1. TOP
  2. ブログ
  3. AutoCADの永久ライセンスはもう買えない? 最新の購入方法を解説

AutoCADの永久ライセンスはもう買えない? 最新の購入方法を解説

はじめに

CADソフトの代表格ともいえるAutoCADは、ユーザーライセンスの提供形態を大きく変えてきました。特に永久ライセンス廃止は、多くの設計担当者や企業の意思決定者にとって衝撃的だったかもしれません。なぜなら、従来から「一度購入すれば更新なしで使い続けられるライセンス」を求めていたユーザーが多く、コスト管理やバージョン管理の観点からもメリットが大きかったからです。

本記事では、中小企業の設計部門マネージャーをはじめとする、AutoCADのライセンス形態や購入方法を見直したい方に向けて、最新の状況や注意点を整理して解説します。

<参考>

・Autodesk「AutoCAD(オートキャド) | 価格・製品について」

https://www.autodesk.com/jp/products/autocad/overview

AutoCADの永久ライセンスとは?

AutoCADの永久ライセンスとは、購入すればずっと同じバージョンを使い続けられる権利であり、多くのユーザーにとってコスト的な安定感をもたらしていました。昔はAutoCAD ソフトウェアを購入すれば、追加のライセンス更新費用を払わずとも基本的な機能を長期にわたって活用できたのです。

この仕組みは、CAD ソフトを扱う設計部門にとって計画的な支出管理が可能という利点がありました。しかしながら、2016年以降の「AutoCAD 販売終了」に伴い、Autodeskではサブスクリプション制への転換を加速させ、定期的な更新料を支払うモデルへシフトしています。

現在ではAutoCAD 2025をはじめとする最新バージョンは原則として「AutoCAD サブスクリプション」か、あるいは使用状況に応じたポイント制課金の「AutoCAD Flex」を利用しなければ導入できません。

これらのライセンス形態は、CADの最新バージョンを継続的に利用するために効果的ですが、一方で旧来のCADの永久ライセンスを所有している人にとっては制度上の違いに戸惑うケースもあるでしょう。

また、かつての永久ライセンスでは、バージョンアップのタイミングを個々の企業が自由に決定できるメリットがありました。しかし、サブスクリプションモデルに移行すると、機能アップデートは継続的かつ強制的に行われる側面があります。利用者は常に最新機能を使える一方で、使い慣れた旧バージョンにこだわりたいユーザーには回避が難しいという点も考慮すべきでしょう。

永久ライセンスの基本的な仕組み

永久ライセンスの基本的な仕組みとは、一度ライセンスを購入すると、そのバージョンのCADのソフトウェア購入に追加コストをかけずに利用し続けられるというものでした。企業が導入予算を立てやすい上に、後から突然の月額または年額料金の支払いが発生しない安定感が魅力です。

しかも、古いバージョンでも基本的な機能やUIが大きく変わらないため、熟練エンジニアが自社内で研修コストを抑えて長期的に活用することができたのです。ただし、保守サポートを継続的に受ける場合は、メーカーとの契約更新やメンテナンス費用が必要になるケースもありました。とはいえ、更新をしなくてもソフトウェアが使えなくなるわけではない点が、多くの企業にとって魅力的でした。

さらに、企業背景によっては業務用PCの刷新サイクルが長かったり、他のCADソフトとの互換性が大きく変わらない範囲であれば、新しいバージョンに乗り換える必要はない、と判断することもできました。そのため、永久ライセンスさえ持っていれば、必要最小限の機能はずっと使えると考えるユーザーも珍しくなかったのです。

こうした仕組みはCADのライセンスコストの事前確定に寄与し、経理管理上のメリットがある一方で、メーカー側から見ると常に最新バージョンやCADのクラウド活用のサービスを展開するうえでの収益モデルを確立しにくい課題がありました。

つまり、永久ライセンスを残すことはメーカー側の利益確保の面で不利があったともいえます。ですから、後述するようにAutoCADのサブスクリプションやAutoCAD Flexといったモデルへのスムーズな移行は、必然の流れだったのかもしれません。

かつて販売されていたバージョン(AutoCAD 2016以前)

AutoCAD 2016より以前に販売されていたバージョンは、まさに永久ライセンス販売の最終期と言われる時代でした。これらのバージョンを所有していた企業やユーザーは、以後のライセンス形態が変化していった際に、買い替えやサポート延長の是非を再検討する必要に迫られました。

