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DX加速に向けた大和ハウスとAutodeskの連携に関する覚書の内容とは

住宅建設で国内トップのシェアを誇る大和ハウスでは、積極的なデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を行っていることでも有名です。この度、同社ではAutodeskとの連携を発表し、それに伴う覚書の締結も行われました。

今回は、大和ハウスとAutodeskが結んだ連携に関する覚書の内容や、これまでの大和ハウスのDXに関する取り組みを確認していきましょう。

目次:
①大和ハウスとAutodeskの連携に関する覚書について
②大和ハウスとAutodeskが目指す次世代の「工業化建築」
③大和ハウスの「D’sBIM」とは

大和ハウスとAutodeskの連携に関する覚書について

以前からAutodeskとの提携も見られた大和ハウスですが、今回の発表を見てみると、BIM活用やDXの推進について、非常に包括的な内容に触れられていることがわかります。

覚書の内容について

2020年9月、大和ハウスとAutodeskは共同で、DXの加速化に向けた新たな戦略的連携に関する覚書を締結したことを発表しました*1。
2018年にも戦略的連携に関する覚書の締結は行われていますが、今回はDXの加速化に重点を置いた締結となります。

内容としては、自動設計や画像認識、AI、IoTなどの先端技術の開発や、次世代の工業化建築への協業といった、新しいプロジェクトへの展望が予想される内容が盛り込まれています。
また、電子契約、ペーパレス化などの業務プロセス改善や、テレワークなど未来の働き方の構築も含まれており、DX推進に欠かせない働き方改革の実現にも期待が持てます。

さらに、デジタル人財およびグローバル人財の育成、先進的グローバル企業との交流と、新しい人材の獲得や文化の創出にも前向きな内容が盛り込まれており、抜本的なイノベーションのきっかけも増加していく見込みです。

具体的なプロジェクトや取り組みに関しては発表されていないものの、大和ハウスがDXの推進に積極性を見せていることを理解するには十分な内容となっています。

覚書の発表から予想される今後の展開

大和ハウスがAutodeskとの連携によって期待しているのは、創業当初より培ってきた「建築の工業化」をアップデートすることです*2。
次世代の建築に必要な文化と技術を、Autodeskとの連携によって迅速に獲得し、生産性の向上を進めていくでしょう。単に技術支援を受けるだけではなく、それらを効果的に活用できる文化を社内に根付かせ、イノベーションを推進していこうという取り組みです。

企業によっては表面的なDXの推進に留まり、DXで得られる恩恵を生かしきれていないケースも存在します。大和ハウスとAutodeskによる包括的な連携は、こういった事態を回避する上でも重要な意味を持つようになるはずです。

大和ハウスとAutodeskが目指す次世代の「工業化建築」

そもそも、大和ハウスが目指す次世代の「工業化建築」とはどういったものなのでしょうか。これについては以前からAutodeskと連携して大和ハウス式「DfMA+IC」を推進してきたことからもその進捗がうかがえます。

大和ハウス式「DfMA+IC」とは

「DfMA+IC」とは、製造業で先行しているDfMA(Design for Manufacturing & Assembly)とIC(Industrialized Construction)を大和ハウスが独自に組み合わせ、自社の建設業に落とし込もうという取り組みです*3。
製造工程において、建材の作りやすさや建設現場での組み立てのしやすさを考慮したBIMの設計手法であるDfMAと、デジタルデータを基に施工を工場で行い、人材不足の解消を促していくICの理念を融合させたものです。

次世代の「工業化建築」の目的

このような抜本的な取り組みを大和ハウスが進める理由は、建設業界における様々な課題を解消するためです。DfMA+ICの実現がうまくいけば、例えば業界における最大の課題である人材不足の解消が一気に進みます。
また、業務の自動化や効率化が進むことで、危険が伴う作業をロボットに任せたり、現場作業を無人化し、建設業をデスクワークへ完全シフトしたりといった改革にもつながるでしょう。

建設プロセスを単にアップデートするだけでなく、建設業界のあり方を丸ごと変えてしまおうというのが次世代の「工業化建築」の実現であり、大和ハウスがAutodeskと連携して長期的に取り組もうとしていることです。

包括的な連携を結んだのは、このような大規模プロジェクトをスムーズに推進するためというわけです。

大和ハウスの「D’sBIM」とは

Autodeskとの連携以前から、大和ハウスは新しいテクノロジーの導入に積極的な取り組みを進めてきました。例えばBIM運用について、同社は2006年から研究に着手し、これまでも大きな目標の実現に向けたプロジェクトをいくつも展開しています。

ここでは大和ハウスのBIMプロジェクトである、「D’sBIM」についてご紹介します。

「D’sBIM」とは

「D’sBIM」は、大和ハウスが手がける全物件をBIM化し、業務の効率化を進めていこうというプロジェクトです。設計および施工段階における図面作成や修正の手間を削減するだけでなく、施工時に発生する業務の効率化や、ロボットなどの新しい技術の導入を促すことが期待されています。

D’sBIMが目標としているのは、2020年度末までにBIM使用率100%、つまり大和ハウスの手がける住居全てにBIMを導入するというものです。実験的な取り組みにとどまらず、業界におけるBIM運用のスタンダードとして先陣を切ろうというのが、大和ハウスが掲げるBIM運用のあり方です。

災害時における早急な住居の確保にも活躍

住居建設にBIMを活用することで、通常の住居建設の効率化はもちろん、災害時の住居の確保にも大いに役立つことが期待されています。
例えば2016年に発生した熊本地震においては、16市町村で4303戸の仮設住宅が建設された一方、完成までに最短で1カ月半、最長で7カ月も要したという調査報告が出されています*4。

このような期間を少しでも短縮すべく、大和ハウスでは配置計画案の自動化プログラムを推進しています。これは、敷地の境界線と居室や駐車場の数を入力するだけで、仮設住宅モデルが自動で作成されるというシステムです。
このシステムの導入によって、候補地の調査から計画案の作成・承認まで1週間かかっていたのが、わずか1時間で完了できるようになるという、驚異的な効果が期待されています。

今後は配置計画だけでなく、測量や部材調達の自動化にも着手していくことが検討されており、さらなるデータ活用の可能性にも期待がもたれるところです。

おわりに

大和ハウスにおける先進的なBIMの取り組みは、すでに業界最高水準のレベルにまで到達しようとしています。Autodeskとの新たな連携によって、さらなる高みに臨むことが期待できるでしょう。

 

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参考:
*1 大和ハウス「デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みの加速化に向けた新たな戦略的連携に関する覚書を締結」
https://www.daiwahouse.com/about/release/house/20200930151602.html
*2 上に同じ
*3 BUILT「大和ハウス式「DfMA+IC」でAutodeskと目指す、次世代の“工業化建築”」
https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/2010/07/news057.html

*4 BUILT「大和ハウス工業が売上高10兆円の“起爆剤”と位置付ける「D’sBIM」とは何か?」
https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/1909/02/news027.html

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