AutoCADでハッチングパターンを作成する方法は？追加やカスタムのポイントも紹介

AutoCADの基本機能の一種に、ハッチングが挙げられます。図面の見やすさを高めるのに活躍するハッチングですが、そのパターンを様々選べるのも便利なポイントです。

この記事では、そんなAutoCADにおけるハッチングパターンの選び方や、カスタムしたパターンの作成方法について解説します。

目次：

1. AutoCADのハッチングパターンについて
2. AutoCADでハッチングパターンを選ぶには
3. ユーザ定義でハッチングパターンを作成する方法
4. カスタムハッチングパターンを作成する方法
5. ハッチングパターンを外部から追加する方法
6. カスタムしたハッチングパターンが表示されない原因と対処法

AutoCADのハッチングパターンについて

AutoCADのハッチング機能は、図面の一部を直線で塗りつぶし、他のオブジェクトとの差別化を行う上で有効な機能です。

また、AutoCADでは複数のハッチングパターンを選び、自由に適用することができます。複数のハッチングパターンを用いることで、同時に複数のハッチングを行った場合でも、それぞれの差別化を簡単に行えるのがポイントです。

複雑な図形を扱うようになるとハッチング箇所が複数出てくることも珍しくありません。ハッチングパターンを使い分けられるようになれば、このようなケースでも図面のクオリティを担保することができるでしょう。

AutoCADでハッチングパターンを選ぶには

AutoCADでハッチングパターンを選んだ上で適用するには、[ホーム]タブから[作成]パネルを展開し、[ハッチング]を選択します。

そして[ハッチング作成]を選んだ上で、[オプション]から[ハッチング設定]ダイアログを開きましょう。ダイアログの中にある[パターン]から、自由にハッチングパターンを選ぶことができます。

また、カスタムした自前のハッチングパターンがある場合には、[パターン]の隣にあるボタンをクリックすることで、呼び出すことが可能です。

ハッチングパターンを選択したらOKを選択してダイアログを閉じ、ハッチングを実行しましょう。

適用済みのハッチングのパターンを変更する方法

すでにオブジェクトへ適用済みのハッチングも、設定によってパターンを変更することができます。ハッチングパターンを変更するには、パターンを変更したいハッチング箇所を指定し、ハッチングエディタタブを開きます。

エディタタブの中にある[パターン]パネルには複数のハッチングパターンが存在するので、矢印ボタンをクリックし、候補を確認しましょう。変更したいパターンを選択したら、すぐにオブジェクトへのハッチングにも反映されます。

パターンの変更が完了したら、エディタタブを閉じて操作は完了です。

ユーザ定義でハッチングパターンを作成する方法

上でも少し触れていますが、ハッチングパターンは自前で設定したものを適用することもできます。

ハッチングパターンを新たに作成する場合、最も簡単なのがユーザ定義によるハッチングパターンの作成です。既存のハッチングパターンを流用して、設定を変更することによりオリジナルのパターンを作成するというものです。

ユーザ定義でハッチングパターンを作成する場合、主に設定できるのは

• 色
• 角度
• ダブル
• 間隔

の4種類です。色はハッチングのカラーリングを、角度はハッチングの角度を変更できます。ダブルは、線を格子状にするかどうかの選択ができ、間隔はハッチング間の開きを調整可能です。

ハッチングコマンドを実行すると、そのパターンは[定義済みパターン][ユーザ定義][カスタム]の3つから選ぶことができます。ここではユーザ定義のハッチングパターンを選び、上記の設定を好みに合わせて変更しましょう。

上記の設定が完了した後、適用するとすぐに選択箇所のハッチングが設定内容に準じて実行されます。

これでユーザ定義によるハッチングパターンの作成は完了です。

カスタムハッチングパターンを作成する方法

カスタムハッチングパターンは、ユーザ定義よりもやや作成方法が複雑になります。主な手順は、

1. PATファイルの新規作成
2. パターン名の決定
3. パターンの説明
4. 記述子行の作成
5. 空白行の作成

です*1。

ハッチングパターンは、PAT形式と呼ばれるファイルで保存します。メモ帳機能などを使用して、新たにパターン用のファイルを作成しましょう。

続いて、作成したファイルの名前を決定します。31文字以内の名称で、名前のはじめにはアスタリスク(*)をつける必要があります。また、そのパターンがどのようなものなのかをわかりやすくするためのパターンの説明もあると良いでしょう。

その後、実際にパターンの作成を実行します。線の角度、座標、変位といった要素を含んだ記述子行を記述して、パターンを描きましょう。

最後に空白行を設ければ、ハッチングパターンの作成は完了です。

ハッチングパターンを外部から追加する方法

カスタムしたハッチングパターンは自作するだけでなく、第三者が作成したものを流用することもできます。

外部からカスタムハッチングパターンをインポートするには、PATファイルの保存場所に外部のハッチングパターンを移動することで実行できます。

ハッチングパターンを移動させた後は、ハッチング作成エディタを開き[パターンを追加]を選択します。そこから先ほど移動させたカスタムハッチングパターンを選び、[開く]を実行しましょう。

これでカスタムハッチングパターンの適用は完了です。

カスタムしたハッチングパターンが表示されない原因と対処法

カスタムしたハッチングパターンが表示されない場合、以下の原因が考えられます。

• カスタムファイルの名称が長い
• ファイルの最後に空白行が含まれていない
• システム変数に問題がある

カスタムしたハッチングパターンのみ正しく表示されない場合は、そのファイルの名称が正しく設定されていない、あるいはファイルに空白行が含まれていないケースが挙げられます。

パターンの名称はアスタリスクで始まっている必要があり、その名称は31文字以内であることが重要です。また、ファイルの最後は空白行で終わっていないと、正しくファイルが読み込まれません。

これらがクリアであるにも関わらずハッチングパターンが表示されない場合は、システム変数の問題を確認しましょう。[HPMAXLINE]はハッチングの際に表示される線の本数のキャパシティを定義するものですが、これが小さいと表示本数が少なく、パターンが正しく表示されない場合があります。

また、ハッチングの透過性を定義する[TRANSPARENCYDISPLAY]も確認が必要です。この値が0の場合、ハッチングの表示が行われません。

まとめ

この記事では、AutoCADにおけるハッチングパターンの作成方法や、作成したパターンの運用方法について解説しました。

AutoCADでは自由にハッチングパターンを変更することができ、その方法も多様です。ただ、その表示についてはAutoCAD側の設定によっては正しく表示されないこともあるので、注意が必要です。

ハッチングパターンの作成方法と、ハッチングの表示設定の両方に精通することで、正しいハッチング表示を実現しましょう。

出典：

*1 Autodesk「単純なハッチングパターンを作成するには」

https://help.autodesk.com/view/OARXMAC/2025/JPN/?guid=GUID-7E1BFC62-C5F2-48C6-84D7-71FAD4DF0BEF