Revit2024と2025のちがいは何?新機能を中心に解説します
2024年4月、オートデスクはBIMソフトウェア「Revit」のバージョン2025をリリースしました。敷地設計のための新機能を導入したり様々な面で効率化を意識したりと、多くの機能強化が実装されています。
この記事では現在Revit2024をお使いの方に向けて、2025とのちがいについて新機能を中心にご紹介します。また、Revit2024以前と2025以降では「Desktop Connector」について大きなちがいがありますので、バージョンアップをご検討の方はぜひ最後までお読みください。
この記事を読むと、以下の3つのことがわかります。
1.Revit2024と2025の機能面でのちがい
2.Revit2025の新機能
3.Revit2024と2025での「Desktop Connector」におけるちがい
Revit2025の新機能
Revit2024と2025のちがいとして、以下の新機能をご紹介します。
- Dynamo(ダイナモ)3.2.1への対応
- コーディネーションモデルの変更機能追加
- ファミリ編集機能向上(配列値の0と1対応)
- 図面化機能向上(シートコレクション、位置合わせ)
- 鉄筋機能向上(最大長さ、曲げ形状概略等)
Dynamo(ダイナモ)3.2.1への対応
Dynamoはさまざまなプログラムで活用できるよう設計されたプログラミング環境で、Revitの最新バージョンに常に対応するようにアップデートされています。Revit2025でもアップデートされ、今ではDynamo Ver.3.2.1に対応しました。(2024年9月時点)
Revit2025では、主に以下のような機能を実装しています。(※1)
- 新しい Dynamo ホーム:Revitとの一貫性向上だけでなく、最近のグラフのタブやRevitのサンプルグラフ、学習コンテンツなど多くの改善を実行
- ワークスペース テンプレート: テンプレートを使い新しいワークスペースを開くと、グラフプロパティなど事前に定義されたグラフ要素を新しいグラフに適用でき、業務を効率化
- T スプライン ノード:2025以前はサンプルモードのみだったが、DynamoでTスプラインノードのスイートが既定で使用可能になった。これにより連続したスムーズな要素を作成できる
- パネル ノード:ノードライブラリでパネルノードのスイートが使用可能になった。各パネルのドキュメントブラウザに含まれるヘルプドキュメント、イメージ、サンプルグラフを活用できる
- 入力データ タイプを検証するための DefineData ノード:DefineData ノードは入力データのタイプを検証でき、ローカルデータが目的のタイプであることを確認できる。
- すべてのプレビュー バルーンを固定解除して折りたたむ: [Ctrl]+[K]のショートカットも使用可能になった。グラフ内のプレビューバルーンが不要な時は、固定を解除して折りたたむことで閲覧性が向上する
- ノード ライブラリの表示の改善: すべてのノードアイコンが更新され、より大きく鮮明に改善。ライブラリの間隔は縮小され、規定でより多くのコンテンツを表示できるようになった
コーディネーションモデルの変更機能追加
Revit2025からは、コーディネーションモデルをリンクした後、Autodesk Docsからリンクしたモデルの2つのバージョンの変更を簡単に確認できるようになりました(※2)
Autodesk Account にログインして[コラボレート]タブの[コーディネーションモデルの変更]をクリックすると、Autodesk Docsから最新版とそのほかのバージョンの変更内容についてハイライト表示されます。さらに追加・修正・削除について、それぞれどれくらい行われたのか数字が表示され、目視でカウントする必要がありません。
3Dモデリングは幾度となく変更され、担当者は何がどのように変わったのか把握しなければならないケースも多いものです。その際、この「コーディネーションモデルの変更」機能が大いに役立ちます。
ファミリ編集機能向上(配列値の0と1対応)
Revit2025では、ファミリを複製する際の配列値がアップデートされて「0」と「1」に対応しました。(※3)
Revitでは親ファミリの中に子ファミリを作る際、同じパーツなら「配列複写」によって複製画できますが、複写する物の値が「2」以上であることが条件でした。例えば同じ椅子を6つ作りたい場合、複写する元となる椅子は「2」以上作らなければならず、配列が1や0の時は工夫する必要がありました。
しかしRevit2025では複写する物の値が0でも1でも可能で、パラメータに希望の個数を入力すればOKです。パラメータが0になったら、Revitが自動的にそのファミリを非表示にします。
Revitにおけるファミリは構造材や屋根、窓といった建具や製図に使用する記号など、Revit上のプロジェクトに追加するすべての要素を指す総称です。2025以降、ファミリの簡素化が強化され、より管理しやすくなりました。
図面化機能向上(シートコレクション、位置合わせ)
Revit2025では図面化機能が向上され、「シートコレクション」機能の追加や注釈の位置合わせがアップデートされました。(※4)
過去のプロジェクトを再スタートさせる時など、長期的にBIMのドキュメント管理を行うのは大変です。そこでRevit2025から登場した「シートコレクション」で、効率化できるようになりました。
