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BricsCAD 雲マークとは?変更箇所を明示する基本操作と便利な活用テクニック

1. はじめに

設計図面を扱う際は、変更箇所が曖昧だとプロジェクト全体の作業効率が落ちてしまいます。特に建築設計CADや製造業CAD、土木工事CADなど多くの分野で、図面の正確さや分かりやすさが求められるからです。そこで注目される機能の一つが、雲マークと呼ばれる変更箇所の注釈ツールです。

コンピュータ上で図面を扱うCADでは、REVCLOUD コマンドを使用して雲のような形状をさっと描くことで「ここを修正して」「ここが変更点だよ」という指示を素早く示すことが可能です。雲マークそのものはAutoCAD 互換性が高く、基本操作をある程度理解すれば、誰でもスムーズに使い始められます。

さらに、この雲マークは単に変更を示すだけでなく、レイヤー管理との組み合わせで設計変更履歴を残したり、チームの設計レビューを効率化したり、といった多彩な効果を発揮します。近年ますます進むBIMのデータ連携やCIMのモデリングなどの高度なフローとも親和性が高く、CAD チームコラボレーションを促進し、プロフェッショナルが求めるCAD 設計効率化にも寄与すると考えられます。

そしてこの雲マークを活用できるようになると、クライアントとスムーズにコミュニケーションをとり、図面PDF出力時に明確に修正内容を伝えられます。土木工事や建築分野における確認作業でも「あなたが修正してほしいところはどこか」をダイレクトに伝達でき、CAD 図面修正の見落としを防げる利点があります。結果として設計者の信頼性やプロフェッショナリズムを高め、潜在的なミスを削減しつつ、作業効率の向上が期待されます。

本記事では、BricsCADの雲マークの基本操作や実際の活用法を詳しく紹介していきます。具体的な手順やCAD 初心者ガイド的なヒントに加え、プロの視点でのカスタマイズ術も提案いたします。さらにAutoCADとBricsCADの雲マーク比較や、チーム全体の修正履歴共有におけるメリットにも触れながら、実務をスムーズに運ぶためのヒントを提供します。これによって読者の皆様が設計レビューにおける変更管理をよりスマートに行えるよう、全体像をつかんでいただけるでしょう。

それでは、はじめに雲マークがなぜ重要視されているのか、そして具体的に何ができるのかを中心に、記事全体の流れをご案内いたします。

2. BricsCADの雲マーク基本ガイド

ここではBricsCADを使った雲マーク機能について、その概要と基本操作を整理し、図面注釈ツールとしての役割を理解していただきます。設計レビューでの視認性向上や、修正指示の明確化において欠かせないこの機能を、まずは基礎から学習し、しっかり身に付けるのが望ましいでしょう。

雲マークは誰でもすぐに覚えられるほどシンプルな操作感を持ち、一度コツをつかめば何度も素早く描写できるようになります。一方で、プロジェクトによってはより洗練された使い方を求められる場面も多いので、その点を踏まえながら、順序立てて解説を進めていきます。

これから示す内容は、基本操作さえ把握していれば難しくありません。併せて、雲マーク編集では線色や半径の変更、ポリライン化による形状修正など、実務で押さえておきたいポイントがいくつもあります。では、この雲マークの本質的な意味合いとは何かから見ていきましょう。

後述するように、REVCLOUD コマンドの起動方法やカスタマイズの方法も具体的に紹介しますので、教育の立場の方や、これからBricsCADを学び始める方も、ぜひ参考にしてください。加えてAutoCADとの互換性の高さから、過去のDWG ファイル形式にもそのまま活用できる柔軟性があります。実際にはどのように作成し、編集していくのか、以下で順を追って説明します。

2.1. 雲マークとは?その役割と重要性

雲マークは、図面上で変更箇所を囲んで強調するアノテーション機能の一つです。ふわっとした雲状のラインを引くことで、手書きの赤ペン修正に近い感覚で変更点を明示できます。

この機能が重宝される理由の一つは、設計レビューや図面チェックにおいて、注目すべき部分を他者にすぐに伝えられる点にあります。たとえば、BIM データ連携のような複雑なプロジェクトでは、複数の担当者が同時に設計を進めるため、どこをどう改修したのかを確実に把握する必要があります。そこで、雲マークで図面を可視化し、設計変更履歴を残すことで、コミュニケーションを円滑に保つわけです。

