AutoCADの基本的な作図の手順|作図の際に意識したい点も解説
AutoCADは簡単に2D・3Dの作図ができるCADソフトウェアです。実際に作図してみようと試みたものの、どのような手順で進めればよいのかわからないという方もいるのではないでしょうか。
本記事ではAutoCADにおける基本的な作図の手順を詳しくみていきましょう。また、作図する際に意識したい点も解説します。作図で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
この記事を読むと、以下のことが分かります。
1.AutoCADにおける基本的な作図の手順
2.AutoCADで作図する際に意識したい点
AutoCADにおける基本的な作図の手順
AutoCADとはAutodesk社が販売しているCADソフトウェアの1つです。2Dおよび3Dによる製図が可能で、建築や自動車、家電など多様な業界で利用されています。実装されている機能が使いやすく、初心者でも簡単に操作できる点が魅力です。
ここでは、間取りの図面を作成する場合における、基本的な手順を解説します。基本的な手順を理解することで、多様なシーンで応用できるようになります。基本的な手順は次の通りです。
1.線
2.柱
3.壁の補助線(下書き)
4.建具
5.壁
6.設備
7.寸法・部屋名の設定
それぞれの手順を詳しくみていきましょう。
1.線
図面の基礎である線を引きます。線の太さや色、種類などは画層プロパティ管理から設定できます。線の設定ができたら作図コマンドの線分コマンドで作図を進めましょう。同じ長さの線を多く引く場合、複写コマンドを使用すると複写できるためスムーズに作図を進められます。
2.柱
長方形コマンドを使用し、柱を作図します。柱のサイズは半径200mmに設定しましょう。線と同様に柱も複写コマンドを使用することで、他の箇所に簡単にコピーできます。
3.壁の補助線(下書き)
壁の補助線で使用するコマンドはオフセットコマンドです。オフセットコマンドに壁厚の2分の1の数値を入力し、基準線の両側に補助線を配置します。オフセットコマンドでは基準線を基点とし、左右の入力した数値の位置に線を引くことが可能です。
具体例としては壁厚が200mmの場合、数値の欄に100mmと入力すると壁厚200mmの補助線を下書きできます。
4.建具
建具は画層コントロールの建具画層を使用して作成します。AutoCADにはDesign Centerが作成した建具のブロックが保存されており、ドアや窓など基本的な建具を選択可能です。(*1)表示タブの「パレット」にある「Design Center」を選択すると、さまざまな建具ブロックが表示されます。図面上に適切な建具を配置し、ブロックを調整できる点が特徴です。加えて、ブロックエディタの設定で自由に作り替えることも可能です。
また、LIXIL(2)や三協アルミ(3)などのさまざまな企業がAutoCADで使用できる図面ファイルをWebサイト上に公開しているケースもあります。ダウンロードしたファイルを使用することで、作業に費やす時間を削減できます。ただし、図面の尺度が適切かを事前に確認する必要があるため使用時には注意しましょう。
5.壁
壁の作図ではRC画層を選択します。配置している建具に上書きしないように、線分コマンドで壁の補助線上に作成していきます。柱と重複した場合や2つの壁が交差した場合など、壁の修正に使用するコマンドはトリムコマンドです。
トリムコマンドとは、オブジェクトのはみ出してしまった箇所をカットし、形を調整できるコマンドです。トリムコマンドはリボンメニューにある「修正」のパネル内から選択できます。
6.設備
設備画層に設備を配置していきましょう。建具と同様に、設備もDesign Centerを利用します。サイズはブロックエディタの画面で調整しましょう。
設備のデータはLIXILやTOTO株式会社(*4)などのWebサイトからダウンロードできます。
7.寸法・部屋名の設定
文字コマンドで寸法や部屋の名前を挿入しましょう。寸法を挿入する場合、長さ寸法記入コマンドを使用します。長さ寸法記入コマンドを選択し、寸法を挿入したい箇所をクリックします。
部屋の名前を挿入する場合、作図画面の上部にあるリボンメニューから文字のサイズや書体など細かい設定を変更可能です。
AutoCADで作図する際に意識したい点
突発的に直接パソコン上に作図をすると図面の全体像を把握しきれず失敗してしまう可能性があります。また、紙に印刷して図面を確認する場合、事前に印刷用紙のサイズに適している尺度で設定しておくと効率的に作業を進められるでしょう。
ここでは、AutoCADで作図する際に意識したい点を解説します。
直接パソコン上に作図しない
突発的に直接パソコン上に作図せず、事前に下書きを作成しておきましょう。AutoCADに慣れていない状態で作図を始めると、何度もやり直しになる可能性も否定できません。まず紙に簡易的な下書きを描いてみましょう。
下書きを確認できる環境であれば、パソコン上でもスムーズに作図を進められます。
印刷用紙サイズと尺度を設定する
AutoCADで作図した図面はパソコン上で確認する場合や紙に印刷して確認する場合があります。紙に印刷して確認する場合を想定し、用紙のサイズを把握した上で作図するとより効率的に作業を進められるでしょう。具体的には一般的な間取り図面はA3用紙、マンションや公共施設など大型建築物の図面はA0およびA1用紙に印刷するケースが多くあります。
A0とA1、A3用紙のサイズは次の通りです。
用紙の種類 | 用紙のサイズ(横×縦) |
A0用紙 | 841×1189mm |
A1用紙 | 594×841mm |
A3用紙 | 297×420mm |
印刷する場合、図面が用紙のサイズに収まるように尺度を設定します。尺度とは実物に対する図面の縮小および拡大の比率です。
AutoCADでは作図完了後に印刷のタイミングで尺度を設定します。しかし、作図の前に図面範囲設定を行い、用紙サイズの範囲を事前に設定しておくことを推奨します。A3用紙に印刷する場合の図面範囲設定の手順は次の通りです。
1.「LIMIT」コマンドを選択
2.図面範囲の設定をリセットし、左下コーナーを(0,0)に指定
3.右上コーナーを(42000,29700)に指定
図面範囲設定が適切に行われているかをチェックするために、長方形コマンドの「RECTANG」を使用します。
1.「RECTANG」コマンドを選択
2.一方のコーナーを(0,0)に指定
3.もう一方のコーナーを(42000,29700)に指定
画面上の(0,0)の位置から図面範囲設定で設定したサイズの四角形が作成されます。
まとめ
AutoCADにおける基本的な作図の手順や作図の際に意識したい点を解説しました。AutoCADは初心者でも簡単に操作できる製図ソフトウェアではあるものの、操作に慣れるまでは突発的に直接パソコンに作図してしまうと失敗してしまう可能性も否定できません。事前に作成した下書きを確認しつつ作図を進めていく点がポイントです。
また、現場での確認などで図面を印刷しなければならないケースもあります。そういった場合、作図の前に用紙サイズに応じて図面範囲設定を行うとよいでしょう。
手順通りに作図を進め、慣れてきたら自身の作成しやすい方法で作図してみるとより効率的に作業を進められます。作図の効率化を図りたい場合、ぜひAutoCADの使用を検討してみてください。
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*1
「Autodesk AutoCAD2020|シンボル」
https://help.autodesk.com/view/ACD/2020/JPN/?guid=GUID-2DA2ADA1-C8CC-4E61-9598-06580FFD3544
*2
「LIXILビジネス情報|2次元CADデータ」
*3
「三協アルミ ビジネス向け情報|CADデータダウンロード」
https://alumi.st-grp.co.jp/data/download/cad.html
*4
「TOTO BIMデータダウンロード(Revit)」
https://www.mediapress-net.com/search/TOTO2/index.do?id=TOT21081&tid=TOTO2