RhinoとRevitの連携方法とは?Revit2022の新機能も解説
「RhinoとRevitが連携できたら便利だな」
「RhinoとRevitが連携できると聞いたけれど、本当?」
とお悩みの方へ。BIMに特化したRevitと曲線のデザインが得意なRhino(ライノー)、この2つのツールは連携できます。さらにRevit2022からはRhinoのデータ形式をサポートするようになったため、以前よりも簡単に連携できるようになりました。
この記事では、RhinoとRevitを連携させる方法について手順をご紹介します。
この記事を読むと、以下の3つのことがわかります。
1.RhinoとRevitの連携方法
2.Revit2022の新機能
3.3Dモデリングの今後
RhinoとRevitの連携方法
RhinoとRevitの連携は以前からできました。しかしRevit2022から、Rhino形式「3DM」という形式のデータをリンクできるようになり、さらに連携が簡単になりました。(※1)
それまでのRevit2021まではCAD読み込みから連携はできたのですが、Rhinoのデータ形式のままリンクさせることはできません。
ではさっそく、RhinoとRevitの連携方法について見ていきましょう。
Revit2022とRhinoを連携させる方法
Revit2022からはRhinoのデータ形式である「3DM」ファイルがリンクできるようになったため、連携は大変簡単です。(ここでは、RhinoとRevit2022の両方がインストールされている前提で解説しております。)(※2)
l Rhinoから該当データを出力して、データをフォルダに格納する
l Revit2022の[挿入]タブをクリックして[CADリンク]を選択する
l [CADリンク]のダイアログボックスが表示される
l Rhinoから出力したデータを格納したファイルを選択する
l [ファイルの種類]のドロップダウンリストを表示させ、[Rhinoファイル(*.3dm)]を選択する
l Rhinoから出力した該当データを選択して[開く]を選択する
上記の手順でRevitモデルにリンクすると、Rhinoで開始した作業に基づいてモデルを構築できます。リンクしているため、ファイルが更新されると、変更したファイルもモデルに再ロード可能です。
Revit2018-2021とRhinoを連携させる方法
Rhinoの3DM形式に非対応のRevit2018-2021の場合、Rhinoの連携にはいくつかのツールが必要です。Revit2022よりは連携に手間がかかりますが、連携できればRevit内でRhinoもGrasshopper(グラスホッパー)も動作できます。(※3)
連携に必要な条件
Revit2018-2021とRhinoを連携させる条件は、以下の通りです。
l Revit2018-2021
l Rhino7以降
l Rhino.Inside.Revit
ダウンロードはこちらから:https://www.rhino3d.com/inside/revit/1.0/
l Grasshopper(Rhino6以前の場合)
ダウンロードはこちらから:https://www.grasshopper3d.com/page/download-1
Rhino.Inside.Revitとは、Rhinoの開発元であるRobert McNeel & Associates社が他ツールと連携させるために開発した技術です。Rhino7以降から搭載されており、これを使うことでRevitとも連携できるようになりました。
またGrasshopperはRhino上で動作するモデリング支援ツールのプラグインです。膨大な量のシミュレーションに対応しており、作業効率や意思決定のスピードをアップさせます。
Rhino7、Rhino6、Rhino5 for Mac(サービスリリース5.4以降)は、Grasshopperを搭載していますのでダウンロードは不要です。Rhino4、5をお使いの場合はダウンロードしてください。(無償)
連携方法
ここでは、Revit2018-2022およびRhinoがインストールされている前提で解説していきます。もしRhino4または5をお使いの場合は、1つ前の「連携に必要な条件」で解説した[Grasshopper]もインストールしておきましょう。
l まずは[Rhino.Inside.Revit]をダウンロード・インストールします
l ファイルを開きインストーラーを実行すると、ライセンス同意書が表示されます。[I accept the terms in the License Agreement](同意する)のチェックボックスにチェックを付け、[Install]をクリックして実行しましょう
l セットアップ画面が表示されます。ウィザードに沿って進んでいき[Finish]をクリックすれば完了です
l [署名付きアドインが見つかりました。どうしますか?]というセキュリティ警告が表示されます。今後このダイアログボックスをスキップしたい場合は、[常にロード]を選択してください。これでロードが完了します。