さらに、クライアント向けのPDF出力においても雲マークは有用です。赤やオレンジなど、目につきやすい色で変更範囲を囲むと、書面で受け取った人でもすぐに変更内容を把握できます。こうした図面注釈ツールは最終的にプロジェクト全体の時間短縮につながりまして、操作の中でも習得を推奨される頻出スキルとなっています。

もちろん、製造業CADや土木工事CADのように分野が異なってもその価値は普遍です。「雲マークに囲まれた部分=手直しが必要」といった文化がチーム全体で共有されれば、設計プロセスの透明性を向上し、品質の高い成果物を短期間で仕上げやすくなるでしょう。

2.2. 雲マークの作成方法

BricsCADで雲マークを作成する基本手順は、REVCLOUD コマンドを実行することから始まります。方法は大きく二つあります。

1. コマンドラインに「REVCLOUD」と入力する。  

2. CAD ユーザーインターフェース上のリボンメニューから「注釈」を選び、「雲マーク」アイコンをクリックする。

いずれの方法でも同じコマンドが起動し、マウスをドラッグして雲状の線を描きます。この際、外周を大きく取り過ぎると図面の縮尺によっては見えにくくなるため、必要な範囲に対してちょうど良い半径や長さを設定するのがコツです。

ドラッグ途中でペンのように線を引き回せるので、複雑な角を持つ箇所でも簡単に囲むことが可能です。また、雲の弧の半径が大きすぎると曲線が緩やかになり、変更箇所が分かりにくくなります。逆に小さすぎるとゴチャゴチャした印象を与えてしまうので、プロパティで調節して最適な見やすさを探るのがよいでしょう。

他にも、矩形など既存のオブジェクトに沿って雲マークを作成するオプションが用意されています。たとえば修正箇所が四角くまとまっているなら、ポリラインの形状に準拠させて雲マークを生成してみると、より短時間で正確に注釈を付けられます。

2.3. 雲マークの編集とカスタマイズ

BricsCADの雲マークは、作成後も自由に編集が可能です。雲マークをクリックして選択すると、線種や色、半径を変更できるため、後で目立たせたい場合には線色を赤系統に切り替えるなど、表示を調整できます。図面上で複数の雲マークがあるときは、CAD レイヤー管理と組み合わせることで、修正のステータス別(例:要確認、承認済みなど)に仕分けることも簡単です。

また、雲マークをEXPLODE(分解)するとポリラインとして扱えるようになり、頂点を移動したり、部分的に削除したりと細かい形状編集が実行できます。設計レビュー時に「もう少し大きく囲んでおいてほしい」と言われた場合には、この方法で調整すると良いでしょう。

さらに、カスタマイズを活用して自分専用の雲マーク設定を保存するのもおすすめです。独自のテンプレートファイルに雲マークの線色や太さ、注釈スタイルなどを登録し、毎回同じ設定で作成できるようにしておけば、初心者ガイドとしても有用な「誰でも一定の品質を保てるワークフロー」が構築できます。

削除したい場合は通常のオブジェクトと同様に選択してDeleteキーを押すだけです。不要になった雲マークを素早く片付けることができ、図面を常に見やすい状態に維持できます。

3. 実務での雲マーク活用法

雲マークは、修正箇所を示すだけでなく、チームやクライアントとのやり取りを円滑にする役割も果たします。単なる『変更したよ』の合図ではなく、『なぜ変更が必要なのか』『どれだけの範囲を修正するのか』を分かりやすく可視化し、プロジェクトの進行度を見える化するからです。

複数のステークホルダーが関わる大規模案件や、納期がタイトなプロジェクトでは、図面コメントが錯綜しがちです。そんな時こそCAD チームコラボレーションの一環として雲マークを導入することで、修正点の重複や見落としを最小限に抑えられます。以下では、具体的にどのような応用が可能なのか3つの観点から説明します。

