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竹中工務店がAWSでBIMの運用を始めた理由

3Dモデリングをより効率的に運用する技術である、Building Information Modeling、通称BIMは、主に建築現場での運用が進められてきましたが、活躍の場はそこだけではありません。

竹中工務店は、BIMを活用した新たなロボットプラットフォームを2020年2月に発表し、2020年中の商用販売を目標に掲げています。

そしてこのロボット技術には、Amazonが提供するクラウドサービスのAWSも深く関わっているということが話題になっています。

今回はそんな竹中工務店のBIM運用の概要についてや、AWSがどのようにロボットプラットフォームの開発に関わっているのかについて、ご紹介していきます。

①竹中工務店の先進的なBIM運用
②ロボティクスとAWSの融合
③Robotmakerの採用で開発と実装の効率化を実現

竹中工務店が新たなBIM活用を発表

竹中工務店は2020年2月14日、建物のデータとロボットのデータを組み合わせ、ロボット制御などに活用することができる、「建設ロボットプラットフォーム」を開発したことを発表しました*1。

BIMを用いたロボットプラットフォーム

今回竹中工務店が発表したのは、実際のロボットとBIMの間に挟まる建築プラットフォームです。

橋渡しの役割を果たすロボットプラットフォームをクラウド上に構築し、遠隔制御や保守・制御を可能にすることで、ロボットを活用したさらなる生産性の向上を期待することができるようになりました。

BIMは実際の3D建設モデルに具体的な情報を付与し、効率的な建築に応用することができる高度なデジタルデータ技術です。

竹中工務店のプラットフォームを通じてロボットにBIMデータを与えることにより、極めて正確なシミュレーションをコンピューターの中で行わせ、建物内の正確な移動や安全な走行などを可能にすることができます。

ロボットの機械学習で得たデータとBIMを掛け合わせることで、実践知も含めた、極めて正確な制御アルゴリズムを実現することにもつながります。

運用にはAWSを採用

そして目玉となっているのが、この建築ロボットプラットフォームにはAWSが採用されているという点です。

BIMとロボットの橋渡しを行うこのプラットフォームは、クラウド上で運用することにより機能します。

ユーザーが施工対象のBIMデータをAWSにアップロードし、クラウド経由でロボットがアップロードされたBIMデータを地図情報として利用することで、正確な経路シミュレーションが可能になるという仕組みです*2。

BIMデータとプラットフォーム、そしてAWSの組み合わせにより、ロボットによる飛躍的な生産性の向上が期待できるようになりました。

なぜ竹中工務店はAWSを採用したのか

次に、竹中工務店はなぜ数あるクラウドサービスの中でも、AWSを採用することになったのかについて見ていきましょう。

竹中工務店が抱えていた課題

竹中工務店はロボットの運用には早い段階から着手しており、施工作業などを行う「職人型専門ロボ」、単純作業や広域での作業を行う「サービス型ロボ」、施工状況などを記録する「調査ロボ」の3タイプを開発し、運用してきました*3。

しかしながら、これらのロボットを自立走行させるには、あらかじめ実際の現場で移動ルートを登録させる必要があり、QRコードやカラーコーンといったマーカーによって、物理的にルートを作成していたのです。

しかしながら、その日の天候や施工計画などによって、現場の環境は著しく変化します。手動でロボットのルート作成を行う場合、その都度ロボットの運用には現場での作業が伴うため、完全な遠隔操作や人員の削減を実現することは難しかったのです。

そこで、今回のようなBIMデータを活用した精度の高いシミュレーションが可能になったことで、完全なロボットによる作業のオートメーションを実現しやすくすることができました。

一括管理可能なマネージドサービス

このようなプラットフォーム構築の影にあるのが、優れたマネージドサービスを提供するAWSの存在です。

AWSはアプリケーション開発はもちろん、シミュレーションの実施、そして運用するロボットの端末の管理までを担うことができる、一括した運用が可能になっています。

竹中工務店はクラウド上でロボットのシミュレーションを行いたかったということもあり、AWSはまさにそのニーズに応えてくれるサービスだったということが、今回の採用につながったと紹介されています*4。

高いシミュレーション能力

また、AWSでは単にシミュレーションをクラウド上で行えるだけでなく、複数のシミュレーションを並列して処理することができるのも、竹中工務店が採用した理由の一つとして挙げられています*5。
建設現場では、あらゆる環境下におけるロボットの運用が求められますが、複数の環境下でのシミュレーションを同時に行い、最適なシミュレーション結果を採用するといった、非常に複雑な処理もロボットが行えるようになるのです。

AIとデータ技術が融合することで、経験年数の長いプロフェッショナルに負けず劣らずの判断能力を養わせることが可能になります。

世界から注目を集めるAWSの「Robomaker」

竹中工務店のAWS運用における中核を担うのが、ロボットアプリ開発支援サービスの「Robomaker」です。

Robomakerがもたらすメリット

RobomakerはAWSが提供するサービスの一環で、開発者向けにロボットアプリケーションの構築からテスト、展開までを支援することを目的としています。
AWSが提供する自律走行車の「DeepRacer」に採用されているほか、NASAにおける惑星探査ロボットの開発にもRobomakerが携わっているということで話題にもなりました*6。

Robomakerが優れているのは、やはりロボット開発に関するあらゆるプロセスを、AWSによる一元管理が可能になっている点です。

クラウド経由で全ての工程が管理されることで、迅速な開発と情報共有を実現し、ロボットへの実装も簡素化されることで、開発と実装の両方を効率化することができるようになります。

あるいは竹中工務店のように、大量のロボットの運用が必要な場合でも、AWS上でまとめて管理が可能になることで、保守点検も容易になる効果が期待できるというわけです。

おわりに

竹中工務店はBIMの運用を迅速に進めており、その運用の幅もロボティクスの効率化へと広げていくなど、着実な普及が見られます。
業界の最大手が率先してIT改革を進めていくことで、さらなる普及に拍車をかけることになりそうです。

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出典:
*1 ZDNET JAPAN「竹中工務店、AWSで建物データの活用とロボット制御を行う基盤を開発」
https://japan.zdnet.com/article/35149423/

*2 IoT News「竹中工務店、BIMを活用した建設業向けロボットプラットフォームを実現 AWS上でロボットの経路をシミュレーション」
https://iotnews.jp/archives/147299#AWS_RoboMaker-2

*3 *1に同じ

*4 *2に同じ

*5 上に同じ

*6 *1に同じ

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