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GoogleがAndroid公式アプリストアで援助交際アプリを禁止!出会い系の歴史を振り返る

「援助交際」と聞くと、どんなイメージがあるでしょうか?
愛人バンク・援助交際・パパ活と、軽やかに呼び名を変えていますが本質的な違いはなく、場合によっては犯罪にあたる行為です。
Googleは2021年9月より「公式Androidアプリストアでの援助交際アプリの提供を禁止する」と発表しました。(*1)
今回は、Googleが禁止した援助交際アプリについて、その成り立ちや現状を詳しく見ていきましょう。

この記事を読むと以下の3つのことがわかります

①Googleが公式Androidアプリストアで禁止する援助交際アプリとはどんなものかわかる
②援助交際の歴史と現状がわかる
③援助交際が不法行為になる場合・ならない場合の違いがわかる

GoogleがAndroidアプリストアでの援助交際アプリ提供を禁止

Googleが7月28日に発表したポリシーの更新(企業指針更新のお知らせ)では、ユーザーにとって有害な、または不適切なコンテンツを禁止すると発表がありました。中でも、特に性的なコンテンツについての規制が更新されています。
その一部に「援助交際(シュガーデート)」と記載があり、「報酬を見返りとする性行為を助長するアプリ」など、不適切とされるコンテンツの内容が詳細に示されています。(*2)

ユーザーの安全性を高めて公式Androidアプリストアの利用を促進していくことは、Googleにとって大きな利益になると考えられるでしょう。
このことから、ユーザーを危険にさらす可能性のある援助交際アプリを禁止し、より安全なアプリを提供できるよう改善を進めているのではないでしょうか。

GoogleがAndroidアプリストアで禁止する援助交際アプリとは

援助交際アプリとはどんなアプリなのか、その始まりともいえる出会い系サイトの成り立ちから見ていきましょう。

インターネットとともに生まれた出会い系サイト

出会い系サイトの始まりは1995年、インターネットが普及し始めた時代まで遡ります。アメリカで生まれたマッチングサイトが世界に展開し、日本で本格化したのは90年代後半から。携帯電話でインターネットが利用できる「iモード」の普及とともに、広く知られていきました。(*3)

現在では出会い系サイトからマッチングアプリへと変化し、趣味友達からLGBTなどの結婚相手まで、ユーザーの要望によりフィットした多種多様なサービスが展開されています。

どんなアプリが禁止になるの?

「出会い系サイト」というとネガティブなイメージを持つ人もいるかもしれませんが、利用方法によってはwin-winの関係が築ける可能性もゼロではありません。
Googleが不適切と判断し、禁止するのは「援助交際もしくは性的な取り決めを含むと解釈されるおそれのあるアプリ」です。

現在、出会い系サイト規制法で示されているように、児童が出会い系アプリを利用するのは禁じられています。(*4)利用するには年齢認証を求められるため、原則として児童をターゲットとした援助交際アプリは存在していないはずです。
そのため、今回Googleが禁止の対象とするのは、大人同士の援助交際アプリと考えられます。

ところで、「援助交際って、女子高生とおじさんがするものじゃないの?」と思った人もいるのではないでしょうか。そのイメージはどこからくるものか、少し詳しく見てみましょう。

援助交際の歴史

援助交際の始まりは、明治時代まで遡ります。現代のパパ活に至るまでの歴史を見ていきましょう。

1980年代に起こった素人の流入

江戸時代に栄えた遊郭は、戦後、売春防止法によって廃止されます。(*5)そこで職を失った女性たちの一部は、「交際クラブ」と名を変えた組織でしたたかに生き続けました。
時代は進み、1980年の愛人バンクブームにより素人女性がもてはやされると、プロと素人の垣根が崩れ始めます。

働く女性が増え始め、「もっとお金がほしい」女性と、「若い女性とかかわりたい」男性の需要と供給がマッチした結果、今までにない売春の一般化が進んでしまいました。
愛人バンクは短期間で閉鎖に追い込まれますが、一度崩れたプロと素人の境目はますます曖昧になっていきます。

援助交際が社会問題となった1990年代

80年代の愛人バンクやテレクラからの流れを継いで、女子高生による援助交際が社会問題となったのが90年代です。(*6)
一人一台ポケベルを持ち、固定電話に縛られずにどこでも連絡がつくことが、女子高生たちの自由な行動を後押ししていきました。

当時の援助交際は、クラス内カースト上位の女子による流行最先端の「カッコイイ」売春。
自分の体で稼いだお金でブランド品を身に着けることがステータスという、思春期特有の承認欲求を満たすための行為として取り入れられていた傾向があります。

2000年代には「世界の中心で、愛をさけぶ」に代表される純愛ブームが起こり、援助交際のイメージがダウン。女子高生たちのステータスは、ブランド品から「恋人がいること」に変化していきます。
さらに、児童買春禁止法の制定により、援助交際は犯罪であるという認識が広まっていきました。

SNSで気軽に出会う2020年代

2010年代に差し掛かると、若い世代の人付き合いの仕方に変化が訪れます。少人数での深く狭い付き合いから、浅く広い付き合いに。SNSでの炎上や「ビッチ」呼ばわりを恐れて、友達同士でも性体験の話題はタブー視され、性的な関心が低下していきます。(*7)

