【無料あり】BIMソフトの特徴や価格を比較!無料で使う方法は?
建築設計の効率化を目指して高機能なBIMの導入を検討したくても、実現可能性の検証としてまずは初期投資を抑えて仮導入したいという企業は少なくありません。
本記事では無料または低コストで利用可能なBIMソフトウェアの特徴や価格を比較し、コストを抑えながらBIM技術を活用する方法を解説します。
BIMソフトの種類を比較
BIMソフトウェアは、複雑なモデリング機能、データ管理能力、連携ツールなどを持っていて、専門的な開発体制とともに一定のコストがかかります。
以下は一般的なBIMソフトの一覧で、価格や無料体験版の有無と合わせて比較しています。
また、各々のBIMソフトの特徴について簡単に紹介しています。
BIM名称 | 特徴 | 業界 | 価格(参考:1年) | 体験版 |
Archicad | ・3Dオブジェクトのライブラリ・データのレイヤーが使用可能 | 意匠・構造・設備設計 | ・Archicad: 434,610円(税込)Archicad Solo: 310,200円(税込) | あり*1 |
Autodesk Revit | ・要素タイプに基づくデータ構成・パーツに属性付与可能 | 意匠・構造・設備・施工・管理 | ・AEC Collection: 522,500円(税込)・Revit: 427,900(税込) | あり*2 |
GLOOBE | ・逆日影斜線計算機能・日本の建築基準法に対応 | 建築設計 | 650,000円(税抜) | あり*3 |
Vectorworks | ・2D機能が充実・デザイン段階に強い | 建築・インテリア業界 | Vectorworks Architect: 523,600円(税込) | あり*4 |
Tekla Structures | ・LOD500対応能・構造設計に特化 | コンクリート専門建設業者、鉄筋加工業者 | 要問合せ | 要問合せ |
Rebro | ・建築設備専用CAD・高精度な設備モデル | 建築設備設計 | 要問合せ | 有償レンタルプランのみ*5 |
Archicad
Archicadは、家具、植物、人物、車両といった3Dオブジェクトのライブラリが豊富にあるため、ユーザーは効率的に設計作業が進められます。
また、データにレイヤー概念があり壁、床、屋根などの設計要素を分けて管理できます。
要素が重なっていてもデータの構成が直感的に理解しやすく、プロジェクトの管理がしやすい特徴があります。
Autodesk Revit
Autodesk Revitは、壁、床、屋根、窓、ドアなどの建築要素や、構造要素、MEP(機械、電気、配管)コンポーネントなどの要素タイプに基づいてデータが構成されます。
そのため建築物の各部材を詳細に管理して高度なモデリングが行えます。
また、パーツごとに属性情報が付与できるため、プロジェクト全体をデータベース活用することも可能です。
GLOOBE
GLOOBEは、建築物が周囲の環境に与える影響を正確に予測する逆日影斜線計算機能があるなど、建築設計に向いているBIMソフトです。
また、日本の建築基準法に対応した設計支援ツールがあるため、建築許可申請に必要な書類作成や、建築基準法に基づいた設計の検証を効率的に行うことができます。
Vectorworks
Vectorworksは、建築やランドスケープ向けの3Dモデリング機能とともに2D設計機能が充実しているため、幅広い設計ニーズに対応可能です。
また、リアルタイムでのビジュアライゼーション機能などレンダリング機能が強化されています。
そのため設計案の意図を視覚的に伝えることが重要となるデザイン事務所に向いています。
Tekla Structures
Tekla StructuresはLOD500に対応しているため、鋼構造やプレキャストコンクリート、木造など、さまざまな材料に対応したモデルを詳細に設計することが可能です。
製造工程における部材のカットリスト自動生成など、構造設計だけではなく製造プロセスや施工管理にも対応しているため、建設プロジェクト全体のライフサイクルがサポートできます。
LODについて詳しくはこちら:BIM普及に必要なLODの課題と実用例
Rebro
Rebroは、建築設備専用のCADソフトウェアであり、空調・衛生・電気などのすべての設備が利用できる統合版と、電気に特化した電気版、その他海外使用許諾版、英語版があります。
