建設BPOとは?建設業における導入効果と注意点を詳しく解説
国土交通省はi-Constructionの推進によって、2025年度までに建設現場の生産性を2割向上することを目指しています。
しかし、建設就労者の高齢化や若年者の不足などの課題を抱えている建設業。
そんな建設業の課題を解決に導くといわれているのが「建設BPO」です。
「建設BPOとは何?」
「建設BPOで、具体的にどのような課題を解決できる?」
このように、疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、建設BPOとは何かを詳しく解説します。
導入効果と注意点もあわせて紹介するので、最後まで読み進めることで建設BPOに関する理解が深まるでしょう。
建設業の業務効率化や経営課題の改善に取り組んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
建設BPOとは
そもそも「BPO」とは、Business Process Outsourcingの略で、企業の業務を一括して外部の専門業者に委託することをいいます。
BPOは、アウトソーシングの一種です。
「建設BPO」とは建設プロジェクトにおけるBPOを指します。
ただし、建設BPOサービスを提供している企業によって内容は異なります。
建設BPOで対応可能な業務には、以下のようなものがあります。
【建設BPOで対応可能な業務(例)】
- 工事写真の整理
- 数量計算書の作成
- 施工計画書の作成
- 議事録の作成
- その他資料作成
- 現場事務所の手配
- 3Dモデリング作成
- 建設キャリアアップシステム(CCUS)の代行登録
- 外国人技能実習生のサポート
- BIM/CIMなどの教育や研修
- ドローンの活用
- 食堂の運営
建設BPOの導入で期待できる3つの効果
建設BPOを導入すると、どのような効果があるのでしょうか。
ここでは、建設BPOの導入で期待できる3つの効果を解説します。
建設BPOの導入を検討している方は、参考にしてみてください。
建設プロジェクトの生産性向上が実現する
建設BPOを導入することで、建設プロジェクトの生産性向上が実現できると期待されています。
建設BPOを導入すると、建設現場では施工管理業務におけるコア業務に集中できるため、決められた工期でより安全に工事を進めることができるでしょう。
働き方改革関連法の改正により、2024年4月1日から建設業界においても時間外労働の上限規制が適用されました。*1
建設業界では、建設業就業者の高齢化と若年者の不足が課題となっています。
55歳以上が35.9%であるのに対して、29歳以下が11.7%。*2
引用)国土交通省「建設業を巡る現状と課題 建設業就業者の現状」P.3
今後、ベテランの技術者や技能者の引退により人材不足が進行するため、さらなる生産性向上が求められます。
現在、国土交通省を中心に建設現場の生産性向上の取り組みを進めています。
また、令和6年4月16日に国土交通省から「i-Construction 2.0」が公表されました。*3
「施工のオートメーション化」「データ連携のオートメーション化」「施工管理のオートメーション化」を3本の柱として取り組みを推進。
しかし、i-Construction-2.0に対応するためには、IT技術の習得が不可欠です。
自社で業務プロセスのすべてに対応する場合、IT技術の習得するために時間がかかりコア業務に集中できなくなる可能性があります。
建設BPOを導入すれば自社でノンコア業務を行うことがなくなり、生産性の向上が期待できるといえます。
業務品質が向上する
建設BPOを導入すると、業務品質の向上も期待できます。
未経験の業務や新しいIT技術の活用は、自社の社員だけで対応するのが難しいこともあり、業務の品質が低下するリスクもあります。
また、IT技術は日進月歩で進化しているため、最新情報を追ったり技術を習得したりするのは困難ではないでしょうか。
建設BPOを導入すると、各業務において専門知識やスキルを持っている企業が業務を行うため、品質の高い業務ができます。
業務の手戻りを発生させないことにもつながり、クライアントからの信用や信頼も獲得できるでしょう。
固定費や人件費を削減できる
建設BPOを導入すると、固定費や人件費の削減も期待できます。
新しいITツールを導入する場合、ツール導入費用がかかってしまいます。
ツールによっては、買い切りではなく毎月固定費がかかるものもあるでしょう。
また、ITに精通したデジタル人材の採用や人材育成も必要となります。
一方、建設BPOを導入すると、必要なタイミングで必要なツールや人材を活用できます。
企業の経営改善において、経費の削減は有効的です。
固定費や人件費を削減して経営課題を改善したい場合は、建設BPOの導入を検討してみるのも良いでしょう。
建設PBO導入時の注意点3選
建設BPOを導入する際の注意点を3つ解説します。
導入する建設BPOサービスを明確にするために、参考にしてみてください。
情報セキュリティ対策が万全なサービスを選ぶ
建設BPOサービスは、情報セキュリティ対策が万全なものを選びましょう。
建設工事に関わる技術者や技能者の個人情報をクラウド上で管理することも増えてきました。
2023年12月に個人情報保護法規則及びガイドラインが改正され、2024年4月から施行されています。*4
個人情報の漏洩を防ぐために、各企業では情報セキュリティ対策を行なっていることでしょう。
しかし、建設BPOサービスを提供する企業の情報セキュリティ対策が万全でない場合、情報漏洩のリスクが高まります。
また、企業の機密情報が漏洩してしまうと、開発中の技術や営業秘密などが公開される恐れもあります。
