マンパワーの自動化が加速していく
マンパワーはIT業界や介護業界などで、人手が足りない時に使われる言葉です。「マンパワーが不足している」と言われたりしますが、マンパワーとは仕事に投入できる人的資源のことを意味します。
現在、少子高齢化の影響で多くの業界でマンパワーが不足していますが、解決策との一つとして注目されているのが「マンパワーの自動化」です。これまで人が行っていたことを自動化することができれば、生産性が向上し人手不足を補うことができるでしょう。この記事では、マンパワーの自動化が進んでいる工場や自動車、オフィスについて紹介していきます。
工場の自動化
マンパワーの自動化と聞くと、多くの人は工場で働くロボットを思い浮かべるのではないでしょうか。Amazonの倉庫で無数のロボットが商品を運んだり並べたりする動画を見た方もいるでしょう。この節では工場の自動化について見ていきます。
ファクトリー・オートメーション
ファクトリー・オートメーションとは、受注、生産、出荷といった工場の作業をロボットやシステムを使用して自動化することを指します。マンパワーを自動化することで、生産性を向上させるだけでなく、作業ミスを減らすこともできます。
工場では製造、組立、運搬などの作業を人の手で行ってきましたが、現在では多くの作業で産業用ロボットが活躍しています。ロボットと相性がよいことから自動車・電機関連の工場の自動化が主でしたが、食品やアパレル業界など他産業においても工場の自動化が進んでいます。
自動化は雇用を奪うのか?
マンパワーを自動化することは、会社にとって大きなメリットがありますが、従業員についてはどうでしょうか。例えば、工場でライン作業をしている人は、ライン作業が自動化されると仕事を失ってしまうのではないでしょうか?
マンパワーの自動化は雇用を奪うと考えがちですが、単純にそうとは言い切れないようです。なぜかと言うと、工場の作業を自動化したとしても、導入したロボットの修理・維持のための要員が必要だったり、他の仕事が増えたりするからです。
実際、工場の自動化を進めているAmazonでは雇用が増え続けています。すべてをロボットで自動化するのではなく、ロボットと人間が協同して働くことで、爆発的に増加するネット通販の需要に対応しています。
自動運転
自動化で最も競争が激しいのは自動運転の分野でしょう。トヨタ、GM、BMWといった自動車メーカーのみならず、グーグルやマイクロソフトといったIT企業も自動運転の開発に参入しています。
2025年に完全自動運転
自動運転のレベルには6つのレベルがありますが、政府は2020年にレベル3の自動運転を実現することを目標としています。レベル3は条件付自動運転の段階で、限定的な状況において自動運転が行われ緊急時にはドライバーが対応します。このレベルではドライバーが自動車に乗っている必要があるため、それほどマンパワーを自動化しているとは言えないでしょう。
しかし、レベル5の完全自動運転の段階になると、全ての状況でシステムが制御するためドライバーは乗車する必要がありません。このレベルでは、ドライバーというマンパワーを完全に自動化することになります。実現すれば自家用車のみならず、タクシーやバスといった公共の交通手段が自動化されるでしょう。
交通分野のマンパワーは、タクシーやトラックの運転手です。現在は、ネット通販の需要拡大で人手不足に陥っていますが、運転が自動化されればマンパワーの自動化が急速に進んでいくでしょう。政府は完全自動運転を2025年に実現することを目指しています。
オフィスの自動化
工場や自動車の他に、大きな関心を集めているのがオフィスの自動化です。これまではブルーカラーの仕事を自動化することが主でしたが、オフィスの自動化ではホワイトカラーの仕事を自動化します。
オフィスのマンパワー
オフィスでは、人事、経理、財務など多くのバックオフィス業務が生じます。バックオフィスとは、営業等のように顧客と直接接する機会がなく、主に社内で仕事を行う業務のことを指します。バックオフィスの作業としては、書類作成、ファイリング、データ入力、伝票処理などがあります。これらの作業を行うためにオフィスでは多くのマンパワーを必要とします。オフィスのマンパワーの不足を解消するものとしてRPAが注目されています。
事務作業を自動化するRPA
RPAはPC内で稼働するソフトウェアロボットです。PC上での作業をRPAに登録することで、作業を自動化することができます。例えば、銀行で融資するかどうか判断するための資料を作成するとします。RPAにあらかじめ手順を登録しておけば、インターネット上のサイトを検索し、株価、売上、財務などの情報を収集し、データを表にまとめるといったことを自動で行うことができます。
RPAは人よりも速くPCを操作することができるので、人だと1時間かかる作業を10分程度で行ったりすることができます。また、決められた通りに動くので、人がやる場合と違ってミスが生じません。さらに、電力が供給される限り稼働し続けることができるので、マンパワーの不足を補うことができます。このように、RPAによってマンパワーを自動化することで多くのメリットが得られます。RPAは、オフィスのマンパワーを自動化するのに非常に強力なツールとなります。
まとめ
以上、マンパワーの自動化について紹介してきました。産業用ロボットやRPAを活用すると、これまでマンパワーに頼っていた業務を自動化することができ、より付加価値の高い業務に集中することができます。
自動化で懸念されるのが雇用への影響ですが、Amazonの例にもあるように、自動化を進めたとしても必ずしも雇用が奪われるわけではありません。人間の判断を必要としない単純作業は自動化されていくでしょうが、その分、新しい仕事も生まれてくるでしょう。
新しいことを企画する創造力や、人の気持ちに寄り添いながら接客するコミュニケーション力など、ロボットにはできない人間的な能力がこれからはますます重要になっていくでしょう。
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