建設現場を変革する「鹿島スマート生産ビジョン」の目的とプロセスとは


建設業界は、新しい課題の登場とその解決に頭を抱えていますが、業界最大手の鹿島建設は、率先して業界のイノベーションに取り組んでいる様子が窺えます。

鹿島建設が提示する「鹿島スマート生産ビジョン」は、建設業界に変革を起こすと言われる生産システムの実現を目指し、テクノロジーの積極的な導入と、働き方の改革を推し進め、現場の負担を最小限度に抑える枠組みを提示しています。

①世間が集まる鹿島スマート生産ビジョン
②ビジョンを支える3つのコア・コンセプト
③社会課題を解決し、業界を牽引するポテンシャルを秘める

鹿島スマート生産ビジョンとは

鹿島スマート生産ビジョンは、鹿島建設が2018年に発表した独自のプロジェクトで、建築工事に関わる生産プロセスの変革を促し、生産性の向上を進めていくことを目指します。

鹿島建設が提唱する新しい生産システム

鹿島スマート生産ビジョンがプロジェクトの中で重きを置いているのが、ICTを活用したロボット技術の開発と、現場管理手法の革新です*1。人手を用いて取り組んできた業務を自動化・半自動化し、人の手を介さずとも正確かつ効率的な作業スピードを実現することが、このプロジェクトにおいては重要なイノベーションとなります。

鹿島スマート生産ビジョンはこれまでにない積極的なテクノロジーの導入により、2025年までの実現を目標に、優れた建築生産システムを目指します。

具体的には、次世代3Dモデリング技術のBIMの導入や、ドローン・ロボットによる作業のオートメーション、そして徹底的なデータ化による、効率的なマネジメントを実現するといったものです。

グランプリも受賞したある期待の次世代構想

鹿島スマート生産ビジョンは、世間的な注目度も非常に高まっているプロジェクトでもあります。

2019年に開催されていた、日経BP主催のイベント「日経 xTECH EXPO 2019」では、鹿島スマート生産が最優秀賞となるグランプリを獲得し、その革新性や生産効率の向上が大きく期待されることとなりました*2。

単なる構想にとどまらず、実際の現場での運用にも十分に耐えうる一連の技術の性能の高さや、建設業界で深刻な問題となっている労働力不足を解消する実効性、そしてオープンイノベーションとして、自社だけにとどまらず、社会全体にソリューションを提供し、社会課題を解決していこうという姿勢が評価されたのです。

現地のブースでは無人ロボットによる実演も行われたということで、そのインパクトが多くの注目を集めたきっかけであるとも考えられます。

鹿島スマート生産ビジョンのコア・コンセプト

鹿島スマート生産ビジョンによるイノベーションは、あらかじめ設定された、三つのコア・コンセプトに基づいて実現が進んでいます*3。

作業の半分はロボットと

一つ目は、鹿島スマート生産ビジョンに則った建設現場は、人間とロボットが共存する形で、業務の改革が行われていくという点です。

ロボットによる建設現場業務の効率化は、作業の質の低下や、リスク管理の難化、そして急激な失業者の増加を招くという懸念が挙げられます。

しかしながら、鹿島スマート生産ビジョンにおいては従来の作業員と、新しいロボットやドローンが半々で業務を分担することで、人手が不必要な単純作業は自動化し、職人の技術が必要な高度な施工や、意思決定については人が行うという分担を徹底します。

これによって、建設そのもののクオリティを落とすことなく、単純作業の効率化によって、効果的な人員の運用が可能となり、スケジュール遅延のリスクも低下させていくことができるというわけです。

管理の半分は遠隔で

徹底した品質管理に欠かせないのが、現場での作業員同士の密なコミュニケーションや、点検箇所の確認作業を怠らないというプロセスです。鹿島スマート生産ビジョンにおいては、人手がなくとも従来同様、あるいはそれ以上の品質管理を実現するため、管理業務の見直しも積極的に推進しています。

実際に現場に人がいなくともよい、あるいは遠隔のモニタリングや監視ドローンの導入で代替可能な場合は、積極的に実施していくことを推奨します。

また、本社と支社、そして国内で数百件以上が同時に稼働する建設現場がスムーズかつリアルタイムでつながりあい、情報共有を行えるよう、「PitPat®」と呼ばれる情報共有システムの導入も進めています。

現場、本社を問わず、その管理システムを見直し、改めていく刷新性の高さも、鹿島スマート生産ビジョンの特徴です。

すべてのプロセスをデジタルに

鹿島スマート生産ビジョンでは、建設に関わるあらゆるパーツ情報をデジタル化し、高い次元での生産プロセスのイノベーションを目指します。

資機材へのID付与によって管理レベルの向上を促し、施工管理の質はもちろん、そのスピードにも変革をもたらしてくれます。

あるいはBIMによる、一貫した3Dモデルの運用と共有を推し進めていくことで、各部門の情報共有を円滑にし、迅速な意思決定や無駄な工程の削除を促進していくことも、このプロジェクトの根幹に位置します。

鹿島スマート生産ビジョンが解決する課題

鹿島スマート生産ビジョンの実現によって、建設業界で深刻な問題として扱われている二つの課題を解消に向けて進めていくことができます。

労働者不足の解消

一つは、労働者不足の解消です。建設の工程における無駄な作業を省き、自動化が可能な業務は全てロボットやドローンに任せてしまうことで、必要な人員の母数を削減していきます。

その結果、本当に人手が必要な業務に人員を配置することができるようになり、必要な労働者の数が減少。その結果、労働者不足が解消されていくというプロセスです。

働き方改革の実施

二つ目に、働き方改革の実施です。人手が必要のない、あるいは人員を配置する割に合わない単純作業を自動化し、高度な技術を身につけるための人材育成に作業員を割り当てることができるようになります。

また、業務の効率化によって長時間労働を改善し、健全な労働環境を創出し、若手にとって魅力的な現場を作り出していくことができます。

おわりに

鹿島建設が取り組む「鹿島スマート生産ビジョン」は、建設現場の改善に向けた多くの実践的なプロセスが詰まった、魅力的なプロジェクトとなっています。

テクノロジーの建設現場への導入方法という意味でも参考になる箇所は多いため、一度その概要を確認しておく価値はあると言えるでしょう。

出典:

*1 鹿島建設「建築の生産プロセスを変革する 『鹿島スマート生産ビジョン』 を策定」
https://www.kajima.co.jp/news/press/201811/12a1-j.htm

*2 日本経済新聞「『鹿島スマート生産』がグランプリ 日経 xTECH EXPO 」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50879490R11C19A0000000/

*3 鹿島建設「鹿島スマート生産が担う建設現場の未来」
https://www.kajima.co.jp/news/digest/may_2019/feature/05/index.html

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