高精度な設備モデルが可能で、設計から施工、管理までの一貫した業務フローをサポートします。
BIMは基本的に無料では使えない
BIM(Building Information Modeling)は、建築、構造、設備設計から施工、管理に至るまでのライフサイクル全体を通じて、建物のデータを一元管理し、効率的なプロジェクト運営を実現するための技術です。
しかし、BIMソフトウェアは高度な機能がある一方、開発・維持に用いるにはコストがかかります。
購入前提のベンチマークとしてライセンスが貸与されることもありますが、基本的に無料では利用できません。
各種BIMソフトウェアは、その複雑なモデリング機能、データ管理能力、連携ツールなどを提供するために、専門的な開発背景を必要とし、これらのコストは製品の価格に反映されます。
そのため、企業や専門家がプロジェクトでBIMを活用する際には、ライセンス契約に基づく料金が発生します。
無料で提供されるBIMソフトウェアは存在しないわけではありませんが、その機能は限定的であり、プロフェッショナルな用途には適さない場合が多いです。
体験版BIM、教育版BIMは無料で利用可能な場合も
BIMソフトウェアの中には、体験版や教育版として無料で利用できるものもあります。
これらは、BIM技術の普及と教育を目的として、一定期間や特定の条件下で機能を無料で提供するものです。
Graphisoft Educational Licenses:Archicad
Autodesk Education Community
Vectorworks 学生単年度版
教育用レブロ
教育版は、将来の専門家を育成する目的で許諾が与えられていて、学生は無料でプロジェクトに必要となる高度な機能を使用できます。
中には製品版と比較すると機能に制限があるBIMもあります。
これら無料版BIMの利用には資格要件があり、商用プロジェクトでの使用は許可されていないため注意が必要です。
無料ありを重視する場合はCADの使用もおすすめ
BIMとCADを比較すると根本的に異なるものの、費用をかけずに制作を行う方法としては、BIMと操作方法が近いCADソフトウェアを使用するのも一案です。
ここでは、建築や土木分野での初期段階の概念設計や簡単なプロジェクトの設計作業や3Dモデリングに対応可能な無料CADソフトウェアを紹介します。
Fusion360
Fusion360はクラウド上ベースの無料3D CADで、製品設計から製造までのプロセスに活用できるほか、拡張機能もあります。
BIMでの業務はチーム設計になることが一般的です。
Fusion360の拡張機能であるシミュレーションや統合型CAMツールなどを使ったり、設計の検証から製造準備までを一元管理したりする経験は、BIMのプロジェクトでも活かせます。
JW-CAD
JW-CADは、国内で広く使用されている無料の2D CADです。
建築や土木設計に特化した作図機能があり、BIMでも使われる図面作成が可能です。
また、操作性がシンプルで初心者でも扱いやすく、専門的な設計図も手軽に作成できるため、BIMの前段階としての利用に適しています。
BricsCAD Shape
BricsCAD Shapeは3Dモデリングソフトウェアで、初期のコンセプトデザイン作成に特化しています。
直感的な操作で素早く3Dモデルが作成できるため、BIMプロジェクトのアイデア段階での使用に便利です。
BricsCADのフルバージョンへの移行も容易で、設計から実施設計までの流れをスムーズにつなげることができます。
まとめ
CADソフトは、BIMと比較しても操作性が高く、気軽に3D設計を行うことができます。
教育版は無料のこともありますが、商用利用は基本的に有料です。
一方CADソフトは、豊富な機能を搭載しているにも関わらず、ライセンス料金が無料または非常に低コストで提供されているものがあるため、コスト削減を重視する企業や個人にとって有効な選択肢となります。
各々のプロジェクト要件に応じて最適なツールを選定することが重要です。
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参考URL
*2 https://www.autodesk.co.jp/products/revit/trial-intake
*3 https://archi.fukuicompu.co.jp/products/gloobe/download.html