土木工事から製造分野まで、雲マークは幅広い業種で利用されています。ここでは建築設計 CADなどを前提としつつも、ほかの分野でも同様に役立てられるポイントを紹介し、設計レビューの効率化、レイヤーでの管理術、クライアント向け資料制作など、細かな工夫点をご理解いただけるよう解説していきます。

3.1. 図面レビューと承認プロセスの効率化

設計レビューの場面では、全員が限られた時間で膨大な情報をチェックしなければいけないことが多くあります。そこで雲マークを使えば、膨大な中から『ここだけは必ず確認が必要』というポイントを瞬時に見つけられるようになるのです。

たとえば、大規模な延床面積を持つビルの建築設計 CADでは、ひとつのフロア図面だけでも大量の寸法や設備記号が並びます。細かい修正点を探し回るのは骨が折れる作業ですが、雲マークならその修正範囲を視覚的に包み込むため、一見複雑に思える図面でも「赤い雲マークさえ追えばOK」という状態にできます。特に経験豊富な設計者が慣れたやり方で雲マークを使うと、承認フローでのやり取りが格段にスピードアップします。

このような効率化はBIM データ連携の場面でも大いに役立ちます。3Dモデル上で変更した箇所を2D図面に落とし込む際、雲マークを併用すれば『この部分は新たに更新された情報』ということがすぐにわかり、設計プロセスの整合性を維持しやすくなります。結果的にCAD 変更管理が円滑に進み、最終的には工期短縮につながるメリットが期待できます。

承認プロセスにおいては、雲マークを付けた状態の図面データをPDF出力し、印刷やデジタルサインのやり取りを行うことで、設計者以外の関係者も容易に検討可能です。これにより、余計な問い合わせや二度手間を省き、プロジェクト全体の作業効率を高めることができます。

3.2. クライアントとのコミュニケーション強化

クライアントと多くのやり取りを行う場合、専門用語や図面の見方が十分に伝わらないことがあります。そこで雲マークが大いに役立ち、相手に負担をかけず、どの部分が論点になっているかを直感的に説明できるようになります。

例として、CADでマシン部品の図面をクライアントに確認してもらう際、変更箇所を文章で箇条書きしても、元の図面と照合するのに時間がかかりがちです。ですが修正指示を雲マークで囲えば、クライアントが『ああ、ここが変更されるんだね』とすぐ理解してくれるため、打ち合わせ時間が短くなります。

また、建築リフォーム案件などでは、クライアント自身がプロの設計者でないことも多いものです。そういった方にも、CAD チュートリアル的に『雲マークがある箇所は新しく取付予定の設備です』と説明するだけで、互いの意思が通じやすくなります。結果として『なぜそこを修正するのか』を納得してもらいやすくなり、プロフェッショナル技術への信頼を得られるでしょう。

さらに、CAD PDF 出力機能を使って、色鮮やかな雲マーク入りの図面をメール送付すれば、リアルタイムで意見交換ができる可能性も高まります。要は、クライアントが話を聞きやすい形で情報を提示できるようになる点が、コミュニケーション強化につながるということです。

3.3. チーム内での設計変更の共有

複数の担当者が分担して進めるプロジェクトの場面では、誰がどの部分を修正したかを追跡する必要があります。CAD 修正履歴共有が円滑に行われないと、作業が重複したり、すでに解決済みの箇所を再び修正したりといった無駄が発生しがちです。

この点、雲マークを活用してレイヤーを分け、「新規修正箇所レイヤー」「確認済みレイヤー」「再修正要レイヤー」といった形で整理しておけば、図面を開いたときに一目で進捗状況が分かります。特にDWG ファイル形式を常用する場合、BricsCADとAutoCAD 互換性が高いので、どちらのソフトを使うユーザーでも同じ雲マーク情報を参照できる利点があります。

それにより、設計変更履歴を明示することが容易になり、将来的に不具合や問題が起こった際にも履歴をたどることで迅速に解決へ導くことが可能です。例えば土木工事案件で配筋の修正があった場合、雲マークを使って何がどう変更されたかをチーム全員がリアルタイムに把握できれば、計算の整合性チェックや対応工期の再調整を素早く行えます。