この時期のAutoCADには、多くの設計機能がすでに完成形に近いレベルで搭載されており、一度ライセンスを購入すれば機能面で著しく不便に感じることは少なかったのです。そのため、企業によっては「ハードウェア要件を満たしていれば、古いバージョンでも十分に生産的だ」と判断するケースもありました。

ただし、業界全体の流れとしては、3D機能の拡張やCADのソフトウェア市場のニーズに合わせた新機能が次々とリリースされることになり、ユーザーが最新機能を使いこなそうとすると、過去のバージョンでは対応できない場面が増えてきました。

さらに、Autodeskが公式にサポートを終了すると、OSの対応やセキュリティ面の不安もついて回ります。こうした状況で、永久ライセンスのユーザーたちはCADのライセンス更新をどうするかの判断を迫られたのです。もしも社内の設計フローやクライアントとのデータ共有でCADの最新バージョンとの互換性が必要になるなら、サブスクリプションモデルへの移行を検討せざるを得ません。逆に、比較的クローズドな環境で業務が完結する企業や、バージョン固定で十分に仕事が回るという企業にとっては、すぐには移行しなくても問題ない場面もありました。

いずれにしても、永久ライセンスを持つユーザーが意識すべきは、いずれは古いバージョンがサポート対象外となり、クラウド機能や新しいOSへの対応、あるいは利便性の高い機能拡張が使えなくなる可能性が高まる点です。長い目で見れば、企業の設計部門としてはAutoCAD ライセンス移行を検討するタイミングを見極める必要がありました。

現在のライセンス形態との違い

現在主流のライセンス形態との大きな違いは、やはり定期的な費用が生じるかどうかです。永久ライセンスの場合は購入時にまとまったコストを支払うだけで済み、あとは必要に応じたメンテナンス費用を払うかどうかを選択できました。しかし「AutoCAD サブスクリプション」では、月額や年額で継続的に支払いが発生し、契約を切らせばソフトが使えなくなってしまいます。

その反面、サブスクリプションモデルには最新の「AutoCAD 2025」や追加ツールが利用可能になるメリットがあります。サービスとして提供される以上、常に改良が行われ、メーカーが推奨するクラウドサービス「AutoCAD クラウド」を活用したデータ連携や、最新CPUやOSへの対応も含めて、定期的にアップデートされます。CADのクラウド活用によって遠隔地との共同作業を効率化したり、バージョン管理を集約できたりと、企業の設計フローに大きな進歩をもたらすケースも少なくありません。

また、一部のユーザーや企業向けには「AutoCAD Flex」という利用ベースの課金体系も用意されています。こちらは必要なときだけライセンスを消費できるという利点を持ち、例えば短期プロジェクトや新規ユーザーが増えるタイミングなどに効果的です。永久ライセンスではこうした柔軟さはなかったため、プロジェクトごとにライセンス数を調整したい企業にとってはサブスクリプションの方が便利な場面もあるのです。

総合的に見ると、永久ライセンスとの違いは、支払い形態とバージョンのアップデート頻度、そして機能追加のサポート体制に集約されるといえます。古いバージョンで機能が固定されるリスクをとるか、常に最新バージョンを利用する代わりに定期的コストを享受するか、企業はここを見極める必要があるわけです。

AutoCADの永久ライセンスは今どうなっているのか?

実際のところ、AutoCADの永久ライセンスは、もう買えないのかという点については、公式に販売が終了している以上、新規の購入は不可能と考えざるを得ません。一部の中古市場や正規ではない経路でライセンス譲渡の話がある場合も見受けられますが、これはAutodeskの利用規約に反する可能性が高いですし、公式サポートが受けられないリスクを伴います。

では、すでに永久ライセンスを持っているユーザーはどうすればよいのでしょうか。Autodeskは、2021年5月を区切りとして保守契約の更新(メンテナンスプラン)の提供を終了しました。メンテナンスプランを延長できないユーザーにとっては、OSのアップデートなどに伴ってソフト用途に不具合が生じた場合、自力での対応を迫られる恐れがあります。

しかし、現行のAutoCADのライセンス形態ではサブスクリプション契約またはAutoCAD Flex制度こそが主流です。企業としては、将来的にどう運用していくかを早めに検討する必要があります。いずれハードウェアやOSがさらに変化していけば、旧バージョンの動作保証がなくなり、業務上のリスクが高まるからです。

現在の公式ライセンス形態(サブスクリプション、Flex)

