1級建築士が語るBIM とCIMの違い


『1級建築士が語るBIM とCIMの違い』
近年、建築業界でBIMが急速に普及しています。それと同時に、CIMという言葉も使われているのですが皆さんご存知でしょうか?BIMもCIMも、建築土木分野に革命を起こすものとして注目を浴びていますが、両者の意味や違いについて明確に区別できる人は少ないと思います。そこで、このBIMとCIMの違いについて、設計実務を行う1級建築士が詳しく解説していきたいと思います。

この記事では以下の3つのことがわかります。
①・・・・BIMとCIMの概要
②・・・・BIMとCIMの「共通点」と「違い」
③・・・・BIMとCIMの今後の流れ

 

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BIMとCIMは「モデル化」する手法

 

まずはBIMとCIMの定義を確認するために、英語表記を日本語訳してみます。
BIM : Building Information Modeling「建物情報モデル化」
CIM : Construction Information Modeling「建設情報モデル化」
となっていて、建物情報や建設情報をモデル化する手段だということがわかります。モデル化というのはイメージ的には、コンピューター上に模型を作るようなものです。これまで、線と曲線を使って行っていた2次元の設計が、模型を作りながら考える3次元の設計に移行しようという試みがBIMやCIMを使って行われています。

名前が近似していることからもわかるように、BIMとCIMの目的に大きな違いはありません。ただ、BIMが建築分野、CIMが土木分野で活用する手段だという違いがあります。CIMはそもそも日本独自の考え方で、BIMを模倣して作られていますし、海外ではCIMも含めてBIMと呼ぶことが多いので両者を切り離して考える必要性は少ないのかもしれません。

そんな近似しているBIMとCIMについて、その「共通点」と「違い」についてみていきたいと思います。

 

BIMとCIMの共通点

 

まずはBIMとCIMで共通していることを紹介したいと思います。そもそもBIMとCIMは、産業のICT化の流れを受け、生産性の向上や業務の効率化を狙って導入されたものです。生産性を向上させている要因は共通しているので、その要因について4つ紹介したいと思います。

 

発注者と設計者で構造物のイメージを共有できる!

 

これまでの設計は、2次元の図面を用いて行っていたため、設計者の思いが発注者に伝わっていないことがしばしば見受けられました。そのため模型やパースにした段階で初めて設計者と発注者のイメージに相違があることが発覚し、設計変更を余儀なくされるケースが多々あったかと思います。しかし、BIMやCIMを使用することで、始めから3次元で設計を行うことができるため、常にビジュアル的に構造物の形状を把握することができ、発注者と設計者でイメージが異なることがありません。手戻りなく設計を終えることができるようになりました。

 

「干渉」をチェックすることができる!

 

モデル化することで、これまで設計者自身が見落としがちだった「干渉」という問題も事前に解決することができるようになりました。これまで3次元の図面やパースは、2次元の図面でイメージを膨らませることが苦手な発注者に対してのプレゼン資料というイメージが強かったのですが、BIMやCIMで作った3次元のモデルは設計者にも非常に役立ちます。

2次元の図面を見ていると見過ごされがちな、配管と鉄筋の干渉などをビジュアル的に確認することができるので、漏れなく、正確にチェックすることができるようになりました。3次元を想像しながら2次元の図面を作図するよりも、始めから3次元で設計する方がはるかにスピーディーで正確な図面を作成することができます。納まりの問題を設計段階で無くすことができるので、施工段階での手戻りを減らすことが可能になりました。

 

数量を即座に算出することができる!

 

BIMやCIMで設計を行うことで、積算時に数量を拾う手間が大幅に削減されます。2次元上の設計であれば、図面から面積を拾い、高さを掛け合わせることで体積の計算を行う必用がありました。しかし、BIMやCIMは、はじめから3次元で設計を行っているため、数量を即座に、かつ正確なものを把握することができます。
常に正確な数量が出ているので、単価を掛け合わせるだけで建築費を算出することができます。コストを見ながら設計ができるので、コストダウンによる手戻りを減らすことができるのです。

 

「モデル」に情報を持たせて管理に役立たせることができる!

 

3次元の「モデル」は情報を持つ部材で構成されています。例えば、柱や梁といった部材には、寸法・材料・アフターサービスの連絡先など、様々な情報をもたせることができます。
この情報は設計段階だけでなく、施工段階や維持管理の段階でも活用できるので、例えば、柱にヒビが入った場合は、材料に問題が無いかすぐに確認できますし、ヒビの箇所・ヒビの写真・補修履歴などの情報を追加して保存することができるので、スムーズに後任に情報を伝達することができます。

では次に、BIMとCIMの違いについてみていきたいと思います。

 

BIMとCIMの違い

 

BIMとCIMが大きく異なるのは「不確定要素の数」と「関係者の数」、「政府の関与度」です。

 

「不確定要素の数」

 

建物は多くの場合、整地された土地の上に建設されるので不確定要素が少なく、BIMを活用することでスムーズに設計・施工することができます。一方で土木分野は、自然を切り開いて施工することが多く土地に不確定要素が多いので、CIMを用いて上部構造物を設計しても、結局現場で再検討する必要が出てきます。しかし、近年はドローンなどの最新機器の発達が目覚ましく、最初から正確に土地の形状を把握することができるようになってきたため、不確定要素の数はBIMとCIMを決定的に分けるような違いでは無くなってきました。

 

「関係者の数」

 

建築分野は建築主と設計者、施工業者などに限定されているので、BIMを使用しても恩恵を受けるのは少数に限られます。一方で高速道路を作ろうとした場合は、多数の土地所有者や国、自治体、道路会社、鉄道会社、設計者、施工者など多くの関係者が存在します。このように土木分野は関わる人の数が多いので、データを一元化できるCIMを活用し、大人数での共有を可能にしています。

 

「政府の関与度」

 

土木分野は建築分野と違い、政府が発注する案件の比重が非常に高いのが特徴です。その為、成果物の要求水準を高く設定することが可能です。実際に政府は、2020年以降は3次元モデルのみによる成果物受領の実施を目指して動いています。また、3次元設計における効率化および品質確保の観点から、地方整備局や高速道路会社等が保有する設計要綱や標準図を3次元で作成するように指示するなど、普及が進んでいます。

一方で、建築分野は住宅から公共施設まで幅広い用途があるため、政府が発注する工事の比率が小さく、政府主導でBIMを促進するのには限界があると言えます。官民一体となったBIMの促進が必要だと言えます。

 

「BIM/CIM推奨委員会」の設置で両者の違いが無くなってきた!

 

これまで、建築分野はBIMを、土木分野はCIMを使用することで住み分けがなされていましたが、平成30年度からは「BIM/CIM推奨委員会」という一体の組織が発足しました。
元々両者を区別する明確な違いや意義が少なかったですが、これからはより一層両者を区別する機会が少なくなりそうです。

 

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まとめ

 

建築土木分野は、一品受注生産であることや現地屋外生産という性質上、ICT化の波に乗れず生産性が低いままでした。しかしBIMとCIMが普及することで徐々に生産性は向上してきています。平成30年度から「BIM/CIM推奨委員会」が発足したことで加速度的にBIMとCIMが発達・浸透していくものと考えられます。

(2019年1月9日アップデート)

 

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