AutoCADにおけるドアの書き方とは？AutoCAD Architectureのドアの書き方も解説

2024.09.27

AutoCAD, CAD

投稿者: 小松央直

Autodesk社が提供しているAutoCADでは間取り図などの図面内にドアを作成できます。しかし、ドアを作成して設置したいものの、作成手順がよく分からないと悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

本記事では、AutoCADにおけるドアの書き方の手順を詳しくみていきます。また、建築設計向けのAutoCAD Architectureにおけるドアの書き方にもふれていくため、作成手順でお悩みの方はぜひ参考にしてください。

この記事を読むと、以下のことが分かります。

1.AutoCADにおけるドアの書き方

2.AutoCAD Architectureにおけるドアの書き方

AutoCADにおけるドアの書き方

ここでは、AutoCADにおけるドアの書き方を詳しくみていきましょう。また、簡易的なドアの記号を使用する手順も解説します。

ドア本体の作図手順

ドア本体を図面に作図する手順をみていきます。手順の例として両開きのドアを作成しましょう。

1.図面上の作図箇所を拡大する

2.タブ「ホーム」にあるパネル「画層」の画層コントロールから「03-建具」を選択し、画層の設定を行う

3.ドアの線分の作図を行う※

4.ドアの円の作図を行う※

5.線分と円の処理を実行する※

手順3･4･5の詳しい手順は次のとおりです。

【手順3:線分を作図する】

1.直交モードもしくはオブジェクトスナップの端点を使用する

2.線分コマンドを選択し、作図を行う

3.開いた際に左側になる線分の長さを「400」、右側になる線分の長さを「800」に設定する

【手順4:円を作図する】

1.ドアと線分の接点を中心として、半径400の円を円コマンドで描画する(長さ400の線)

2.同様に長さ800の線分とドアの接点を中心として、半径800の円を描画する

【手順5:線分と円の処理を実行する】

1.トリムコマンドを選択する

2.不要な線分を切り取り、円のトリムを実行する

ドアを含む間取り図を書く場合の作成順

間取りを作成する場合、作図の順番に正解はありません。しかし、間取りを作図する初心者の場合、作図しやすい順番があります。初心者の方は作図しやすい順番で間取りを作成すると、混乱を招きません。間取りの作図に慣れたら、好みの順番で作図を行いましょう。初心者でも間取り図を作図しやすい作成順は次のとおりです。

1.基準線(通り芯)

2.柱

3.壁の補助線

4.建具(ドア)

5.壁

6.設備

7.部屋の名称および寸法

ドアの記号を使用する方法

AutoCADには製図用としてドアや窓などの記号が付属されています。製図用のドアの記号を使用する場合、次の手順でアクセスしましょう。(*1)

1.ドアの記号を使用したい図面ビューを開く

2.「TOOLPALETTES」を入力する

3.パレット名を選択する

4.使用したいドアのブロックをクリックしたまま、図面上にドラッグし挿入する

AutoCAD Architectureを使用する方法も選択肢の1つ

建築図面にドアを作図したい場合、AutoCAD Architectureを使用する方法もあります。Architectureとは建築設計者向けの専用ツールです。(*2)AutoCAD Plusに含まれているツールセットで、平面図や断面図、立面図などの生成を自動的に行います。また、実際の施工環境に適合した壁やドアを迅速に設置する機能を搭載しているため、作図する時間や手間を削減できるでしょう。

AutoCAD PlusにはAutoCADよりもサブスクリプション価格が高額であるものの、豊富な機能を搭載しており、Architectureツールセットを含む7つのツールセットの機能を拡張できます。なお、1年間のサブスクリプション価格は、AutoCADが71,500円(*3)、AutoCAD Plusが231,000円(*4)です。

AutoCAD Architectureにおけるドアの書き方

AutoCAD ArchitectureはAutoCADとはドアの書き方が異なり、事前にドアスタイルの指定を行う必要があります。ここでは、AutoCAD Architectureにおけるドアスタイルの指定手順にふれつつ、ドアの書き方を詳しくみていきましょう。

ドアスタイルを指定する(5)(6)

Architectureでドアを作図する場合、ドアスタイルを指定します。ドアのオブジェクトに対し、できる限り必要な情報を提供しましょう。ドアスタイルを指定する形式は次のとおりです。

･<ドア操作>-<ドアタイプ>-<ドア形状>-<枠タイプ>

形状と枠タイプは省略できます。形状を省略した場合、ドアの形状は矩形になる点を知っておきましょう。次に、ドアスタイルを指定する場合の具体例をみていきます。

ドアスタイルとして指定したい内容	ドアスタイルの形式への入力例
片開きで矩形のフラッシュドア	<片開き>-<開き戸>
両開きのアーチ型のパネルドア	<両開き>-<開き戸>-<アーチ型>-<パネル>
組み合わせ窓で使用する片開きの全面ガラスのドア	<片開き>-<開き戸>-<全面ガラス>-<組み合わせ>

ドアスタイルを指定する場合、ドアコンポーネント全てにマテリアルを割り当てましょう。ドアスタイルの分類により、集計および表示コントロールを詳細に設定可能です。

ドアタイプでは次の事項を指定し、開き方を設定できます。

･パネル数

･片開き、または両開き

･折りたたみ

･ポケット

･回転

･オーバーヘッド

また、ドアの形状は矩形や半円形、アーチなどから選択できます。既定に適切な形状がない場合、ユーザー独自のカスタムで輪郭から形状を作成可能です。

ドアを作成する(*7)

次に、ドアを作成する手順をみていきます。

1.タブ「ホーム」にあるパネル「作図」を選択する

2.ドロップダウン「ドア」から「ドア」を選択する

3.図面内でドアを作成したい場所(壁もしくは組み合わせ窓)を選択する

4.ドアを作図する挿入点を選択する※

5.位置を指定する

6.ドアを複数追加する場合、続けて手順1から作図を行う

7.「Enter」を押す

手順4の挿入点を柔軟に定義するために、次の2点を確認しましょう。

･プロパティパレットを開き、設定「壁に沿った位置変更」が「非拘束」になっているか

･ステータスバーのOSNAPがオフに設定されているか

OSNAPがオフに設定されていない場合、挿入点がアクティブなOSNAPの点や壁の中心または終点に合わせられてしまうため注意が必要です。

まとめ

本記事ではAutoCADおよびAutoCAD Architectureにおけるドアの書き方を解説しました。AutoCADもAutoCAD Architectureでもドアの作成が可能です。AutoCAD Architectureは建築設計者向けのツールセットです。ドアの作成をはじめ、平面図や立面図なども自動的に作成できるため、より効率的に作業を進められます。

また、ドアを含む建具を実際の施工環境に適合する形で設置してくれるため、確認作業の手間を省くことが可能です。そのため、建築設計図面でドアを作成したい場合、AutoCAD Architectureの使用を推奨します。

AutoCADと比較すると、年間サブスクリプション価格が高額になるため、購入時は予算と照らし合わせて検討しましょう。