現在、Autodeskが提供するAutoCAD ライセンス形態は主に二つに分けられます。一つは従来からあるAutoCAD サブスクリプションです。これは1年間や3年間など契約期間を決めてライセンスを利用し、その期間内は最新のAutoCADのソフトウェアを自由にダウンロード・インストールすることができます。また、契約中であれば常に新しいアップデートが提供され、サポートを受けながら使い続けられるのがポイントです。

もう一つがAutoCAD Flexで、これは一定のポイント制や利用ベースで課金が行われるため、必要な期間や使用頻度に合わせて効率よくソフトを使いたい現場に向いています。例えば、数ヶ月や短期プロジェクトなどでAutoCADが必要になるケース、もしくは社内で人数が変動して一時的にライセンスを増やしたい場合などに大きな効果を発揮します。サブスクリプションよりも柔軟性が高い反面、頻繁に使うのであれば結局サブスクリプションを契約した方が安くすむ可能性もあるなど、使い方によってコストパフォーマンスを検討する必要があります。

いずれのライセンス形態でもCADのソフトウェア購入の概念は、一度買えば一生使えるというわけではなく、あくまで定期契約という捉え方になります。これが永久ライセンスとの最大の違いでもあり、生産管理の立場からすればキャッシュフロー計画に影響が出る要素として認識しておく必要があります。ただし、常に最新バージョンを維持し、クラウド機能を活用できるサブスクリプションやFlex方式は、将来的なアップデートにも強い形態だともいえるでしょう。

総合的には、毎日AutoCADを使うメインユーザーはサブスクリプションを、稼働率が低めのユーザーやプロジェクト単位の利用が多い企業はFlexを検討する、というのが一般的な選択肢です。

AutoCADを使うための最新の購入方法

AutoCAD 2025など、最新バージョンのAutoCADを使うために必要な購入方法は、まずサブスクリプション契約かAutoCAD Flexのいずれかを選択することから始まります。これらのライセンス形態はCADのサブスクリプションの基本形でもあり、定期的に支払うことで常に最新機能を使い続けられる点が特徴です。導入にあたっては、自社や個人の予算、使用頻度、利用人数などを考慮してプランを選ぶ必要があります。下記の小見出しでは、これらの購入方法やコストを抑える具体的な手段を解説します。

公式の購入方法(サブスクリプション契約、Flex)

まずサブスクリプション契約ですが、これは年間契約や複数年契約(通常1年、3年など)の形を取り、その期間は自由にAutoCADをインストール・使用し続けられます。契約期間中は常に最新バージョンへ自動更新されるため、CADのソフトウェア市場で進む新技術にも対応しやすいのがメリットです。

サブスクリプション型の価格表

プラン1ヶ月契約1年契約3年契約
AutoCAD8,800円71,500円214,500円

価格参考:Autodesk「Autodesk AutoCAD:自動化機能ですばやく作図できる業界最高クラスの 2D/3D CAD ソフトウェア」 
https://www.autodesk.com/jp/products/autocad/overview
※記事作成時点での価格です。(2025/3/3)

次にAutoCAD Flexは、ポイント制や利用日数に応じた課金体系を取り入れており、たとえば一時的にリソースを増強したい企業や、特定の部署のみAutoCADを短期利用したいケースに有効です。プロジェクトごとに必要なライセンス数を調整できるため、無駄なコストを抑えられるのが魅力といえます。ただし、頻繁に使うユーザーが多い場合は、定額のサブスクリプション契約の方が総支出を抑えられる場合もあるため、使用状況に合わせた最適プランを選ぶことが重要です。

トークン数使用可能日数価格(税別)
100トークン14日/年42,900円
500トークン71日/年214,500円

価格参考:Autodesk「Autodesk Flex」
https://www.autodesk.com/jp/buying/flex
※記事作成時点での価格です。(2025/3/3)

購入のプロセスとしては、オートデスク公式サイトから申し込むのが安全かつ確実です。非公式な販売チャネルを利用するとライセンスの正当性が保証されないリスクがあるため、結果的にサポートが受けられない可能性も出てきます。必ず正規の手続きを踏むことで、メーカーの公式サポートやアップデートを享受できるようにしましょう。

Autodesk Flexについてより詳しく知りたい方は、以下の弊社記事も参考にしてください。

コストを抑える方法(キャンペーン、長期契約割引)

AutoCADの導入コストを抑えるには、Autodeskが提供する各種キャンペーンを活用するのが最も直接的な手段です。例えば、新規ユーザー向けに数ヶ月の無料期間が付与されるキャンペーンなど、時期によってさまざまな特典が用意されています。こうした情報は公式サイトや認定パートナーを通じてアナウンスされるため、こまめにチェックすると良いでしょう。