まとめると、雲マークは単なる目印を付ける機能ではなく、チームコラボレーション全体のスムーズ化につながる仕組みそのものです。まさに、CADを扱うコツの一つとして必須項目になり得る重要な技術といえるでしょう。

4. AutoCADとBricsCADの雲マーク比較

BricsCADがAutoCADとよく比較される理由の一つは、操作性やユーザーインターフェースが似ており、DWG ファイル形式を共通して扱える点にあります。したがって、雲マークに関しても基本コマンド名はREVCLOUDで共通し、操作者がほとんど違和感なく扱えるでしょう。

AutoCADと同様に雲マークのオプション選択やサイズ設定、形状切り替えも可能です。AutoCADで慣れてきた方がBricsCADへ移行する際は、同じ手順で操作を始められるので、特別な再学習が最小限で済むというメリットがあります。また、図面注釈ツールとしての互換性が高いため、AutoCADユーザーが作成した雲マーク入りの図面をBricsCADで開いてもレイアウトが崩れにくく、編集もそのまま行えます。

一方でBricsCADには、カスタマイズ性の高さやコストパフォーマンスの良さなど独自の長所があります。CADのカスタマイズによって雲マークの設定を標準化し、社内ルールとして浸透させるなどの使い方を行いやすいのです。加えて、BIMの機能を統合したエディションも提供されているため、BIMのデータ連携やCIMのモデリングのワークフローの中で雲マークを使う場面も幅広く想定できるでしょう。

結局のところ、雲マークに限れば、操作感やコマンド体系はAutoCADと共通部分が多く、違いはさほど大きくありません。BricsCADを本格導入するメリットとして、ライセンスコストの面でも導入ハードルが下がることが挙げられます。コストを削減したい企業がCAD 教育を進める際にも、BricsCADは良い選択肢であり、『AutoCADから乗り換えても雲マークの使い方は同じ』という安心感を得られます。この点が多くの設計者にとって魅力的に映っている要因でもあるのです。

そのため、チームの環境が混在していても「今さらソフトを変えても雲マークは問題なく使えるのか?」という不安は軽減されるでしょう。DWGベースで統一するメリットとしては、雲マークでのCAD 修正指示がスムーズに共有できるだけでなく、設計変更履歴を稳定して保管できる点が大きいといえます。

5. まとめ:雲マークで変更管理をスマートに

ここまで、雲マークを使った図面修正や設計レビューの具体的なテクニックを紹介してきました。雲マークは、一見するとただの線の飾りに思われるかもしれませんが、実際はCAD 注釈機能として重要であり、CAD 変更管理の流れを大幅にスムーズにする役割を担っています。

さまざまな業種や規模のプロジェクトで、雲マークを使うメリットは計り知れません。特に、CAD 教育にも大いに活用され、初心者でも『修正点を囲むだけ』とシンプルに理解できるのが心強いところです。経験豊富な設計者にとっても、素早く変更箇所に合意を得られるという利点があり、時間短縮とクライアント満足度向上の両方を実現できます。

実際の導入例としては、BricsCAD基本操作の延長線上でREVCLOUD コマンドに慣れれば、レイヤー管理や追加注釈を組み合わせてより洗練された運用に発展させられます。BIM データ連携やCIM モデリングと絡める場合も役立ちますし、PDF出力時に雲マークをうまく使えば、クライアントへの説明が驚くほどスピーディに済むでしょう。

今後さらにプロフェッショナル技術を磨きたい、という方にとっては必須の知識といえます。チームコラボレーションや、最終的に生産性を高めるうえでも、雲マークは心強い離陸点となるはずです。ぜひこの機会にBricsCADの雲マーク機能を活用し、プロジェクト全体の作業をよりスムーズかつミスの少ないものにしてみてください。

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<参考文献>

・CADソフトウェア – 2D&3D CAD – Bricsys®

https://www.bricsys.com/ja-jp?srsltid=AfmBOopE8cqVWOwNIuNAUwZarKSlOZjDfkDM7CGl0N4sIQUFU0i_iFrm

・雲マークの作図 – BricsCAD Lite & Pro | Bricsys Help Center

https://help.bricsys.com/ja-jp/document/bricscad/2d-drafting/drawing-revision-clouds?id=165079136328

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