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CAD、AR、そしてPDMが製造業界を変える

政府は「人づくり革命」を推進していますが、その一方で、日本の「ものづくり」も静かに変容しつつあると感じます。人工知能の実用化と、IoTに対する本格的な取り組みを背景に、製造業全体が転換期を迎えている印象です。

2017年の製造業界では、品質管理を怠った企業の不祥事や事故のニュースが目立ちました。日本を代表するメーカーの不正により、世界からの信頼を失う深刻な事態に陥っています。このような問題を繰り返さないためにも、徹底的な管理体制が求められます。そして、人為的ミスを補うテクノロジーが必要とされるのではないでしょうか。

「ものづくり大国」と呼ばれた日本は、もはや過去となり、アメリカや新興国の技術にその座を奪われている状態です。しかし、日本の製造業の新しい未来に期待したいものです。

そこで、日本の製造業が信頼を取り戻すためにも、技術的側面のPDM、CAD、ARというキーワードから改善とイノベーションのヒントを探ります。

 

 

PDMとは何か

 

「PDM(Product Data Management)」とは、製造業の設計部門のデータを一元管理するシステムのことをいいます。

設計関連の業務を通じて、設計図、CADデータ、部品表、進行表などのデータが生じます。各々のデータは部品と設計図などを紐付けておくことが理想的ですが、実際には散在して管理していないことが少なくありません。

また、機密情報などセキュリティ上から、データに閲覧制限をかけなければならない場合もあります。特に新製品の開発などでは、CADデータや図面は厳重に保管しなければなりません。上司の承認などワークフローにしたがって記録、保管しておくことが必要です。

一般的にCADデータは、共有ファイルサーバーで構築したプライベートクラウドなどにフォルダを分けて、ファイル名などで版数を管理している場合が多いのではないでしょうか。しかし、プロトタイプなどの段階を踏まえると製造に関連するデータは多岐に渡り、改版の履歴を遡れなくなったり、探している情報に辿り着けなかったり、非効率な状態になります。

このような状態をシステムで一貫して統合管理することがPDMです。

 

 

製造業でAR活用が進展

 

近年、製造業ではARがめざましく活用されるようになりました。たとえば、スマートフォンやタブレットなどの端末のカメラを通して金型を見ると、部材番号が表示されるような事例があります。金型などの部材は番号で管理されていることがありますが、実物にARを通して表示すれば部材番号などを探す手間が省けます。

アメリカのDAQRI社の「Smart Helmet」は、人間の視野に直接情報を映し出すヘッドアップディスプレイ(HUD)により、作業員は工程や設計図、作業の指示などを現在見ている視界に重ねて映し出すことができます。

また、作業マニュアルをディスプレイ上に表示して、不慣れな作業員にもスムーズに仕事ができるように支援するシステムも作られています。

 

 

ARでCADはより高度な設計が求められる

 

一方、これまでCADは2D のディスプレイ上で設計していましたが、ARを活用すれば、人物や風景と融合させて、原寸で修正を加えながら設計することが可能になります。自動車、家具などの製造業のほか、建築業界でも活用が進んでいます。

株式会社ホロラボが開発している「AR CAD Cloud」は、3D CADのデータをブラウザからクラウドにアップロードすると、自動的にAR環境に最適化してくれるサービスです。IGES、STEP、STLというCADの中間ファイルに対応し、CADのソフトウェアでは著名なAutodesk社の「Fusion 360」用のプラグインも用意されているそうです。

しかし、これは設計を支援するツールです。このツールによってエンジニアは現実をシミュレーションして、現実的な視点から設計できるようになりますが、「いかにデザイン性に優れた製品を設計するか」という点では、これまでより高度な能力が求められるのではないでしょうか。

 

 

ビッグデータの管理が重要に

 

製造業におけるARとCADの活用が進展すると、作業中にヘッドアップディスプレイに表示される情報や、設計段階のプロトタイプを原寸大で試用したときの情など、より多くのデータが使われるようになります。

また、IoTで工場の設備の作動状況や老朽化、異常値などをセンサーで検出して人工知能で事故を予測するのであれば、ビッグデータとして情報量が増えます。インダストリー4.0と呼ばれる製造業の新たなビジョンは、工場のあらゆるものがネットワークで接続されることを構想しているため、データのトラフィックも増大します。

CADやARなど先端技術から生まれた膨大なデータをPDMで効率的に管理し、「ドキュメントやデータが残っていないから分からない」という状況を避けるようにしなければなりません。

 
 

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