Autodesk T-Splines Plug-in for Rhinoとは?インストールの流れも紹介
CADで自由形状を設計形状へと作りこむ場合には、何らかの演算方式をあてはめて表現します。
AutodeskではT-スプラインという手法があり、Rhinocerosにもプラグインとして搭載されていました。
この記事ではRhinocerosなどのCADに使われる曲線の種類やAutodesk T-Splines Plug In For Rhinoの概要、インストールの流れについて解説します。
Autodesk のFusion360におけるT-スプラインについても解説しているため、ぜひ参考にしてください。
RhinocerosとはミッドレンジCADのひとつ
Rhinoceros(ライノセラス)とは、NURBSなどを使って形状を作成する3D CADで、正式名称はRhinoceros 3Dです。
WindowsとmacOSに対応していて、建築や航空機、医療機器、精密機器分野など多くの分野の外装検討などで活用されています。
CADで形状を作る場合の演算例
Rhinocerosでは、点や曲線、サーフェスなどのコマンドの組み合わせで形状を作成します。
自由曲線をCADで制御するには、スプラインのように制御点で形状が編集できるようにしなければなりません。
Rhinocerosを含むCADやCAM、CAEでは自由曲線やサーフェス形状をNURBSで演算することが多くみられます。
関数で制御できない形状
- 線分
- ポリライン(連続線):円、長方形など直線や円弧の集まりで構成され塊単位で編集できます。
- ベジエ曲線:格子上の点群の1次結合として表現された式において、バーンスタイン多項式を係数関数として用いた曲線です。
- スプライン:特定の連続性の条件を満たすように接続した曲線文の集まりとして定義づけされる曲線。いくつかの種類があります。
- B-スプライン曲線:順序づけられた点の1次結合として表現された曲線式において、B-スプライン関数を係数関数として用いた曲線です。
- NURBS:B-スプラインを改良して作られた非一様なB-スプラインです。2次曲線、2次曲面も正確に表現できます。
- T-スプライン曲線:現在はAutodeskに特許がある方式で、NURBSよりも制御点を減らすことが可能です。
Rhinocerosのモデリングプラグイン
Rhinoceros単体で全ての機能が補完できればシンプルですが、Rhinocerosに限らず一般的にソフトウェアにはプラグインが含まれる場合が多くみられます。
プラグインとはあるアプリケーションやソフトウェアなどの機能を拡張するために活用されるプログラムです。
電気のコンセントとプラグの関係のように、本来別のものであってもCADに対して特定のモジュールを結合するために使われます。
Rhinocerosに搭載されていたプラグインとして、Grasshopperがよく知られています。
Rhinocerosのパラメトリックデザインには欠かせないプラグインで、入力操作をプログラム化して操作の自動化を行います。
例えば、一つの形状のサーフェスに含まれる個数を変える、並列のパターンについて形状や大きさを変えるなどの変更が可能です。
Autodesk T-Splines Plug-in for Rhinoとは
Autodesk T-Splines Plug-in for RhinoとはRhinocerosのプラグインのひとつです。
導入するとRhinocerosでT-スプラインを使えるようになります。
T-Splines Plug-in for Rhinoは開発終了
T-Splines Plug-in for Rhinoは2017年に新バージョンの開発・販売が終了しています。
そこで、今後T-Splines Plug-in for Rhinoが使えるかどうかは、使用しているRhinocerosのバージョンにより異なります。(*1)
Rhino5のユーザーの場合には特に変更がありません。
無期限でT-Splines Plug-in for Rhinoが使用できるため、パソコンを買い替えた場合などでも使用できます。
使用中のソフトウェアは、新たにパソコンにインストールしてアクティベーションして使い続けることが可能です。
Rhino5の永久ライセンスを持っている場合は、無期限にRhino5が使用できます。
一方T-スプラインについては、新しいコンピュータへのアクティベーションが制限されているため注意が必要です。
T-SplinesはAutodesk Fusion 360 に統合
加えてRhino6以降のバージョンでは、T-Splines Plug-in for Rhinの移行はできません。
T-Splinesは前述のとおりAutodesk Fusion 360に統合されています。
そこで、Rhino6以降のバージョンを使用している場合には、Autodesk Fusion 360への移行を検討してみるのも一案です。
なおFusion 360 の「フォーム」のコンテキスト環境では、T-Spinesボディの面やエッジ、頂点を直接押したり引いたりして編集が可能です。
粘土をこねるような感覚でT-Splinesの形状が操作できるため、コンセプトデザインなどに向いています。
また、直方体、平面、円柱、球などのプリミティブ形状を使ってもT-Splinesボディが作成できます。
Autodesk T-Splines Plug-in for Rhino インストールの流れ
Autodesk T-Splines Plug-in for Rhinoをインストールする場合には、以下の手順で行います。
- Autodesk T-Splines Plug-in for Rhinoをダウンロードします。
- ダウンロードしたファイルをダブルクリックして、インストーラを実行します。
- Rhinocerosを起動します。
- コマンドラインでlsコマンドでライセンスを認証するために「tsActivateLicense」と入力します。
- 続いてインターネット アクティベーション キーを入力すればAutodesk T-Splines Plug-in for Rhinoが使えるようになります。
T-スプラインを含むデータの変換方法
T-Splines Plug-in for Rhinoのプラグインの移行には制限があります。
しかし、T-Splines Plug-in for Rhinoで作成したT-スプラインのデータは、インポート機能を用いればRhino6以降でも活用できます。
ここでは、Rhino7にRhino5のT-スプラインデータを読み込む際の手順を簡単に解説します。(*2)
SubDとしてインポート
Rhino5でT-Splinesのデータを開き、ボックスモードで保存します。
Rhino7で該当するデータを開くとSubDオブジェクトとして読み込まれます。
ただし、T-Joint(結合)は互換性が保てません。結合部分付近にエッジ追加、削除などを行い元の設計意図を反映する手直しが必要です。
NURBSとしてインポート
Rhino5でT-Splinesのデータを開き、スムーズモードで保存します。
Rhino7で該当するデータを開くとNURBSオブジェクトとして読み込まれます。
メッシュとしてインポート
Rhino5でT-Splinesのデータを開き、ボックスモードで保存します。
Rhino7にあるAutomaticSubDFromMeshコマンドで、Rhino5ボックスモードTSpline オプションを「メッシュ」に設定します。
Rhino7で該当するデータを開くとSubDオブジェクトとして読み込まれます。
まとめ
CADの曲線の演算にはさまざな手法があります。
AutodeskではT-スプラインをFusion360などのCADに搭載しています。
Rhino5まではT-Splines Plug In For Rhinoというプラグインを用いるとRhinoceros上でT-スプラインが使えます。
Rhino6移行のバージョンではT-スプラインデータのインポート機能を活用しましょう。
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参考URL
*1 https://knowledge.autodesk.com/ja/search-result/caas/sfdcarticles/sfdcarticles/JPN/Autodesk-T-Splines-plug-in-for-Rhino-licensing.html
*2 https://www.rhino3d.com/jp/docs/guides/import-export/t-splines/