今度は大きくなるだけではない?「Apple watch 47mmモデル」の噂
2022年も9月を前にして、そろそろ新型Apple Watchの噂が出始めました。
2016年から規則正しく、毎年9月に新型Apple Watchが発売されています(※)。
今年はもし予定通りにリリースされるのであれば、Series8ということになりそうです。今回は、47mmサイズが登場するのでは?と言う予想が有力です。ただ、どうやらただ大きくなるだけではなさそうなんです。
今回の記事では、新型Apple Watchの話題についてご紹介して行きましょう。
※2021年だけ例外的に10月発売
この記事でわかること
・Apple Watch Series8に関する噂について
・これまでのApple Watchについて
・ターゲット市場について
Apple Watch Series8に関する噂
ディスプレイ専門アナリストであるRoss Young氏は、2021年10月時点で「Apple Watch S8は3サイズ登場する」との予測を発表していました。新しいサイズは、対角線方向が「1.99インチ(約50.5mm)」であると予測しています。
この噂については、Haitong Intl Tech Researchのアナリストである「Jeff Pu氏」も、「ハイエンド」のものが対角線方向が2インチになると予測しています。おそらく1.99インチを丸めたものであると捉えると、二人の予測は一致していることになります。
また供給は中国の「Luxshare社」が、唯一のサプライヤーであるとも伝えています。
Apple Watchのサイズ表記は、代々長方形の縦方向の長さで表されます。例えばS7には41mmモデルと45mmモデルの2サイズがありますが、どちらもケースの縦方向の長さです。
テレビのように、対角線の長さで表しているのではないことに注意が必要です。
米AppleInsiderは、この流儀に従いS8のサイズを計算すると「47mm」になると試算しています。Apple関係のリーク情報を多く発表しているShrimpApplePro氏は、「フラットな前面ガラスディスプレイ」を開発中であるとも予想しました。
同じくリーカーであるJon Prosser氏は、S7が「フラットモデル」ではないかという予測を、昨年はずしています。実はこれがS8だったのでは?と再び主張しているようです。*注1
現在のところ、S8に関する噂の中心は全てケースサイズに関するものとなっています。
これまでのApple Watchのケースサイズは、
・初代〜S3 38mm・42mm
・S4〜S6(SE) 40mm・44mm
・S7 41mm・45mm
となっており、わずかずつですが大きくなっています。
S7が発表された際には、ケースの縁の部分を40%削減することで、S3よりも50%以上も広いスクリーン領域を確保したと発表されていました。ケースサイズ自体はわずか1mm程度の変更ですが、無駄な部分を削ることで表示面を拡大したことになります。*注2
米国特許商標庁(USPTO)が公開した情報によると、Appleは優れた水分検出機構を開発しているようです。この機構を利用することによって、現在50mであるApple Watchの防水性能を向上させることが可能です。
50m防水であれば一般的なダイビングでも大丈夫、という印象があるかも知れません。しかし、実は厳密には50m防水だけでは不十分です。
水中の場合、10m潜るごとに1気圧ずつ増加していきます。40m潜ると水圧が4気圧であり、これに大気圧を加えて5気圧という計算となります。
では、50m防水や5気圧防水という表記がある時計であれば40mまでならダイビングできるでしょうか?答えは「やめた方が無難」となるでしょう。
50m防水(5気圧防水)までの時計は、通常「日常生活用強化防水」と位置付けられ、日常的な水仕事ぐらいであれば大丈夫であるという程度のレベルです。つけたままシャワーを浴びたり、洗い物をしたり、雨の中を歩いたりするぐらいは大丈夫でしょう。しかし、ダイビングなどのハードな使用は想定されていません。
あくまで、「静止状態であれば5気圧程度の水圧に耐えられる」というだけの性能であり、水中で動き回ったり操作したりすることを想定していません。これは10気圧防水(100m防水)でも同様で、一般的な防水機能付きの腕時計と「ダイビング用」と明記してあるものとは、そもそも性能が違うと思った方が良いでしょう。
そのため、Apple Watch S7が「50m防水」とされていても、ダイビング用に使うのは不適切です。AppleがウォータースポーツでもApple Watchをアピールしたいのであれば、防水機能の強化は必要不可欠です。
防水機能強化に関する噂は、こうしてみるとかなり信憑性が高いように思えます。*注3
これまでのApple Watchのまとめ
