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三菱重工がRevit用BIMデータを公開!その背景とは?

BIM運用が国内でも普及が進んでいるのは、BIMソフトの浸透とともに、各企業がBIM活用を推進する動きを加速させていることも背景にあります。

三菱重工は、自社製品のBIMデータ提供を一般向けに開始しており、建設業界における一層の活用機会の増加が見込まれます。

今回は、三菱重工がRevit向けのBIMデータ配布を開始した目的や、どのような影響が期待できるのかについて、ご紹介します。

①三菱重工が公開するRevit用BIMデータについて
②BIMデータの公開で得られる現場のメリット
③三菱重工がBIMデータ公開を強化する背景

三菱重工が公開するBIMデータについて

三菱重工は、2021年3月より自社で公開している3D-CADデータのBIM対応を開始し、Autodesk社のBIMソフトであるRevitへの正式対応を発表しています*1。

Revit向けにビル用マルチエアコン38機種をデータ化

今回Revitへの対応が決定したのは、ビル用マルチエアコンの38機種です。これは三菱重工グループの三菱重工サーマルシステムズ株式会社が提供しているBIMデータで、材料や部材の仕様、設備の詳細や販売元といった情報が、3Dモデルの中に内包されています。

今後は店舗やオフィス向けのエアコンのほか、産業用ヒートポンプ製品に関するデータのBIM対応も予定されており、同社による空調関連のBIM環境が強化されていくと予想できます。

Revitを使ったレイアウト設計や情報共有に貢献

Revitは世界で最も利用されているBIMソフトの一種で、国内でも大手企業を中心に導入が進められています。レイアウトや内部設計などをタスクごとに保存、編集できる機能性の高さを生かし、小規模から大規模のプロジェクトに至るまで、幅広い活躍が見込まれています。

また、3Dモデルをベースとして平面図や断面図を生成することも可能なので、2Dデータが必要な場合でも、BIMデータを基軸として作成し、図面間のギャップを小さくするのにも役立ちます。

BIMデータの公開で得られる現場のメリット

BIMデータの提供や、現場への導入は徐々に普及していますが、どのような効果が期待できるのでしょうか。BIMデータを三菱重工が公開することで得られるメリットについて、ご紹介します。

設備の見える化を促進

まず、企業が公式のBIMデータを提供してくれることによって、設備の見える化を多いに促進できます。

これまで、設備データについては導入予定の製品情報をもとに独自に製作することが一般的でした。そのため、設備のディテールや具体的な機能については、設計段階の時点で考慮することが難しいものでした。

しかし、三菱重工のように、設備提供者が本体と合わせてBIMデータも提供してくれることで、設計段階から精度の高い導入効果の検討や、前向きな設備の導入を進められるようになります。実物同様の設備データがあることで、建物設計を設備に合わせて編集することが容易になるだけでなく、事前のシミュレーションを正確に行えるためです。

特に空調は設置箇所や台数によって、大いにそのパフォーマンスが左右されます。効率よく空調システムを機能させるためには、建物の設計段階から詳細な検討を重ね、最適なレイアウトを見出さなけれなりません。BIMデータの提供は、そんな設計段階の検討事項を大幅に効率化し、不確定要素を小さくできるため、建設プロジェクトの円滑な推進に役立ちます。

情報の統合による業務効率化の実現

BIMデータ導入の二つ目のメリットは、設計情報を統合できる点にあります。従来の設計業務は、関係者間での情報共有の際、別個に図面を用意したり、何度も修正を重ねることで、最新データと旧データが混在したりすることも珍しくありませんでした。

BIMデータは、こういった問題の解消に有効です。基本的にオリジナルデータを一つ用意することで、関係者はクラウドストレージなどを通じて、リアルタイムで編集を行なったり、フィードバックを行なったりできる機能が搭載されているためです。

設計に活用するデータを一つに統合できれば、情報の錯綜が生まれるリスクを抑え、ミスのない情報共有を推進できます。また、BIMデータは基本的にデジタル媒体を通じて共有するため、紙媒体を用いる必要はありません。よって、紙ベースで図面を保管したり、プリントアウトして共有したりする必要がなくなるのも強みです。

三菱重工がBIMデータ公開を強化する背景

三菱重工がBIMデータの公開を推進しているのは、自社の課題解決を進めたり、建設業界全体にとって有益であることが背景にあると考えられます。三菱重工がBIMデータ公開を強める背景について、ご紹介します。

ライフサイクル管理の重要性の高まり

一つ目の背景は、建設業界におけるライフサイクル管理の重要性が高まっている点です。高度経済成長を終え、日本における新たな建設プロジェクトの絶対数は減っていると言えます。そんな中で多くの企業が注目しているのが、サステナブルな建築の実現です。せっかく建てた建物を長期間利用し、資産価値を高い状態で維持することで、建築物の価値を最大化できます。

そのためには、設計や施工の効率化はもちろん、竣工後の維持管理の品質を強化する必要があります。BIMデータは点検や補修工事の際の図面としても活用でき、その上高い精度が期待できます。必要な部材や点検箇所を迅速に把握できるため、維持管理のコストを小さくし、必要な労力を抑えられるようになるのです。

BIMの更なる普及に貢献

BIMデータが三菱重工のように、各メーカーから積極的に提供されるようになれば、BIMを利用するきっかけをさらに増やしていくことにもつながります。

日本でもBIMデータ活用は少しずつ普及している一方で、まだまだ採用企業は大企業が中心であり、中小企業への普及率は限られています。日本の建設業は、その大半を中小企業が担っているため、彼らのDXを推進することは喫緊の課題でもあります。BIMデータが各社から豊富に提供されるようになれば、BIM運用のハードルを下げ、気軽に導入できる機会を提供することにもつながります。

BIMは利用者が増えれば増えるほど、その運用メリットが大きくなる強みも備えています。積極的なBIM活用を後押しすることで、建設業界全体が利益を得られるようになるでしょう。

おわりに

BIM運用の推進は、各社が独自で取り組むだけでなく、一般公開されているサービスやデータを有効活用することで、より効率よく進められるようになります。

三菱重工が提供しているBIMデータの品質は高く、多様な利用機会が想定されています。積極的に活用し、より効果的なBIM運用を実現しましょう。


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*1 三菱重工「三菱重工サーマルシステムズ、ビル用マルチエアコンの公開データを拡充
「Revit」を用いた 3D-CAD データの BIM 対応を開始」
https://www.mhi.com/jp/news/210318.html

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