建設BPOサービスの導入時、情報セキュリティの対策についても問い合わせをしましょう。
対応可能なサービスと費用を考慮して選ぶ
建設BPOサービスを導入する場合、押さえるべき点は「対応可能なサービス」と「費用」の2つです。
自社で依頼した業務を明確にした上で、利用する建設BPOサービスを決めることが重要です。
幅広く業務に対応してもらえる建設BPOサービスを使用すると便利な反面、価格が高い場合も考えられます。
自社で対応する業務と外部に委託する業務を明らかにし、費用対効果を算出することをおすすめします。
建設BPOサービスを提供している企業は複数あるため、それぞれの企業に問い合わせをして疑問点を解消してからサービスを導入しましょう。
導入実績が豊富なサービスを選ぶ
建設PBOサービスといっても、さまざまな企業があります。
どのサービスを導入するのかを決める際、導入実績が豊富かどうかも重要です。
特に、はじめて建設BPOを導入する場合は、わからないことも多いのではないでしょうか。
導入実績が少ない企業の建設BPOを導入すると、対応力やサポート力が整っていない可能性もあります。
一方、導入実績が豊富なサービスなら、業務へのスピーディーな対応や丁寧なサポートが期待できます。
実際に活用しているお客様の声を参考に、どのサービスを導入するかを決めても良いでしょう。
建設BPOに関するFAQ
建設BPOに関する疑問点について、FAQ形式で解説します。
建設BPOの疑問点を解消してからサービスを導入しましょう。
BPOとアウトソーシングの違いは何?
BPOとアウトソーシングの違いは、以下のとおりです。
【BPOとアウトソーシングの違い】
- BPO(Business Process Outsourcing):企業の業務を一括して外部の専門業者に委託する
- アウトソーシング:企業の業務の一部を外部の専門業者に委託する
BPOはアウトソーシングの一種ですが、それぞれ違いがあります。
一部の業務を外部の業者に委託するアウトソーシング。
アウトソーシングは、人材不足の解消を目的に行われることが多いとされています。
BPOは、人材不足の解消以外にも業務効率化や品質向上を目的に行われています。
また、BPOはアウトソーシングよりも業務の幅が広い点も特徴です。
建設業界でBPOを導入している職種は?
建設BPOは、施工管理・設計・バックオフィスなど幅広い職種で導入されています。
たとえば、工事写真の整理や施工計画書の作成など、施工管理に関連する業務を外部委託できます。
また、現場事務所の手配や食堂の運営、建設キャリアアップシステム(CCUS)の代行登録など、工務や事務に関する業務も外部委託が可能です。
ただし、建設BPOサービスを提供する企業によって対応業務は異なります。
対応可能な業務について確認してから、建設BPOサービスを導入しましょう。
まとめ
今回は、建設BPOとは何かを詳しく解説しました。
建設BPOの導入効果と注意点も紹介したので、サービスに関する理解が深まったのではないでしょうか。
ただし、建設BPOを導入する際は、外部委託する業務を明確にすることが重要です。
また、建設BPOサービスは企業ごとに異なるため、サービス内容と費用を考慮した上で選びましょう。
代表的な建設BPOサービスは、以下のとおりです。
サービスの特徴や内容について、ぜひチェックしてみてください。
【代表的な建設BPOサービス】
株式会社フォトラクション | https://www.photoruction.com/bpo |
株式会社エヌ・アンド・アイ・システムズ | https://constdx.com/bpo-service/ |
株式会社総務の窓口 | https://soumu-madoguchi.co.jp/kensetsu_bpo/ |
株式会社セイシン総研 | https://noncore.jp/constructionindustry/ |
トランスコスモス株式会社 | https://www.trans-cosmos.co.jp/bpo/construction.html |
株式会社KMユナイテッド | https://www.coassist.jp/bpo/ |
株式会社グローバルスタッフ | https://www.globalstaff.co.jp/field/support.html |
株式会社 MetaMoJi | https://product.metamoji.com/gemba/eyacho/topic/bpo.html |
大手ゼネコンBIM活用事例と 建設業界のDXについてまとめた ホワイトペーパー配布中!
❶大手ゼネコンのBIM活用事例
❷BIMを活かすためのツール紹介
❸DXレポートについて
❹建設業界におけるDX
*1
参考)厚生労働省「建設業 時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」
https://www.mhlw.go.jp/content/001116624.pdf
*2
参考)国土交通省「建設業を巡る現状と課題 建設業就業者の現状」
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001610913.pdf
*3
参考)国土交通省「「i-Construction 2.0」を策定しました~建設現場のオートメーション化による生産性向上(省人化)~」
https://www.mlit.go.jp/report/press/kanbo08_hh_001085.html
*4
参考)一般財団法人 日本情報経済社会推進協会「個人情報保護法規則/ガイドライン改正の実務対応のポイント」