また、長期契約割引も見逃せない要素です。1年契約よりも3年契約のほうが総額ベースでお得になるケースが多いため、AutoCADを継続的に利用することが前提なら、長期契約でコストを削減するのも賢明です。

他にも、時期によっては大幅な価格改定やアップグレードプランの見直しが行われる場合があります。これに合わせてAutoCADのサブスクリプション契約を更新すると、従来の料金よりも有利な条件で利用できる可能性があるため、更新タイミングを見計らって交渉してみる価値があります。そして、Flexの場合でも特定のキャンペーン対象になることがあるので、こうした柔軟な課金体系を上手く組み合わせることで、プロジェクトごとの利用コストを効率的に管理できるでしょう。

さらに、既存の設計業務フローでどれだけAutoCADを使っているのか、実際の現場でどの程度のライセンスが必要なのかを定期的に見直すことも大切です。本当に必要な分だけライセンスを確保すれば、不要な支出が減り、長期的な運用コストを下げることができます。こうした地道なチェックや分析が、トータルコストの削減に直結するのです。

まとめ

AutoCADの永久ライセンスは、かつて多くの企業や設計担当者にとってコスト管理の面で大きなメリットを持つ選択肢でした。しかし、Autodeskは2016年以降、永久ライセンスの販売を終了し、現在はサブスクリプションモデルやポイント制課金のAutoCAD Flexが主流のライセンス形態となっています。本記事では、永久ライセンスの仕組みや販売終了の背景、現在のライセンス形態との違い、そして最新の購入方法について詳しく解説しました。

永久ライセンスは、一度購入すれば同じバージョンを継続して使用できるため、予算の計画が立てやすく、突然の追加コストが発生しないという利点がありました。特に企業にとっては、社内での教育コストを抑えつつ、安定した業務運用が可能である点が魅力的でした。

しかし、技術の進化や市場の変化により、Autodeskは定期的な更新が可能なサブスクリプションモデルへ移行し、最新機能を継続的に提供する方向へシフトしました。現在、AutoCADを利用するためには、年間契約や月額契約で継続的に費用を支払うサブスクリプション、または使用頻度に応じたポイント制課金のAutoCAD Flexのいずれかを選択する必要があります。サブスクリプションモデルは常に最新の機能が利用でき、クラウド連携やセキュリティの強化が進んでいる点がメリットです。一方で、頻繁に使用しないユーザーや短期プロジェクト向けには、AutoCAD Flexの方がコスト効率が良い場合もあります。企業の利用状況に応じたライセンス形態の選択が重要となります。

企業にとって重要なのは、自社の設計業務フローに合わせて最適なライセンス形態を選ぶことです。旧バージョンの永久ライセンスを持っている場合でも、将来的なOSのアップデートやセキュリティ面での問題を考慮すると、新しいライセンス形態への移行を検討する必要があります。AutoCADの最新バージョンを使用することで、業務の効率化やデータ共有の利便性が向上するため、企業の設計部門は長期的な視点でライセンス戦略を立てることが求められます。

総括すると、AutoCADの永久ライセンスは既に新規購入ができなくなっており、現在はサブスクリプションまたはAutoCAD Flexが主流の選択肢です。どちらのライセンス形態が適しているかは、利用頻度や企業の業務スタイルに応じて慎重に判断する必要があります。また、コストを抑えるためにはキャンペーン情報をこまめにチェックし、適切な契約プランを選ぶことが重要です。AutoCADの最新ライセンス形態を理解し、自社に最適な運用方法を検討することが、今後の業務効率向上につながるでしょう。

建設・土木業界向け 5分でわかるCAD・BIM・CIMの ホワイトペーパー配布中!

CAD・BIM・CIMの
❶データ活用方法
❷主要ソフトウェア
❸カスタマイズ
❹プログラミング
についてまとめたホワイトペーパーを配布中

<参考文献>

・Autodesk「AutoCAD(オートキャド) | 価格・製品について」

https://www.autodesk.com/jp/products/autocad/overview

    ホワイトペーパーフォームバナー

    【DL可能な資料タイトル】

    • ・プログラムによる建築/土木設計のQCD(品質/コスト/期間)向上
    • ・BIM/CIMの導入から活用までの手引書
    • ・大手ゼネコンBIM活用事例と建設業界のDXについて
    • ・デジタルツイン白書
    • ・建設業/製造業におけるデジタルツインの実現性と施設管理への応用

    詳細はこちら>>>

    PAGE TOP