「ニコニコ動画」の凋落は何を意味するか。


「ニコニコ動画」が苦しいようだ。

ユーザーのニーズを満たすようなアップデートを10月までにリリースできず、要望に答えるには「半年待ってほしい」とのこと。新バージョンのニコニコ動画(く)の発表会は酷評された。

さらに、有料会員数の激減を指摘され、進退窮まる状況だ。

niconicoが高齢化 有料会員は年間28万人減

ドワンゴがこのほど発表した2017年4~9月期の連結決算によると、動画サービス「niconico」の有料会員数は228万人で、前年同期の256万人から28万人減少した。年代別では30~50代会員の割合が増え、高齢化が進んでいる。

niconicoのID発行数は、年間で6006万人から6832万人に増加した一方、有料のプレミアム会員数は256万人から228万人に減少。MAU(月間アクティブユーザー)は954万人から910万人に、DAU(日間アクティブユーザー)は346万人から309万人に減少した

控えめに言っても、1年間で顧客が10%(定額サービスなので売上も10%)減少するようなサービスは、かなりマズい状況にある、と言わざるをえない。

 

この苦境に関する分析は数多く出ており、「体力負け」という意見が支持されているようだ。

「ニコニコ動画」の低迷はサービス競争以前の、単なる体力負けなのではないか

AbemaTVを手がけるサイバーエージェントの藤田晋社長が「動画コンテンツ確保のために年間200億円の赤字を覚悟する」とぶち上げ、元SMAP三人組を連れてきて番組を展開する、というような多くの一般層にウケる企画はニコニコ動画では予算的にも顧客属性的にもできません。

一方、Youtubeもその他動画サイトも動画サイトのサービス単体での投資額は1,000億円レベルのオーダーであり、10年前のサブスクリプションサービスの水準では第一人者であったニコニコ動画もワールドワイドの競争では日本ドメスティックの中堅事業者にすぎません。

後発のビリビリ動画を含め中華系のコンテンツファンドが少ない審査期間でアニメなどのコンテンツ調達にポンと2億円出すような世界から完全にニコニコ動画は取り残されました。

プラットフォーマーは「金」がなければ負ける。

改めて「グローバルの競争」の厳しさを痛感するような出来事だ。

 

さて、そのような状況、ある意味「ニコニコ動画の凋落」とも呼ぶべき状態は、一体何を示唆しているのか。

それは「ニッチの限界」である。

ニコニコ動画はあまりにも狭く、深いゾーンのターゲットだけを掘りすぎてしまい、永いこと顧客を広く薄く採っていく努力を怠った。

 

事実、今の10代はニコニコ動画を見ない。

10代の若者はGoogle検索よりもTwitterで情報収集

動画専門サービスでありながら、Youtubeはおろか、TwitterやLINEにすら負けている。さらに「オタク臭くてダサい」というイメージまで持つ人は少なくないだろう。

高齢者も見ない。40代も「オタクが見るメディア」と認識している。

 

ピーター・ドラッカーはこのような事業者を「限界的な供給者」と呼ぶ。

限界的な存在となった供給者は、いかなる景気後退、ごくわずかの軽度の景気後退によってさえ、市場から駆逐されるおそれがある。

競争が激化すると、流通業者は在庫を減らすために、動きの少ない製品を削減する。顧客は人気のある商品だけを求めるようになる。

そしていざ不況ともなれば、限界的な供給者の売上げは、必要なアフターサービスさえ行えないほどに減少する。

シェアがどこまで下がれば限界的な存在になるかは、産業によって異なる。同じ産業でも製品の価格帯によって異なる。地域によって異なる。

限界的な生産者となることは常に危険である。市場には、必要にして不可欠な最低限の地位というものがある。

(現代の経営 ダイヤモンド社)

まさにニコニコ動画は「限界的」な存在となった。

 

ここ10年、ニコニコ動画は常に「ニッチ」であった。

だが「ニッチ」はインターネット上では容易にニッチではなくなる。競合が攻めてくれば防衛をせざるを得ない。そのときに、「ニッチでいることを良しとしていた」ツケを支払う羽目に鳴ってしまうのである。

 

(写真:Dick Thomas Johnson


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