GoogleやFacebookに在籍する大学教授たちが受賞したチューリング賞とは?


2019年3月27日に、コンピュータ科学業界のノーベル賞といわれているチューリング賞の2018年度受賞者が、ACM(Association for Computing Machinery:計算機械学会)から発表されました。

今回の受賞者は、トロント大学教授でGoogle Brainプロジェクトの研究者であるジェフリー・ヒントン氏(71歳)、モントリオール大学教授でElement AI共同創設者のヨシュア・ベンジオ氏(55歳)、ニューヨーク大学教授でFacebookのAIラボ所長ヤン・ルカン氏(58歳)3名の大学教授で授賞式は2019年6月15日の予定です。

今回は、どのような経緯でチューリング賞が3名に送られることになったのか、チューリング賞を受賞する意味などをくわしく紹介します。

この記事では以下の3つのことがわかります。
・チューリング賞の詳細
・GoogleやFacebookにも在籍している2018年度の受賞者について
・機械学習の分野がチューリング賞を受賞する意味

 

チューリング賞の詳細

 

チューリング賞は、1966年よりコンピュータ業界で長く残る功績を残した人たちに毎年授与されている世界最高の権威を持つ賞です。

コンピューターを初めて概念化した「アラン・チューリング」の名を取って付けられた賞で、受賞者には業界最高峰の名誉とGoogleの後援金として100万ドルが贈られることになります。

チューリングについては2014年に公開されアカデミー賞にもノミネートされた映画、「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」で知っている人も多いのではないでしょうか。

過去には、「ウェブの父」と呼ばれているWorld Wide Web(www)の開発者ティム・バーナーズ=リー氏やUNIXとC言語の開発者ケン・トンプソン氏、デニス・リッチー氏らもチューリング賞を受賞しています。

 

GoogleやFacebookにも在籍している2018年度の受賞者について

 

今回のチューリング賞は、ステップごとに指示をして問題を解決する従来のコンピュータプログラムから、特定のタスクで明確な指示をせずとも学習アルゴリズムを使用してパターンを抽出し問題を解決する、「ディープニューロンネットワーク」の概念的な基盤を構築したことが受賞理由です。

受賞者の3名は、時に協力して、時には競い合ってお互いに大きな影響力を与えながらディープニューロンネットワークを研究してきました。

受賞に至るまでのそれぞれの功績と現在の役職について簡単に解説します。

 

Googleに在籍するトロント大学教授 ジェフリー・ヒントン氏

 

ジェフリー・ヒントン氏は

・バックプロパゲーションアルゴリズムをニューラルネットワークに論文で適用
・最初のニューラルネットワークの一つボルツマン・マシンを発明
・畳み込みニューラルネットワークを改善し分野を再構築

という功績が特に評価され、チューリング賞受賞者の一人に選ばれました。

2012年画像認識の大規模な競技会「ILSVRC」で、2人の大学院生と発表した畳み込みニューラルネットワークの改善を利用した方法で圧勝。

従来のものと比較して41%も物体認識システムの精度を向上させたことから、AI研究の分野に衝撃を起こし世界的な関心を生み出した人物です。

その後の2013年にGoogleに引き抜かれ、現在ではトロント大学とGoogleの人工知能研究プロジェクト「Google Brain」に在籍しています。2017年にはWired誌の「2016年の最も影響力のある人」にも選ばれました。

 

Element AIを創設するモントリオール大学教授 ヨシュア・ベンジオ氏

 

ヨシュア・ベンジオ氏は

・現代ディープラーニング音声認識システムの元になる概念を構築
・機械翻訳の飛躍的進歩をもたらした画期的な論文を作成
・コンピュータがオリジナル画像を作れるようになる生成型敵対的ネットワーク

という功績が特に評価され、チューリング賞受賞者の一人に選ばれました。

ベンジオ氏は、1990年代にニューラルネットワークをシーケンスの確率モデルと組み合わせ、手書きの小切手を読むためのシステムに取り入れられました。このシステムは当時ニューラルネットワークの最先端と呼ばれ、現在の音声認識システムの基礎になるアイディアです。

その他、2010年以降に発表した論文でコンピュータグラフィックスに革命をもたらし、2014年に生成型敵対的ネットワークを発表したイアン・グッドフェロー(現在はGoogle Brainに在籍)に大きく貢献しています。

イアン・グッドフェローはヨシュア・ベンジオ氏のもとで学位を取得し、ディープラーニングに関する教科書として世界的な評価を受けている「深層学習」もベンジオ氏と共に執筆しています。

ヨシュア・ベンジオ氏は企業からのオファーを断り続け、大企業に籍を置くことなくディープラーニング分野の優れた教育者として大学での活動をメインにしています。ですが、2016年にAIの商業利用を支援する事業Element AIを設立し大きく成功しました。

 

Facebookに在籍するニューヨーク大学教授 ヤン・ルカン氏

 

ヤン・ルカン氏は

・畳み込みニューラルネットワークを開発
・バックプロパゲーションアルゴリズムを改善し高速化
・ニューラルネットワークの範囲を広げ現在のAI基本となるいくつかの概念を紹介

という功績が特に評価され、チューリング賞受賞者の一人に選ばれました。

ヤン・ルカン氏は、1980年代に畳み込みニューラルネットワークを開発し、手書きの数字を画像でコンピューターに認識させて畳み込みニューラルネットワークを訓練した始めの一人です。

博士時代には先に紹介したヒルトン氏の研究室に所属し、後に米国最大手の電話会社であるAT&Tの社長ウォルター・グリフォードによって創設された、ベル研究所でヨシュア・ベンジオ氏と共に勤務していました。

AIの冬と呼ばれる1980年代後半から2000年代にかけてもヒルトン氏の理論を継承してきた研究者です。

現在はFacebookの最高科学責任者として所長をしながら、ニューヨーク大学教授としても活躍。カナダ先端研究機構(CIFAR)の共同ディレクターとしてはベンジオ氏と共に在籍しています。

 

機械学習の分野がチューリング賞を受賞する意味

 

今回のチューリング賞についてACMの会長は、「人工知能はすべての科学分野で最も急成長している分野の1つであり、社会で最も話題になっているトピックの1つです。」と述べており、「AIの成長と関心は、少なくとも部分的には、ベンジオ、ヒントン、ルカンが基礎を築いたディープラーニングの最近の進歩によるもの。」としています。

また、Google Brainの事実上のトップであるジェフ・ディーン氏も、「ディープニューラルネットワークはコンピューティングの分野だけでなく、科学や人間の努力のほぼすべての分野を変えつつあります。」と発言し、現在のディープラーニングは3名によって30年以上前に開発されたテクニックが進歩の中心にあると述べています。

上記のように、これまでの証明された解決策を元にして判断をくだすシステムから、ディープラーニングを基礎にした統計的な確立から判断をくだすシステムに、世界の期待度がシフトしているのが感じられる受賞となりました。

 

まとめ

 

2019年3月27日に発表されたチューリング賞について、独自企業やGoogle、Facebookに在籍する受賞者の詳細や受賞の理由を紹介しました。

ディープラーニングという分野は音声認識、音声合成、画像合成、機械翻訳などの人工知能の助けとなり、自動運転
、医用画像分析、音声アシスタント、情報フィルタリングにも応用が広がる分野です。

今回はディープラーニングの基礎を築いた3名が受賞しましたが、業界のトップが一番勢いがある分野として認識していることからも、今後も同様の分野から受賞者がでる可能性は高いといえます。

チューリング賞の結果を見ても、いまだ急速な発展を続ける人工知能学習の分野から目が話せない受賞内容となっていました。

 

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