IWONとは|NTTが中心となって提唱する構想を紹介
スマートフォンやパソコンだけでなく、最近ではデジタルツインなど現実社会をデータ化してしまおうと動きも出てきています。
また、データ通信速度もますます向上していくでしょう。
デジタル技術の進化の流れの中で、NTTはIOWNという構想を提案しました。
そして、実際にアメリカのIntel社などと提携をし、構想実現を目指しています。
今回は、そんなIOWNについて紹介します。
この記事を読むと以下の3つのことがわかります
①IOWNの概要
②IOWNのメリット
③IOWNにより変化すること
IOWNとは*1~5
まずは、IWONの概要を確認していきましょう。
Innovative Optical and Wireless Network(光・無線の革新的なネットワーク構想)
IOWNは、Innovative Optical and Wireless Networkの略です。
日本語に訳すとすれば、光や無線をベースとした、革新的なネットワーク構想といえます。
光や無線に着目して、今よりもより高規格なネットワークを構築することを目指しているものです。
具体的な特徴については、メリットの部分で紹介します。
政府の「Society 5.0」とも関係の深い構想
IOWNは、政府が提唱するSociety 5.0とも深い関係にあります。
Society 5.0とは、情報社会(Society 4.0)の先を行く社会のことを指しています。
内閣府によるSociety 5.0の定義は以下の通りです。
サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)
引用元:Society 5.0 – 科学技術政策
Society 5.0では、AIが必要な情報を提供してくれたり、IoTで家電をはじめとしたあらゆるものがつながったりするなど、現実と仮想空間が交わります。
これまでのような、現実とサイバー空間の間に距離があるのではなく、よりサイバー空間と現実空間の距離が近くなった社会だといえるでしょう。
自動走行車やロボットをより活用するなど、これまで以上に情報の分析・活用が行われて価値が生み出される社会です。
このようなSociety 5.0とIOWNは似たような部分があります。
IOWNでは、デジタルツインをより進化させた、デジタルツインコンピューティングのほか、現実社会とサイバー空間をよりつないでいくことや、AIを活用して人の手で行われてきた作業が自動化されるのです。
NTTを中心に複数の会社が参加
IOWNには、NTTをはじめとした複数の会社が参加しています。
アメリカのIntel社のほか、ソニーも参加しており、複数の会社が共同で進めていく取り組みです。
IWONのメリット*1~*5
IOWNのメリットは、主に3つあります。
電力効率を100倍に向上
まずは、低消費電力の実現です。
サイバー空間と現実世界をつないでいく過程では、多くの電力が必要になります。
IOWNでは、通信の波長を制御するための装置や、光電融合素子を開発することで、電力効率の向上を目指しています。
最終的には、従来の100倍程度の効率化を目標としているのです。
データ伝送容量を125倍に向上
電力効率を上げるほか、データの伝送速度の向上も目指しています。
光回線の通信は、光の信号がケーブルの中を通ることで行われています。
IOWNでは、ケーブルの中でより多重な通信ができるようにすることで、速度を向上させようとしているのです。
目標は、現在の速度の125倍です。
数字で表すと、1つの光ファイバーで1,000Tbit/sを目指しています。
レイテンシーを200倍に縮小
速度とともに、データを送る際の遅延も200倍に減らすことが目標とされています。
データ通信容量が増えることで、圧縮なしのデータ送信が可能になります。
また、光ファイバーの信号を束ねる際に、圧縮しない動画や音声をそれぞれ送信することで、処理時間の短縮を図ります。
IOWNにより社会にもたらされる変化*1~*8
最後に、IOWNにより起こる変化について簡単に紹介します。
デジタルツインが横断的に利用可能になる|デジタルツインコンピューティング
デジタルツインは、従来の場合はロボットの制御や自動運転などにそれぞれ使われてきました。
IOWN構想では、それぞれに使われていたものをとりまとめてしまいます。
それによって、より横断的に情報を取り扱うことが可能になるのです。
それぞれのモノが取得したデータを活用し合うことで、最新のより細かいデータを利用できるでしょう。
より高速で遅延の少ない通信が可能になる|オートフォニクス・ネットワーク
今後は、今よりもより高速なネット環境が登場するでしょう。
現在普及しつつある5Gよりも高速な通信が可能になる可能性があります。
家でも外でも超高速通信ができるようになるため、動画などを含めたよりリッチな情報を利用できるようになります。
また、遅延も少なくなるため、ビデオ通話がしやすくなるでしょう。
ネットワーク運用が手動・自律から自己進化型になる|コグニティブ・ファウンデーション
IOWNでは、AIが自律的に動くことから、さらに一歩進んで自己進化ができるようにしていきます。
交通状況・気象情報・イベント情報・人の混雑具合などのさまざまな情報を取り入れることで、機器自身が常に進化していく仕組みをつくっていくのです。
NTTのサイトによると、Wi-Fiを例に挙げ、場所・環境に応じて、事業者や通信方式の意識をせずに、最適な無線を利用できる技術が取り入れることを想定しているそうです。
◆まとめ
今回は、IOWNについて紹介しました。
現在もAIやIoTなどは身近になってきていますが、10年後にはなくてはならないものになっているかもしれません。
IOWNの提唱は、そのような未来を想像させるものになっています。
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◆参考URL
*1 Society 5.0 – 科学技術政策
*2 Innovative Optical and Wireless Network
*3 NTT技術ジャーナル(2020 Vol.32 NO.1) | NTT R&Dフォーラム2019 基調講演 | IOWNの時代へ
*4 NTT技術ジャーナル(2020 Vol.32 NO.1) | IOWN構想実現に向けた取り組み | IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想実現に向けた取り組み
*5 NTT澤田社長「IOWNでゲームチェンジ」 光電融合デバイスは2年後
*6 IOWNによる街全体の最適化 | NTT技術ジャーナル
*7 オールフォトニクス・ネットワークとはなにか|NTT R&D Website
*8 デジタルツインコンピューティングとはなにか|NTT R&D Website
*9 コグニティブ・ファウンデーションとはなにか|NTT R&D Website