過去の歴代Apple Watchについて、素材・カラバリ・ケースサイズと価格をまとめてみました。
シリーズ | 発売(日本) | 素材 | カラバリ | ケースサイズ・価格 |
S7 | 2021年10月 | アルミニウム | 5色 | 41mm 48,800円、45mm 52,800円 |
ステンレス | 3色 | 41mm 82,800円、45mm 88,800円 | ||
チタニウム | 2色 | 41mm 94,800円、45mm 100,800円 | ||
SE | 2020年9月 | アルミニウム | 3色 | 40mm 29,800円、44mm 32,800円 |
S6 | 2020年9月 | アルミニウム | 5色 | 40mm 42,800円、44mm 45,800円 |
ステンレス | 3色 | 40mm 72,800円、44mm 77,800円 | ||
チタニウム | 2色 | 40mm 82,800円、44mm 87,800円 | ||
S5 | 2019年9月 | アルミニウム | 3色 | 40mm 42,800円、44mm 45,800円 |
ステンレス | 3色 | 40mm 72,800円、44mm 77,800円 | ||
チタニウム | 2色 | 40mm 82,800円、44mm 87,800円 | ||
セラミック | 1色 | 40mm 133,800円、44mm 138,800円 | ||
S4 | 2018年9月 | アルミニウム | 3色 | 40mm 45,800円、44mm 48,800円 |
ステンレス | 3色 | 40mm 74,800円、44mm 79,800円 | ||
S3 | 2017年9月 | アルミニウム | 3色 | 38mm 36,800円、42mm 39,800円 |
ステンレス | 2色 | 38mm 64,800円、42mm 69,800円 | ||
S2 | 2016年9月 | アルミニウム | 4色 | 38mm 37,800円、42mm 40,800円 |
ステンレス | 2色 | 38mm 55,800円、42mm 60,800円 | ||
S1 | 2016年9月 | アルミニウム | 4色 | 38mm 27,800円、42mm 30,800円 |
初代 | 2015年4月 | ステンレス | 2色 | 38mm 66,800円、42mm 71,800円 |
それぞれの世代は「素材」と「ケースサイズ」で明確に分かれています。セルラーモデルかどうかという違いもありますが、ここでは一旦脇に置いておきましょう。
アルミニウムがエントリーモデルであり、ステンレス・チタン・セラミックとグレードがアップします。
ケースサイズはこれまで一貫して2サイズを展開。もしS8で3サイズ展開となれば、Apple Watch史上初となります。
アルミニウム素材のモデルで、価格帯がおおよそ4万円前後。ケースサイズが大きいもので5万円前後というイメージです。2020年登場のSEが「廉価版」という位置付けであり、3万円前後でApple Watchが手に入るようになりました。
私の周りにも、SEからApple Watchデビューという友人が何人かいます。
S5ではアルミニウム素材とセラミック素材とで、約9万円もの価格差があります。そして驚くことに、この2つのモデルの間に性能差はほとんどありません。
もちろん直接肌に触れるものですから、素材によって装着感は全く違うものではあります。しかしApple Watchはあくまで電子機器であり、ガジェットというカテゴリーの製品であることを考えると、それだけで9万円の差が生じるのはかなり衝撃的です。
さてS8についてもう一つ、「価格」に関する噂が流れていますので、最後はその話題に注目してみましょう。
ターゲットは「ラグジュアリー・スポーツウォッチ」市場
BloombergのMark Gurman氏は、S8の販売価格帯は900ドル〜999ドルと予測しています。Mark Gurman氏は、Appleに関する話題にはよく登場し、これまでもかなり精度の高い情報を記事にしています。彼が言うのであれば、信憑性は高いものと考えて良いでしょう。
約1,000ドルということは、日本円だと14万円弱(2022年7月現在)になります。
どーしたの?全モデルセラミックになっちゃうの?という感じの価格ではありますが、どうやら最上位モデルに限った話のようです。
YouTubeチャンネル「The MacRumors Show」の中で、Ross Young氏が語ったところによると、
・S8は3タイプがラインナップ予定
・そのうち「エクストリームスポーツ向け」の大型・頑丈なモデルが「Pro」ブランドとして登場
・「Pro」は対角2インチのモデル(47mmモデル)
・「Pro」は少量生産であり、2022年第三四半期で100万台の出荷予定
