようにするためには次の操作手順で設定します。

1.プロジェクト基準点を選択

2.タブ「修正」にあるパネル「修正」のボタン「ピン」を選択し、基準点を固定

プロジェクト基準点の固定により、ツールの「プロジェクトを移動」と「プロジェクトの北の回転」の2つの操作が無効になるため注意が必要です。また、プロジェクト基準点を基準とした指定点座標のレポートの作成が可能です。レポートを作成するためには、タイププロパティ「指定点座標」を修正し、パラメータ「座標基準点」を「プロジェクト基準点」に変更する操作を実行しましょう。

測量点

測量点とはモデル内ではなく、現実世界の既知地点を示す点です。Revitで作成したモデルから現実世界の周辺環境に関する情報の共有が可能になります。測量点で表せる地点は、測量標や敷地境界線の交差点などが挙げられます。

測量点の設定手順は次のとおりです。(*5)

1.測量点を表示するために外構図ビューを開く※

2.図面内に測量点が△で表示されているかを確認する

3.△を選択する

4.測量点がクリップされている場合、解除する

5.配置したい場所まで測量点をドラッグする

6.測量点を選択し、クリップする

モデルの作成を始めると、測量点はプロジェクト基準点と同じ場所に配置されています。そのため、測量点を選択するためには、ステータスバーを表示し、「外構:測量点」と表示されるまでキー「Tab」を押す必要があります。

手順6の操作完了後、誤って移動しないように測量点を固定するとよいでしょう。固定するためにはタブ「修正」にあるパネル「修正」のボタン「ピン」をクリックします。測量点の固定により、ツール「真北を回転」が無効になる点を知っておきましょう。

Revitの内部原点に関する注意点(*6)

モデルジオメトリの位置が内部原点から半径16kmを超えると信頼性が低下する可能性があるため注意しなければなりません。モデルジオメトリを作成する際には内部原点の位置も把握しておく必要があります。モデルジオメトリの位置が内部原点から半径16km(10マイル)を超えた場合、信頼性の低下を招き、グラフィックスが望ましくない動作をしてしまう可能性があります。

Revitでは適切なモデリングの作業平面を直径32km(20マイル)、内部原点から半径16km(10マイル)と提示しています。モデリングの作業はRevitが提示している範囲内で行うようにしましょう。