シートコレクションなら過去のシートをパッケージ化して、コレクションすることができます。モデル内の任意のシートをグループに割り当てることができ、必要な時にすぐ使えるようになりました。
シートコレクションは、既存のシートやビューパラメータと一緒にRevitの互換性のあるビュータイプに使用可能です。[プロジェクトブラウザ]の[シート]-[シートコレクション]で作成でき、すべてのシートはモデル内のすべてのコレクション一覧表示するパラメータが含まれています。
またRevit2024から複数の注釈要素を選択した際、[修正]タブの[文字]から配置を選択することでテキストボックス内での文字の位置合わせができるようになっていました。
Revit2025からは、同グループの[位置合わせ]からテキストボックスを境界として調整できます。左右、上下、中央で合わせることができ、注釈を手早く整えられます。(※5)
鉄筋機能向上(最大長さ、曲げ形状概略等)
Revit2025では鉄筋機能向上について、継手対応や曲げ形状のバージョンアップを行いました。(※6)
鉄筋機能における継手はいわゆる“重ね継手”への対応です。重ね継手とは鉄筋で使われるもので、2本の鉄筋を決められた長さで重ねて1本の鉄筋と同等の性能を発揮させる方法です。
鉄筋は基本的に12mまでの製品しかなく、12mを超える場合は鉄筋をカットして継ぎ足し、長さを補うしかありません。今まで鉄筋の継手はカプラーという方法しかありませんでしたが、Revit2025からは複数の鉄筋セットに継手を作成する・長さに応じた鉄筋継手を作成する、鉄筋継手を修正するという機能が追加されました。
また個々の鉄筋ハンドルの鉄筋拘束を無効にすることで、コンクリートのジオメトリが変更される際、鉄筋の長さが不必要に変更されないようブロックすることもできます。
Revit2024から鉄筋の曲げ形状の注釈が搭載されていますが、Revit2025ではその注釈がアップグレードされ、詳細(リアリスティック)と概略(スキーマティック)が指定できるようになりました。曲げ形状のタイププロパティより修正でき、鉄筋を修正すれば曲げ形状の概略も連動して変更されるので、修正の手間や漏れが発生しません。
Revit2024とRevit2025における動作環境のちがい
Revitの動作環境について、Revit2024とRevit2025では「Desktop Connector」で大きなちがいが生まれました。(※7)
Desktop Connectorとは、クラウドにあるデータにエクスプローラでアクセスできるツールです。
データソース内のファイルはコネクタに複製され、コンピュータ上のフォルダのようにデータソース内のファイルを管理できるようになります。またコネクタで行った変更は自動的にデータソースにアップロードされるので、手動で行う必要がありません。
そんなDesktop Connectorですが、Revit2025以降はグローバル展開により仕様変更が発生しており、Desktop Connector バージョン 16.x 以降が必要です。バージョン 15.8 以前は Revit2025 でサポートされておらず、使うことができません。なお、Revit2024以前はDesktop Connectorバージョン16.xと互換性があります。
仕様についてはRevit2024とRevit2025で上記の「Desktop Connector」に大きなちがいがあるので注意してください。
Revit2024とRevit2025のちがいについて、新機能を中心にご紹介しました。最後に解説したように、動作環境でもちがいがありますのでアップデートの際にはご注意ください。
大手ゼネコンBIM活用事例と 建設業界のDXについてまとめた ホワイトペーパー配布中!
❶大手ゼネコンのBIM活用事例
❷BIMを活かすためのツール紹介
❸DXレポートについて
❹建設業界におけるDX
参照サイト
※1 https://help.autodesk.com/view/RVT/2025/JPN/?guid=GUID-B7907A92-2CBF-48D0-A281-4CE4320B51DE
※2 https://help.autodesk.com/view/RVT/2025/JPN/?guid=GUID-090A70F3-E3EC-4109-A797-641EB9CF7336
※3 https://bim-design.com/event/ondemand/revit-2025/
※4
https://help.autodesk.com/view/RVT/2025/JPN/?guid=GUID-49B75F56-9286-4CC5-B6F0-A6523CAE8F2A
※5
https://help.autodesk.com/view/RVT/2025/JPN/?guid=GUID-F54D8DE1-8700-49F7-BED6-54B3F56D85BC
※6
https://adndevblog.typepad.com/technology_perspective/2024/05/new-features-on-revit-2025-part4.html
※7
https://help.autodesk.com/view/CONNECT/JPN/?guid=Historical_Releases_Desktop_Connector