(45mmモデルは400万台)
という内容になっています。
どうやら、新サイズの47mmはエントリーモデルではなく、最上位モデルで採用される特別なものになりそうです。しかし、14万円と言うとiPhone13 Proが買えそうな値段です。
以前セラミック素材が発売され、その後のモデルからはなくなった経緯を考えると、今回も同じような事にならないか、ちょっと心配になってしまいます。
また、「エクストリーム・スポーツ向け」といえば、すでにG-SHOCKが一定の市場を形成しています。G-SHOCKを調べてみると、MRGシリーズやMTGシリーズという高級モデルがちょうど同じぐらいの価格帯で発売されています。
MTG-B3000シリーズ(カーボン・ステンレススチール) 121,000円〜137,500円
MTG-B2000シリーズ(カーボン・ステンレススチール) 110,000円〜125,000円
上記の機種が、S8のエクストリーム・スポーツモデルと同程度の製品です。
MRGシリーズにはもっと高額の40万円前後のモデルもラインナップされています。どうやらAppleが狙っているのは、このような市場ではないかという予測です。
単にスポーツモデルというだけでなく、ややラグジュアリーなモデルであり、すでに一定のニーズがあるようなところをターゲットにしているようです。
このカテゴリーは、さらに高級なところで言うと、ブライトリングやオメガのシーマスターのようなハイクラスモデルもあり、長年のファンを持っています。
確かに、G-SHOCK・オメガ・ブライトリングのような有名ブランドからの「スマートウォッチ」はあまり耳にしません。言ってみれば同じ「時計」なのに、棲み分けができている状況です。
もしこのようなブランドウォッチの愛好家をターゲットとするならば、14万円は決して高い金額ではないでしょう。
しかし実際のところ、Apple Watchのようなスマートウォッチと、これらの高級ブランド時計とは決定的に異なる部分が一つあります。それはスマートウォッチは「時期がきたら使えなくなるガジェット」であるという点です。OSのアップデートが終了した時点で、そのスマートウォッチは現役引退となる宿命です。
一方の歴史あるブランドウォッチは、親から子へと世代を超えて使われるような「名品」であることが、その価値の理由となっています。何十年も前のモデルがプレミア価格となり、何倍にも値上がりすることはよくあります。
コレクターではない一般の方であれば一本持っていれば十分で、一生ものとして大切に使うことができます。
それに比べ、Apple Watchなどのスマートウォッチは、どこかで必ず買い替えが必要となり、「使い捨て」されるのが前提のガジェットです。
そのような機器に、14万円を払えるかどうかは悩ましいところではないでしょうか。しかしAppleの読みでは、S8の「Pro」を購入するようなユーザーが、世界に100万人は見込めるということになります。*注4
まとめ
そろそろスマートウォッチも機能的な面では十分成熟し、それほどの差別化をすることが難しくなってきました。まだまだ人気のApple Watchではありますが、価格競争に陥らないためには何らかの対策が必要となります。
どうやら、「ラグジュアリー・スポーツウォッチ」ユーザーをターゲットと定めたようなS8の噂ですが、皆さんはどう思われるでしょうか?
今年秋の正式発表でこの噂が当たっているのかどうか、楽しみに待つ事にしましょう。
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■参考文献
注1
Yahoo!ニュース(via PHILE WEB) 「Apple Watch Series 8、さらに大きな47mmモデルが登場か。専門家が予測」
https://news.yahoo.co.jp/articles/3a6d3551a12151d24e6780dc31ed188d46aa68ad
注2
Apple 「Apple Watch Series7」
https://www.apple.com/jp/apple-watch-series-7/
注3
KLON 「10気圧防水とは?腕時計の気圧防水の表記や性能についてご紹介」
https://klonklonklon.com/apps/note/column/water-watch/
注4
GetNavi Web 「「Apple Watch Series 8」の価格が14万円越え? 「あまり売れない」と著名アナリストが予測」
https://getnavi.jp/digital/763947/
RASIN WEB MAGAZINE 「高級G-SHOCK4選。大人のためのモデルまとめてみました」
https://www.rasin.co.jp/blog/others/g-shock_highend/