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CIM対応の三次元地盤モデルを運用するメリットとその導入方法とは

建設業における地質調査の重要性は、今も昔も変わらず高い地位を占めています。ただ、地質調査に関わる技術については、少しずつ進化を遂げてきました。

地質調査にまつわる技術の運用について、注目が集まっている分野の1つが情報の標準化です。

建設プロジェクトには多くの人や組織が携わりますが、各組織において別個の情報共有を行っていては、必要以上に時間を要してしまう問題があります。

そこで現在導入が進められているのが、CIMを活用した三次元地盤モデルの運用です。

今回は三次元地盤モデルの概要やそのメリット、そしてどのように導入するのかについて、ご紹介していきます。

目次:
①建設業を支える三次元地盤モデル
②CIM対応でシステムの効率化に貢献
③ハード・ソフト・人材の整備が必要

三次元地盤モデルとは

三次元地盤モデルは、その名の通り地質地盤情報を3D化し、情報共有の円滑化を行うべく運用が検討されている技術です。

CIM対応の三次元地盤モデルを支える要素

CIMに対応する三次元地盤モデルは、一般的に形状データ、属性データ、管理データの三要素によって構築されます*1。

形状データは、三次元で地盤を再現するための座標値を有しており、属性データと紐付けられたIDを備えています。

属性データは、複数存在する形状データの属性を保存する役割を果たします。

土質区分や地盤強度など、形状データは複数の属性を備えています。そのため、属性データによってこれらを別個に管理し、正確な描画を可能にしているというわけです。

従来の三次元地盤モデルは、属性データは1種類のみモデリングされることが一般的でした。

しかし実際の地盤は、1つのデータでは収まらないほど複数の属性を備えているため、1つの属性データでは再現性に限界があります。
CIM対応の三次元地盤モデルはそのような課題を踏まえ、複数の属性データを反映することができるようになっています。

3つ目の管理データは、形状データと属性データを管理するために存在する要素です。

地盤情報のデータベース構築の際には、管理データを使った検索が行えるよう機能します。

CIMを活用する三次元地盤モデルの種類について

CIM活用型三次元地盤モデルには、一次元、準三次元、三次元という3つの種類が存在します。

紛らわしい名称となっていますが、それぞれのモデルは三次元の位置情報を有しているため、三次元地盤モデルの一種と考えることができます*2。

一次元モデル

一次元モデルはボーリングモデルとも呼ばれ、ボーリング柱状図のような長さを特徴とした3Dモデルです*3。

3D空間においては円柱型で表現され、遠近感を維持しながら地層をシンプルな色分けによって判別することができます。

準三次元モデル

準三次元モデルはテクスチャモデルとも呼ばれ、3Dで表現された地形の表面に地質表面図を貼り付けるなど、面の情報(テクスチャ)に注目したモデルとなっています。*4

プロジェクト予定地の地形や地質を大まかに判断し、地域住民や関係者への説明を行う際、活躍が期待されるモデルです。

三次元モデル

三次元モデルには、サーフェスモデル、ソリッドモデル、パネルダイアグラムの3種類が存在します*5。

サーフェスモデルやソリッドモデルはVR空間でのモデリングに役立ち、パネルダイアグラムはCTやMRIでスキャンした断層のような高い視認性を確保できます*6。

CIM対応の三次元地盤モデルのメリット

CIM対応の三次元地盤モデルには、VRを用いた地盤モデルの運用や、パネルダイアグラムの有効活用が期待されています。

VRの活用が可能に

属性データをフルに活用した三次元地盤モデルは、VR対応によって情報共有のスピード向上や、円滑さの向上に活躍します*7。

VR空間は実寸大のオブジェクトを仮想的に体験できる技術ですが、関係者へのプレゼンテーションはもちろんのこと、地域住民への説明の際にも役立ちます。

言葉や二次元の図面で説明するよりも、感覚的に情報を伝えることができるため、意思疎通の精度ははるかに高まるでしょう。

建設生産システムの効率化

情報共有が素早く、正確に行えるようになることで、ひいては建設生産システム全体の効率化にもつながります*8。

情報のやりとりが複雑で個別化されている状況は、共有に時間がかかるだけでなく伝達に不備が生まれ、必要以上の人的資源の投入をしいられる可能性もはらんでいます。

CIM対応の三次元地盤モデルを導入することで、これらのリスクを最小限に抑え、工期短縮やプロジェクトの早期実現による、国民生活の向上を目指すことが可能になります。

CIM対応の三次元地盤モデルの導入プロセス

CIMに対応する三次元地盤モデルを実際に導入するためには、以下のようなプロセスに則ることが例として紹介されています。

ハードウェアの準備

1つ目は、ハードウェアの準備です*9。

CIMの運用のためには、属性データが付与された3次元データを扱えるような、高性能なハードウェアを備える必要があります。

また、従来の3Dデータに比べて大きなデータ容量を必要とするため、HDDやSSDなど、ストレージ環境をしっかりとアップデートしておくことも必要となります。

特にSSDはHDDに比べて書き込み・読み込み速度の両方に優れているため、少しでも効率的なパフォーマンスを求める場合には必須となります。

CIM対応データのように容量の大きなデータを扱うとなると、SSDのメリットはさらに高まることになるでしょう。

ソフトウェアの導入

ハードウェアに合わせて、CIM対応のソフトウェアを整えておくことも必要になります。

FORUM 8(フォーラムエイト)が提供する3D CAD Studioや、Autodesk(オートデスク)のCivil 3Dなど、現場の環境に合わせたソフトウェアを選択し、導入しましょう。

3D CAD Studio公式サイト:https://www.forum8.co.jp/product/uc1/cad/3dcad-studio.htm

Civil 3D公式サイト:https://www.autodesk.co.jp/products/civil-3d/overview

人材の育成

ハード・ソフトを揃えるだけでなく、それらを扱えるオペレーターやエンジニアの育成も着手する必要があります。

ソフトウェアの扱いに長け、三次元地盤モデルの作成を行えるようになるまでには訓練が必要です。

社内で教育カリキュラムの検討を行うか、外部の講習を受講できる環境を整えていきましょう。

おわりに

CIMを活用する三次元地盤モデルの運用は、情報共有において大きな効率化を実現してくれる可能性を秘めています。

社内環境を整備し、人材の育成に努めることで、優れた建設生産システムへとアップデートを進めていきましょう。

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出典:
*1 一般財団法人 日本建設情報総合センター「三次元地盤モデル作成の手引き 建設現場の生産性向上に向けて」 p.5
https://www.zenchiren.or.jp/geocenter/guide/sanjigen.pdf
*2 NPO法人 地質情報整備活用機構「CIM対応の三次元地盤モデル及び仮想空間における表現例」p.6
https://www.web-gis.jp/Education/Contents/2019-02_3DGeoModel.pdf
*3 同上 p.10
*4 同上 p.12
*6 同上 p.17,p.21,p.24
*7 同上p.4
*8 国際航業株式会社「地盤情報と三次元モデルについて」p.21
http://www.jsgi.org/2014symposium/04-symposium2014-Akiyama.pdf
*9 一般社団法人 全国地質調査業協会連合会「CIM対応ガイドブック」p.6
https://www.zenchiren.or.jp/geocenter/guide/cim_guide.pdf

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