2010年半ばには「貧困女子」という言葉が誕生し、女性や子供の貧困が目立ち始め、売春は若い女性の遊び半分な行為から生活を支える深刻なものへとシフト。さらに言葉も「パパ活」と言い換えネガティブなイメージを薄め、年代も10~40代へとより幅広く拡大していきます。

2020年前後からは、マッチングアプリの登場で出会うことがより手軽になりました。ママ活という言葉も生まれ、今まで買う側だった男性が初めて売る側になったことは印象的です。
一方で、生活に不安の少ないキャリア女性がパパ活にハマる実態もあり、さまざまな売春の形が生まれています。(*8)

パパ活やママ活は、性的なやりとりを含まず、食事やデートに価値を求める特殊なケースもあるようです。性に関心の薄い現代の空気から、援助交際の目的は、性的な充足から精神的な充足へと変わりつつあるのではないでしょうか。

援助交際が不法行為になる場合・ならない場合

パパ活やママ活が食事やデートのみだったとしても、不法行為(民法に違反する行為)とされるのでしょうか?
不法行為となるラインはどこにあるのか、援助交際の相手を想定して解説していきます。

相手が未成年の場合

援助交際の相手が未成年の場合、性的な行為を行うと、児童買春禁止法違反や児童福祉法違反で処罰の対象となります。(*9)
もし性的な行為を行わず、食事やデートのみだったとしても、保護者からの同意を得ていない場合は誘拐罪に該当する場合があります。
どちらにしても、援助交際の相手が未成年の場合は不法行為となります。

どちらかが既婚者の場合

援助交際にかかわったどちらかが既婚者の場合、民法上の不法行為(不貞行為)となります。(*10)すぐに逮捕されるというものではありませんが、離婚協議になった場合、慰謝料請求の決め手となることも多くあります。
食事やデートが不貞行為に含まれるかどうかは個々のケースによりますが、配偶者に耐えがたい精神的苦痛を与えたとして、損害賠償責任を負う可能性も少なくありません。

成人が行う場合、売春という行為そのものに法律違反となる規定はありませんが、双方にとってリスクの高いものであるということを覚えておきましょう。

援助交際アプリの禁止で出会い系はどう変わる?

2003年から2019年にかけて、児童買春事犯の検挙数はじわじわと下降を続けています。(*11)これは、2003年に制定された「出会い系サイト規制法」で未成年の利用を禁止した結果、ある一定の効果が出ていると考えられるでしょう。

しかし、出会い系ではないコミュニティサイトがきっかけとなった未成年者の年間被害者数は、2008年から2015年で約2倍まで増加しています。(*12)出会い系サイト規制法が制定されたあとも年々増え続けていることから、援助交際アプリの禁止で未成年者をどれくらい守れるかは未知数といえるでしょう。

警察庁がツイッターのリプライによるパパ活への注意喚起を始めたことも話題になりましたが、ツイッターやインスタグラムには年齢制限がないため、未成年者のパパ活・ママ活に利用されているという実態があります。
援助交際を助長するアプリの利用を禁止するとともに、貧困の解消や一人ひとりの精神的な充足など、援助交際をしなくてもいい社会の実現が望まれているのではないでしょうか。

まとめ

人と出会えるツールそのものが悪いわけではありませんが、援助交際やパパ活を可能にするツールとなることは、その行為によって傷つく人を増やしてしまうことにつながります。
援助交際アプリの禁止により、誰もが安全に利用できる公式Androidアプリストアに生まれ変わることを期待しましょう。

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*1 Google「Google Play ポリシーの最新情報」
https://support.google.com/googleplay/android-developer/answer/9934569?hl=ja
*2 Google「デベロッパー プログラム ポリシー: 2021 年 7 月 28 日のお知らせ」
https://support.google.com/googleplay/android-developer/answer/10808976
*3 リアルサウンド テック「マッチングアプリと“出会い”の歴史ーー「Dine」上條景介氏に聞く」
https://realsound.jp/tech/2018/03/post-165481.html
*4 警察庁「出会い系サイト規制法」
https://www.npa.go.jp/policy_area/no_cp/deai/regulatory.html
*5 朝日新聞社 telling,「結婚制度がある限り「パパ活」はなくならない」
https://telling.asahi.com/article/11876515
*6 NewsPicks「「1995年」とはなんだったのか? 3つのキーワードが示すもの」
https://newspicks.com/news/926772/body/
*7 NEWSポストセブン「「青少年性行動調査」40年の歴史から見える若者の性の変遷」
https://www.news-postseven.com/archives/20180817_739246.html/2
*8 BUSINESS INSIDER JAPAN「手取り30万円以上のキャリア女子が“パパ活”にハマる理由「私にとっての精神安定剤」」
https://www.businessinsider.jp/post-201425
*9 アトム法律事務所弁護士法人グループ「パパ活(ママ活)は犯罪?犯罪になるケースと犯罪にならないケースを解説」
https://xn--u9j691ga24b91k2ymuvkvu3g.jp/know/rp/ksm-22
*10 弁護士法人グレイス「パパ活は不倫?慰謝料請求される場合とされない場合」
https://fukuoka.gracelaw.jp/isharyou/column/02/
*11
内閣府「 男女共同参画白書 令和2年版   I-6-12図 児童買春及び児童ポルノ事犯の検挙件数の推移」
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r02/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-06-12.html
*12 内閣府「平成28年版 子供・若者白書(全体版)出会い系サイトやコミュニティサイトの問題(警察庁)」
https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h28honpen/s3_3.html

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