l インストールされたかどうか、Revitを起動して確認します。Revitを立ち上げ[アドイン]を開き、サイのアイコンの[Rhino]ボタンが表示されていればOKです
l [Rhino]ボタンをクリックすると、[Rhino.Inside.Revit]がロードされます。Rhino7のライセンス認証が終われば、[アドイン]の横に[Rhinoceros]というタブが表示されます
l Rhinoを起動するためのショートカットを設定するかどうかの確認画面が表示されます。(ショートカットキーは後から変更可能です。)
連携がうまくいかない場合
RevitとRhinoの連携では、ファイルが読み込めないエラーが発生した事例があります。
具体的には、Rhinoから作成した3DMファイル形式またはSATファイルにおいて、特定のRhinoモデルを読み込んだ際Revitでエラーが発生します。(※4)
Revitのジャーナイルファイルでは、ファイルに関してジオメトリと変換の問題を示す警告レポートが出るようです。原因についてはオートデスク社で調査中ですが、以下の回避方法が共有されています。
l Rhinoから.skpにモデルをエクスポートする
l SketchUpでファイルを開く
l SketchUpから.dwgにファイルを出力する
l 3.の結果の.dwgデータをRevitに読み込ませる
Revit2022年以降はRhinoファイルを直接読み込めるため、上記のトラブルは起こりにくいようです。
しかしRevit2022年以前の旧バージョンをお使いの場合、Rhinoの3DMファイル形式とは異なる.dwgや.satといったデータ形式に変換するとトラブルが解決できる可能性があります。
RhinoとRevitを連携させることのメリットとは
3DモデリングツールであるRhinoとRevitを連携させる最大のメリットは、双方の「良いとこどり」ができる点です。
まず3次元CADソフトであるRhinoは、曲面のデザインに大変強い点が特徴となっています。グネグネと曲がった形や大きく湾曲したデザインも柔軟に対応できる自由曲面モデリングで、デザイナーの思い通りに設計できます。
また製造工程で要求される仕様や高精度のモデリングも簡単に設計できるので、コンセプトデザインや製造モデルなど幅広い分野で活躍できるツールです。3DCADや3DCG、2CAD/DTPにおけるあらゆるデータ形式にも対応しており、サポート力の高さも魅力です。
一方でRevitといえば建築業界におけるBIM(Building Information Modeling)に特化しています。CADツールでも有名なオートデスク社のツールであり、海外の大手企業や国内のゼネコンも導入するなど、圧倒的なシェア率を誇るツールです。
Revitは「ファミリ」というオブジェクトを使ってモデリングする手法で、平面図に変更を加えると図面や3Dモデルもリアルタイムで変化します。さらに他のユーザーと共有しやすくなっており、大勢の関係者が動く建築業界で注目されているツールです。
RevitはBIMに特化した一方で、Rhinoほど複雑な曲線は得意ではありません。そこで曲線や複雑なデザインが得意なRhinoと連携することができれば、2つのツールのいいとこどりができるのです。
Revitは多くのアドオンを提供しており、他のツールと連携しやすくなっています。Rhinoの場合は、[Rhino.Inside.Revit]というアドオンを使うことで連携が可能となります。
さらにRevitは2022バージョンからRhinoのデータ形式に対応しているため、より連携が簡単になりました。
建築業界でも注目される3Dデザイン
3次元のように見えるデザインを行う3Dデザインは、様々な分野で需要が高まっています。例えばPixarをはじめとするアニメーション映画では3Dデザインでキャラクターや街並みを表現しており、なくてはならない技術の1つです。
またゲームやアニメでも多くのシーンで3Dデザインが活躍しています。特に需要が高いのはスマートフォンゲームで、スマホの普及に伴い需要は年々伸びています。
しかし3Dモデリングが活躍する場は、ゲームや映画、アニメに限りません。今では広告業界のグラフィック制作や企業内のパッケージ・ロゴ制作など、あらゆる業界で導入が進んでいます。
3Dデザインの需要が高い分野として、「建築業界」も忘れてはいけません。建築業界は早い段階から3Dデザインに注目しており、今や国が「BIM/CIM」として導入を推進しているほどです。
建築=CADはもう昔のイメージで、今ではBIM(Building Information Modeling)として情報を統合し、施行や管理まで一貫したデータ活用が推進されています。
意匠性の高いモデルデザインが得意なRhinoとBIMに特化したRevit、この2つが連携できれば、さらにデザインの幅が広がるでしょう。ぜひ今回ご紹介した方法で、RhinoとRevitのいいとこどりをしてください。
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※3
https://www.applicraft.com/tips/rhinoceros/rhinoinsiderevit/